太陽光発電が多い昼の電気利用を促す仕組みでの当社が開発した新技術の役割について

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近年、太陽光発電の出力制限が問題となるなかで、再エネ比率の高い昼間の時間帯に電力消費を促すために、電気料金を割り引いたり、ポイントを付与するなどの取組への検討が進められています。

一方で、性急な導入を図ると、期せずして様々な副作用を発生させてしまい、かえってCO2排出量の増高や停電発生リスクの顕在化などの問題を発生させかねません。

その検討にあたっては、長期的な自律分散・双方向・デジタルを要諦とする電力システムへの移行と再エネ100%の達成を念頭においた複眼的な視点が必要です。

当社では2017年の創立以来、この課題に取り組んでおり、当社独自の「再エネ3.0」論を提唱しています。これは、再エネ100%の電力システムの脱炭素化に向けては、4つの発展段階を経て、現実的なロードマップを描いていくことが必要であり、現在は再エネ2.0から3.0への移行期であるという考え方です。

当社では、こうした視点に立ち、長期短期の課題を解決する体系的な手法を考案し、複数の特許を取得しました。今後、関係政府諸機関と連携し、電力系統の脱炭素化・安定化とEVの普及発展に貢献してまいります。

再エネの大量導入時代を迎え、夜と昼の再エネ格差が大きな問題となっています。

太陽光発電偏重に伴う昼夜間格差は、わが国にとどまらない世界的なトレンドです。

太陽光発電が多い昼の電気利用を促す仕組みの検討に当たっては、こうした大局観に基づいて、適切な制度を構築していく必要があり、当社ではそのための独自技術とメソドロジーを継続的に開発し、実証実験や市場調査を繰り返し行っています。

その検討にあたっては、長期的な自律分散・双方向・デジタルを要諦とする電力システムへの移行と再エネ100%の達成を念頭においた複眼的な視点が必要であると考えます。

当社では2017年の創立以来、この課題に継続的に取り組んでおり、当社独自の「再エネ3.0」論を提唱しています。再エネ100%の電力システムの脱炭素化に向けては、4つの発展段階を経て、現実的なロードマップを描いていくことが必要であると当社は考えています

現在は再エネ2.0から再エネ3.0への移行期である考えています。再エネ2.0では、太陽光発電に偏った再エネ導入により、昼夜間の再エネ比率が拡大していきます。

再エネ3.0では、とうとう再エネ発電が需要を上回る時間が発生するため、電力システムの安定化対策が必要となってきます。

そこで、再エネ比率の高い昼間の時間帯に電力消費を促すために、電気料金を割り引いたり、ポイントを付与するなどの取組への検討が進められています。

一方で、性急な導入を図ると、期せずして様々な副作用を発生させてしまい、かえってCO2排出量の増高や停電発生リスクの顕在化などの問題を発生させかねません。

当社の提案するソリューション

当社では、電力系統や自家保有・契約設備の時間帯別CO2排出係数を用いて、電力消費者・供給者毎の炭素強度を算出し、これに電力消費・発電量を掛け合わせて、各主体のCO2排出削減や電力システム安定への貢献度、さらには近接性確保による電力流通負荷の削減や、オンサイトなどの環境・社会負荷の低い良質な再エネによる電力システム全体の持続可能性向上への各主体毎の貢献度を総合的に可視化する技術・メソドロジーを開発し、複数の特許を取得しております。

そこで、当社は、関係政府諸機関と緊密に連携し、もし可能であれば、上記の検討に当たっても積極的に参加させていただき、当社の技術を用いて電力系統の脱炭素化・安定化とEVの普及発展に貢献してまいりたいと考えます。

そこで、当社の現状認識と課題と、当社の提案の要諦を紹介させていただきます。

課題(第一部)

課題その1:昼の電力消費量の増加ではなく夜からのタイムシフトが重要

再エネ比率が高いからと言って、単純に、昼の電力消費を増やしたとしても、全体の電力消費を増やすだけでは、かえって電力消費に伴うCO2排出量を増やしてしまいます。なぜなら、昼間に再エネを出力抑制をしている場合でも、火力発電所で発電される電力の比率がゼロでないことが多いため電力系統全体ではCO2を排出しているからです。

また、完全に化石電源を排除できたしたとしても、再エネ発電であっても、生産・廃棄を含めたライフサイクル(LCA)で見れば、CO2排出量はゼロではありません。加えて、電力流通網の整備・維持コストは大きく、それに関連してCO2排出を伴います。従って、「再エネ発電ならば無尽蔵に使っても良い」という一部の風潮に慎重に向き合う必要があります。

