生成AI 技術と、学校教育をとりまく議論の中では、生徒の「考える力」「想像力」を阻害したり、「答えを直接得てしまう」ことに対する懸念の声が、政府・教育関係者や保護者らから上がっています。
しかし現時点では、技術進歩には倫理的観点の整理が追いついておらず、ガイドライン策定など表層的な対処にとどまっており、我が国においては学生の一大イベント、夏休みに突入しようとしております。
このたび「宿題ポケット」(グローバル展開ブランド “StudyPocket.AI”)では、LLM(*) などの生成AI技術を用いて、学習アシスタントAIが答えを教えることなく、生徒・ユーザーとともに考え方や解き方を導くことを目標としたアプリです。宿題や勉強の相談という学生の明確なニーズに対して、チャットを通じて「考える力」「知的探究心」「批判的思考」を磨くための対話文脈の構築を目指しました。
* リリース時点では OpenAI社製 ChatGPT API(GPT-4)を使用。今後、複数のLLM技術を活用予定
* Android アプリは数日以内にストアに公開予定
【宿題ポケット】
・公式サイト/Webアプリ: https://studypocket.ai
・Google Play ダウンロードページ:(近日中に公開)
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創造性、考える力、批判的思考を育むことを目的としたAI学習アシスタント
生成AIの活用において、たとえば「なぜ雲は白いのですか?」という質問に対し、一般的な対話型AIサービスでは、知識として回答結果をすぐに出力・提供しますが、「宿題ポケット」では以下のようなアプローチが取られます。
「良い質問ですね。色というものの性質について考えたことはありますか?なぜ赤いボールが赤く見えるのか考えてみましょう。」 「たしかに、夏の晴れた青空に浮かぶ雲は白く見えて、どんよりとした雨雲は灰色に見えますね。ふだん私たちは、色をどのように認識していると思いますか?」
「雲が白い理由」という日常的な疑問、理科・科学の宿題テーマから始まり、「光の乱反射について」「色の性質」を理解することに至りました。また、生徒は絵の具の色の見え方と、光の色の見え方の違いから、「加法混色」「減法混色」という色が持つ原理的な性質について、知識を得る機会となりました。
英語・数学などの問題でも同様に、ステップを踏んで生徒の宿題の質問に寄り添いながら、すぐに答えは教えずに、徐々にヒントを開示したり、分かりやすい例え話に置き換えて解説を行いながら、生徒自身が答えにたどり着くことを支援します。
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夏休みの読書感想文・体験レポートの課題にも対応。
生成AIが得意とする「創作」の倫理的な観点をクリアしたうえで、学習支援が可能
特定の答えにたどり着く「数学」や、その他知識としての教科・科目だけでなく、読書感想文や自由研究、レポートの執筆など生成AIが得意としている「創作」の倫理的な観点においても、「宿題ポケット」は有用です。
たとえば、「芥川龍之介の “羅生門” の読書感想文を書いて」というリクエストに対して、何度お願いしても、宿題ポケットでは、代わりに全文を出力するようなことは行いません。
「どのような登場人物が印象に残りましたか。」「そのシーンを読んだとき、どんな気持ちになりましたか。」といった問いかけに答えを探るうちに、文章の骨子が完成し、その文脈ごとに最低限の一部添削などのアドバイスは行ってくれます。これらのLLMのチューニングにおいては、技術的進歩や、当アプリ内でのファインチューニング、機械学習を強化することで、より精度を高めてまいります。
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社会人の資格取得などリカレント教育にも
数学のような答えが明確な問題、読書感想文といった創造性を求められる問題以外にも、生活の中での雑学や倫理、社会人にとっての資格の勉強にも当然お役立ちすることができます。例えば「料理がうまくなりたい」というテーマで相談をすると、「料理がうまくなるために必要なことは何だと思う?」「料理のなかで、とくに苦手なところを教えてくれたら、一つずつ克服するためのアイデアを提供するよ」という回答が得られます。
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文脈から、”新たな質問自体を AI が考えてくれる” 「リジェネレート機能」を新開発
・「なんとなく対話型AI を使ってみたけど、どう質問したら良いか分からない」
・「上手にAIを使いこなしている人が、どのような質問の切り口をしているのか知りたい」
「宿題ポケット」では、既存の質問トピックの文脈をもとに、LLMを活用する技術によって、既存の文脈・質問と回答のセットをもとにした、類似または抽象化・具体化された異なる5つの質問トピックをランダムにその場で生成することが可能です。
例えば、前述の「なぜ雲は白いのですか?」という質問の再生成(リジェネレート)機能を用いると、ランダムではありますが、一例として以下のような質問が作成されます。
・「雲はどのようにして出来るのですか」
・「なぜ、異なる種類の雲が同時に存在するのですか」
・「雲はなぜ乗れないのですか」
このようにセレンディピティ(偶発性)を伴う質問の自動生成機能をワンタップで使用でき、自分自身の質問投稿として使用することが出来ます。質問が思い浮かばい場合、他の良い質問をリジェネレートするところから、生成AIに入門することが可能です。
