リテールメディアとは、ECサイトのオンライン広告や店舗のサイネージ、アプリ内広告など小売企業が運営する広告媒体を広く指し、日本でもリテールメディアの規模は急拡大しています。「リテールメディアONE™」は、メーカー担当者の認知・理解率や活用状況、生活者からの評価などを明らかにし、小売企業のリテールメディア活用の支援に役立てるため、今回の調査を実施いたしました。
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<メーカー担当者向け「リテールメディア toB 調査」結果のポイント>
●リテールメディアという言葉の認知率は広まってきているが、実際の活用率は3割未満。
●リテールメディアへの費用対効果は8割超の高い満足度の一方で、半数以上がプランニングに課題意識。
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<生活者向け「リテールメディア toC 調査」結果のポイント>
●生活者の4割以上がリテールメディアを定期的に閲覧。催事やキャンペーン情報などの即時性の広告効果に強み。
●衝動買いには店頭サイネージ、まとめ買いにはクーポン発行など、リテールメディアの最適な活用方法は商品特性によって異なる。
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調査結果を踏まえての所見
今回の調査結果から、「リテールメディア」について、ビジネスの現場ではまだ十分に理解と活用がされていないということが示唆されました。一方で、リテールメディアを活用する企業の出稿後の満足度は高く、また生活者にとっても新たな商品との出会いの創出といった媒体としての有用性がうかがえます。
また、生活者にとって衝動買いされやすいカテゴリーには店頭サイネージで訴求、セール時に買われやすいカテゴリーにはクーポンを発行しまとめ買いを促進といった、商品カテゴリーの特性の違いによるリテールメディアの使い分けが有効であることも分かりました。
リテールメディアONE™ ではこれらのデータを駆使して、商品カテゴリー別にリテールメディア、小売チェーンをプランニング可能です。今後も、流通小売各社のリテールメディアを束ねるリテールメディアネットワークを独自に構築することで、複数のリテールメディアを横断した広告運用と、生活者に対する高いリーチを実現します。また、アプリ・デジタル広告・デジタルサイネージ等、これまで分散運用されていた各メニューを統合的にプランニングし、運用の効率化と費用対効果の向上を目指します。
<調査結果の詳細>
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<メーカー担当者向け「リテールメディア toB 調査」結果のポイント>
リテールメディアの認知・活用状況
●メーカー担当者(メーカーの営業部、広告・宣伝部、商品企画・マーケティング部に所属している方)のリテールメディアの認知・理解率は、
・名前は聞いたことがある:19%
・リテールメディアの内容・特徴を少し知っている:23%
・リテールメディアの内容・特徴を詳しく知っている:12%
⇨「リテールメディア」という言葉自体の認知は広まってきているが(上記合計で55%)、内容や特徴の詳細まではまだあまり理解されていない状況。
図:リテールメディアの認知・理解率
Q. 「リテールメディア」についてどの程度ご存知ですか。以下の説明をよくお読みになった上でお答えください。
n = 304ss 出典:リテールメディア toB調査データ
●リテールメディアの活用率について、
・DSP配信やデジタルサイネージ等、リテールメディアの利用経験率:29%(全メニューの平均値)
⇨「リテールメディア」の活用率は3割未満と、ビジネスの現場においてさらに活用を促進したい状況。
図:リテールメディアの活用率
Q.前問で「知っている」とお答えになった以下の広告メニューの出稿業務に携わったことはありますか?
n = 304s 出典:リテールメディア toB調査データ
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リテールメディアの評価・満足度
●リテールメディア活用企業のリテールメディアに対する評価について、
・費用対効果は「妥当」:29%
・費用対効果は「高い」:53%
⇨「高い」が半数、「妥当」と合わせて82%と、リテールメディア利用に対する高い満足度がうかがえる。
図:リテールメディア活用企業の費用対効果評価
Q. 活用経験のある「リテールメディア」の各メニューについて、1回の出稿にかかるメディア費用についてどのようにお考えですか。
集計母数:各メニュー活用経験あり
出典:リテールメディア toB調査データ
●リテールメディア活用企業かつ、費用対効果は「妥当」「高い」と評価した人のリテールメディアの印象は、
・売場・棚獲得に効果がある:65%
その一方で
・出稿効果の分析方法や結果が不透明、十分でない:55%
・リテールメディアにどんな種類があるか把握しきれていない:53%
⇨リテールメディアの費用対効果に満足している人でも、出稿効果の分析方法やメニューの理解について、半数以上が課題を感じている。
図:リテールメディアを活用し、費用対効果の評価「適正価格だと感じる」「費用対効果が高い」選択者のリテールメディアの印象(複数回答)
Q. 「リテールメディア」に対する現在の印象・イメージとして、以下の項目はどの程度あてはまりますか。
集計母数:リテールメディア活用経験あり、かつ、「適正価格だと感じる」「費用対効果が高い」
出典:リテールメディア toB調査データ
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<生活者向け「リテールメディア toC 調査」結果のポイント>
生活者のリテールメディア接触状況・接触効果
●生活者(店舗や公式アプリを利用していて、サイネージ設置を認識している方)のリテールメディア接触状況について、
・「内容をよく見ている+たまに見ている」:43%(各メニュー項目への回答の平均値)
・各店舗で特に接触度が高かったのは、ドラッグストアでは「店頭」(45%)、スーパーとコンビニエンスストアでは「商品陳列棚のサイネージ」(各49%、51%)
⇨生活者の4割がリテールメディアを定期的に閲覧。店舗種類で見られやすい設置場所が異なることが示唆された。