このため、各時間帯を通算した全体の電力消費量を増やさないで、夜の消費を昼にタイムシフトすることを明確に訴求すること。また、その目的としては、再エネの有効活用や、負荷の平準化のみならず、電力消費によるCO2削減を大目標として据えることが肝要です。

そして「昼にタイムシフトする行動変容」に対して、ポイントなどの金銭的インセンティブを適正に付与することが重要となります。

課題2:タイムシフト効果測定の難しさ

しかしながら、消費者が「昼へのタイムシフトの成果」を、電力消費量(kWh)だけで正確に捕捉するのは簡単ではありません

各家庭の夜間の電力消費量の実績値は、スマートメータで捕捉できたとしても、介入がなければ、もともと夜に消費していただろう電力量(ベースライン)を精緻に予想するのは容易ではありません

一番大きいのは、「悪魔の証明問題」に類似する課題です。そのベースラインはこの世に存在していないので、その存在(正しさ)を証明することは不可能であり、それゆえに消費者に納得性を与えるのは困難だからです。

さらに、もし完全とはいえないまでも、ある程度の蓋然性をもって立証できたとしても、元々、夜に系統からの電力消費をほとんど行っていない消費者(省エネ励行者や蓄電池放電による自家消費者)にはインセンティブが与えられないため、不公平になるという考え方もあります。

課題3:「夜間」を定義することの難しさ

「夜間」の電力消費を減らすと言っても、いつが「夜間」であるかを定義することは容易ではありません。

例えば、一部の地域や季節では、夜間であっても電力需要が少なく、原子力や風力などの非化石電源が豊富にある地域では、深夜時間は、場合によっては非化石比率が相対的に高くなります。このため、「夜間」からのタイムシフトならいつでもよいというわけにはいきません

夜間からのタイムシフト効果は、状況によってまちまちで、特殊な条件下では、夜間から昼間に電力消費をタイムシフトした結果、CO2排出量が増えてしまった、などということも起き得ます。

課題4:「昼間」ならいつでもよいというわけではない

「昼間」に再エネが多く稼働しても、一部の地域や季節では、電力需給が逼迫し、停電リスクが高まる可能性があります。この場合見、「昼間」であっても、需給逼迫時にはむしろ消費を抑制する必要があります

一方で昼間の消費を促しておきながら、需給逼迫時には節電要請をすれば、一般の消費者の混乱を招きかねません。

また、こうした場合は、需給を反映する昼間のJEPXの卸電気料金約定単価が夜間を上回るケースが見られ、電力小売会社の収支を圧迫しかねないことも課題です。

解決策(その1)

当社は上記の1~4の課題を解決するための手法を以下のように提案します。

当社の特許技術を用いて、各電力需要家が「電力を、いつ、どのくらい消費しているか。その時間帯のCO2排出係数(炭素強度)はどの程度か」に応じて各需要家の期間通算平均炭素強度(kgCO2/kWh)を算定し、その絶対値や削減量(あるいは電力消費量(kWh)や、その炭素強度との積でのCO2排出量(kgCO2)の絶対値や削減量と組み合わせて)に応じて、電気料金を割り引いたり、ポイントを付与することで上記の問題点が解決できると考えます。

課題1については、消費者には自身の炭素強度スコアや、標準との比較(ランキングや偏差値)を示すことで、脱炭素への貢献を見える化して、非金銭的インセンティブによる行動変容の効果を高め、金銭的ポイント付与の費用対効果が高まります。

自動車運転におけるエコドライブ(単位走行距離あたりの燃料消費量の削減)と同様の考え方です。自動車の利用や走行距離の長さはあえて問わずに、燃費だけに集中して消費者の行動変容を促す策が奏功して、「エコドライブ」は広く一般に普及しています。

同様に、議論を呼びかねない電力消費量の多寡よりも、需要家の炭素強度スコアを「エコ電力消費」として国民の訴求する効果は大きいと当社は考えます。

課題2については、気温や湿度などの外部要因に影響される電力消費量(kWh)よりも、期間通算平均炭素強度(kgCO2/kWh)の方が相対的にボラティリティが低く削減幅の予測が容易である可能性があります。

また絶対水準での評価もできるので、元々の省エネ励行者が不利にならないため、公正性・納得性が高まります。

課題3については、米国カリフォルニア州政府機関がほぼリアルタイムで発出しているような5分毎の系統平均炭素強度実績を用いれば、消費者毎の炭素強度を精緻に算定可能です。