これらのリジェネレートされたコンテンツは、データベースとしてチェーンされ、相互に無限にリンクし合うことから、知識の広がりや知的探究心が広がることの可能性を期待しています。
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AIだからこそ、質問しやすくしたい – プログラミング教育事業者としての設計思想
CODEGYM(コードジム)では、2019年の創業以来プログラミング教育を通じて、重要なコンセプトとして「Learning how to lean(学び方を学ぶ)」、技術の変化が激しい時代において、単に知識を得るのではなくその原点にあるコンピュータサイエンスの基礎や、プログラミング的思考力を育むためのアプローチに取り組んできました。そのような教育のビジョン、背景があったからこそ、絶対に答えを教えてくれない生成AI、「宿題ポケット」のコンセプトにたどり着きました。
また、プログラミング学習者の多くに見られることとして、「こんな簡単なことを質問してもよいだろうか」といった、心理的なメンタルブロックがあります。初心者ゆえのつまづきやすい部分の多くは、技術への理解度よりも学習姿勢、環境、コミュニティといった要素のほうが大きいことを経験則からわかっており、宿題ポケットのような学習アシスタントAIにより、これまでの集団型学習では仮に理解が不十分にもかかわらず、教室で遠慮して手を挙げられずに質問できず、勉強の進捗から取り残されてしまう、といったことを少しでも減らしていきたいと考えています。
また逆もしかり、パーソナライズ化されたAI技術によって、よりレベルの高い教育を望む形に対しては、高度な知性・知識・スキル獲得を目指す、強い意欲が反映される、新たな学びの環境ができることを期待しています。
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誰一人取り残されないための「平等な教育を受けられる世界」の実現を 〜創業以来変わらないミッション〜
株式会社CODEGYM は、2019年に株式会社LABOT(ラボット)として鶴田浩之によって創業され、日本で初めて、専門学校と同等内容のまとまった知識・スキルのコースにおいて、その授業料をいわゆる出世払い(一定の年収以上で決まった職種への就職に成功した場合に限り、給与の10%をその後の2〜3年間にわたってお支払いいただく仕組み。卒業後に業界を離職するなど長期的な成功に寄与できなかった場合は支払いが免除されるため、スクールと受講生が本気で向き合い、フェアな関係を築くことが可能)、海外では Income Share Agreement(ISA=所得分配契約)を採用してスクール運営を行ってまいりました。
*現在は、生成AIプロダクト事業への参入の選択と集中のため、スクール事業を休業、新規受け入れを一時停止中。
LABOTを創業した連続起業家の鶴田浩之は、前任のメルカリ社のグループ会社にて、教えたい人と学びたい人をマッチングするスキルシェアCtoCサービス「teacha」を手掛けたり、学生起業時代には、大学生の時間管理アプリ「すごい時間割」を開発、リクルートグループに事業売却を行っています。大学生向けアプリを開発していた19歳当初より、インターネットによる個人のエンパワーメントや教育に関する事業を通じた社会的価値の想像を目指して参りました。
このたびの「宿題ポケット」は、Webアプリ版のドメインにもあるようにグローバルを見据えたブランド名として「StudyPocket.AI」というサービス名称を採用しており、日本的な「宿題」の価値観にとどまらず、個人の好奇心や探究心に対して、AIアシスタントが寄り添って問題発見や、解決に至るまでのコミュティサービスとしての成功も同時に目指してまいります。現在は英語版UIをWeb版にて提供しておりますが、今後、アプリも含めて、東南アジアや欧州など複数の言語圏での提供を検討しています。
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今後の構想について
LLM(大規模言語モデル)は基盤技術として、特にアプリケーションレイヤーでの応用技術については歴史が浅く、日進月歩にて、世界的な開発競争が進んでいます。今週の常識が、来週変わってしまうこともよくあることであるため、あまり現時点でわかりうる情報から詳細なロードマップの設計には固執せず、今後、実際のユーザーの利用動向をふまえながらサービスの企画・方向性の検証を行ってまいります。
また、事業開発という観点では、利用データの活用からさらなる学習アシスタントの精度向上のためのデータ分析、人間しかできない部分を強化し、それを補完するためのSaaSシステムとして、学習塾・私立学校でのグループ・クラス単位での導入、いわゆる to Education 向けソリューションとしてのビジネス展開を検討するほか、公立学校でも採用されるような公平性の高いプラットフォーム作りを目指して参りたいと思います。
教育分野におけるLLMエンジニア、事業開発の担当者の採用も同時に開始いたします。
メディア関係者の方、教育従事者の方、政府関係者、機関投資家の方へ
当社ならびに当社創業者、本アプリ開発者の鶴田浩之は、生成AIと教育に関連する文脈においての洞察を得ており、実際の自身での取組みの事例のほか、未来予想、官民共同でのアプローチすべき構想案などについて、取材・勉強会(政府や自治体からも歓迎いたします)の参加が可能です。お気軽にお問い合わせください。
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