図:デジタルサイネージ・公式アプリ内広告 広告媒体認知者の内容閲覧率
Q. あなたは、以下の画像のようなディスプレイをどの程度ご覧になっていますか。(画像提示あり)
※集計母数は、各業態/アプリ利用者 & サイネージ/広告媒体認知者
出典:リテールメディア toC調査
●生活者がリテールメディアを閲覧した後の態度変容状況について、
・「買うつもりのなかった商品を買った」:14%
・「開催中のキャンペーン/催事を知った」:38%
⇨即時性のある広告効果に強みがあることが示唆される結果に。
図:各メディアの特性 態度変容効果
Q. 各媒体(※)をご覧になった後、以下のようなことを実際に感じたり、何かしらの行動をとったことがありますか。
※集計母数は、各媒体接触可能性がある人
※各媒体の部分は、聴取するメディアによって文言が変わります(デジタルサイネージ/公式アプリ広告・クーポン・記事)
出典:リテールメディア toC調査
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リテールメディアの商品特性ごとの活用方法
●生活者に、商品カテゴリー別に購買意識を調査したところ、
・「お店に行く前に、どの銘柄を買うか決めておくようにしている」:洗濯用洗剤・掃除用品で23.9%
・「お店に行く前に、商品ジャンルを買うことを決めて、店内で銘柄を決める」:菓子・スナック類で29.2%
・「セールやキャンペーンのときに購入する」:洗濯用洗剤・掃除用品で17.2%
・「新商品を見かけるとつい手にとってしまう」:菓子・スナック類で24.3%
といった、商品カテゴリーによって購買方法に特性があることが分かった。
⇨上記結果をリテールメディア活用と関連させたとき、衝動買いされやすいカテゴリーには店頭サイネージで訴求をしたり、セール時に買われやすいカテゴリーにはクーポンなどでまとめ買いを促したりと、商品カテゴリーごとのリテールメディアの使い分けが有効であることが示唆された。
☑菓子・スナック類は、「店内で銘柄が決定され、新商品が買われる」傾向にあるため、店頭サイネージで商品告知し、衝動買いを促すのが有効な可能性がある。
☑加工食品は、「商品ジャンルの購入のみ事前決定され、店内で銘柄が決まる」傾向のため、店頭サイネージでレシピ提案などを絡ませた訴求が有効な可能性がある。
☑オーラルケアは、「事前に銘柄も決定される」傾向のため、アプリ内広告や小売流通のSNSで来店前からのアプローチが有効な可能性がある。
☑洗濯用洗剤や掃除用品は、「事前決定かつセールで買われる」傾向のため為、クーポンや懸賞キャンペーンでまとめ買いを促すと有効な可能性がある。
図:商品ごとの買われ方の違い
Q. 以下のような意識・考え方で買い物をする商品ジャンルをお選びください。
※商品カテゴリー、選択肢ともに一部を抜粋して掲載
出典:リテールメディア toC調査
【調査概要】
■調査名称:「リテールメディア toB」調査
調査対象:20-59歳男女 メーカー担当者(パート・アルバイト除く)
① 小売流通に関連する製造業に勤務
② 所属部署「営業部」or「広告・宣伝部」or「商品企画・マーケティング」
③ 役割「小売・流通への商談実施あり」or「広告関連業務」
調査地域:日本全国
調査手法:インターネットリサーチ
調査時期:2023年8月
分析対象回答数:304ss
調査委託先:株式会社 H.M.マーケティングリサーチ
■調査名称:「リテールメディア toC」調査
調査対象:15-79歳男女
調査地域:日本全国
調査手法:インターネットリサーチ
調査時期:2023年3月
有効回答数:1,022ss
調査委託先:株式会社 H.M.マーケティングリサーチ
回収・集計方法:各年代×性別で均等に割付、集計時には総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
<リテールメディアONE™について>
リテールメディア ONE™は、リテールメディアの設計・開発からセールス、ストラテジー立案、運用や改善、クリエイティブまで広範な領域を博報堂DYグループの専門人材でカバーするワンストップ統合窓口です。流通小売各社のリテールメディアを束ねるリテールメディアネットワークを独自に構築することで、複数のリテールメディアを横断した広告運用と、生活者に対する高いリーチを実現します。また、アプリ・デジタル広告・デジタルサイネージ等、これまで分散運用されていた各メニューを統合的にプランニングし、運用の効率化と費用対効果の向上を目指します。
リテールメディア ONE™は、博報堂をはじめとするグループ12社が推進する「販促・コマース領域」に対するソリューション提供を行う戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」の傘下の取り組みとして活動してまいります。
<博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」について>
ショッパーマーケティング・イニシアティブ®は、「HAKUHODO DX_UNITED」傘下の博報堂DYグループ12社横断の戦略組織です。12社が有する専門機能と各領域のスペシャリストを結集し、“ひとつながり”のチームとして有機的に実行します。リテールDX(小売/店舗におけるDX)、コマースDX(購買接点のDX)、デジタル販促、リアル販促、ショッパーマーケティングデータ活用等の各対応領域で、流通/小売/メーカーのビジネス成果や売上拡大に貢献し、ショッパーの課題ファーストで生活者に新しい買物体験(=WOW!)を提供する「価値創造型の次世代ショッパーマーケティング」をワンストップで提供いたします。
※ショッパーマーケティング・イニシアティブ®は博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂DYホールディングス、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、アイレップ、博報堂プロダクツ、博報堂DYアウトドア、セレブリックス、エクスペリエンスD、バックスグループ、日本トータルテレマーケティング、グロースデータの12社で構成される「販促・コマース領域」に対するソリューション提供を行う戦略組織。
※ショッパーマーケティング・イニシアティブ®は、株式会社博報堂の登録商標です。