わが国でも送配電事業者が、ホームページ上で1時間毎の系統電源種別発電電力量を公開されているので、これを用いてのある程度の推定は可能です。これにより、「夜ならば何時でもよい」という0か100かという短絡的な考えを排除できます

課題4についても課題3と同様に、夜間の時間毎の系統炭素強度を精緻に測定し、これに各時間毎の需要超過型の停電リスク指数(当社特許出願中)を組み合わせることで、問題の回避は可能です。

もうひとつの大きな課題(第二部)

もうひとつの重要な課題は、再エネ・非化石電力の同時同量を達成するには、「需要の昼シフト」だけを議論するのではなく、「再エネ供給の夜シフト」にもインセンティブを付与し、需要と供給の相互追従を図ることです。

例えば、(課題2)では、消費の昼タイムシフトに加えて、供給の夜タイムシフトと一体的に行う必要があります。

課題5 プロシューマの余剰売電単価との整合性確保

特に、家庭で太陽光発電を行うプロシューマのFIT売電料金が買電料金よりも高い場合は、昼の電気料金を安くしてもインセンティブの付与ができません

昼の太陽光発電の余剰電力を系統に売る売電料金単価よりも、発電がなされない夜の電気料金・買電単価が安ければ、昼の電気料金の高低にかかわらず、電気はなるべく夜間に消費したほうが得になります。

カリフォルニア州では、この問題を解決するため、今年4月より、余剰売電料金を卸売り市場での限界費用に合わせる方向での抜本的な制度改正がなされていますが、遡及的に昼間の売電単価を引き下げるわけにはいかないので、別の解決策を考える必要があります。

     カリフォルニア州の導入する月別・時間帯別に事前に設定される余剰売電単価(USD)

 

課題6 蓄電池の採算性確保が難しい

上記に関連して、家庭での蓄電池の導入が期待されるところですが、充放電を行う場合、蓄電池導入コストの減価償却分を30%とも言われる放充電ロス分を考えれば、売買値差(昼間の買電料金と夜の売電料金の差分)や調整力市場での売却益だけでは採算が合わない(ストレージパリティが達成されない)可能性があります。

解決策(その2)

当社は上記の5~6の課題を解決するための手法を以下のように提案します。

当社の特許技術を用いて、各電力供給が「電力を、いつ、どのくらい発電しているか。その時間帯のCO2排出係数(炭素強度)はどの程度か」に応じて各発電者の発電・放電による系統への売却時の系統の期間通算平均CO2排出削減回避係数(その供給者固有の炭素強度との差分)=炭素強度減分(kgCO2/kWh)を算定し、その絶対値や増加量(あるいは発電・放電量(kWh)や、その排出回避係数(炭素強度)との積でのCO2排出削減量(kgCO2)の絶対値や増加量と組み合わせて)に応じて、売電価格を積み増したり、ポイントを付与することで上記の問題点が解決できると考えます。

課題5に関しては、プロシューマには自身のCO2排出回避度スコアや、標準との比較(ランキングや偏差値)を示すことで、脱炭素への貢献を見える化して、非金銭的インセンティブによる行動変容の効果を高め金銭的ポイント付与の費用対効果が高まります。

また、プロシューマに求められる4つの行動(①電力消費量を削減する、➁消費を昼にタイムシフトする、③発電量を増大する、④発電を夜にタイムシフトする)を整理して、そのCO2排出量削減効果を定量的に提示することが可能となります。

課題6については、昼に蓄電池に充電して、夜に放電することで得られる、売買電単価の値差や調整力市場への売却収入に加えて、再エネ発電の夜タイムシフトに対して、当社技術を用いて、CO2排出削減価値を精緻に算定し、正当な対価を支払うことで、蓄電池の導入コスト(減価償却費)や電力の放充電ロスを上回る収入を確保し、蓄電池の普及拡大を図ることが可能となります。

当社技術では、蓄電池による再エネのタイムシフト価値を、放充電ロスによるCO2排出量増加分や時間毎の出し入れトランザクションを含め、管理会計的手法を用いて精緻に測定することが可能となっています。

上記に加え、需給一体型の再エネ大量導入に向けた近接性の確保による流通負荷の低減や、景観や安全上等の問題が一部で深刻な問題となっている環境・社会負荷の高い再エネ発電から、オンサイトなど環境・社会負荷の低い再エネ発電への誘導などを促す、特許出願中の新技術を用いて、一体的に再エネ供給・需要をシフトさせる仕組みの実現に向けて力を尽くして参ります。

政府関係機関・自治体、電力小売会社やEV・再エネ関連事業者の皆様との幅広い連携を進めておりますので、当社ホームページよりお問合せ・ご連絡をお待ちしております。

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