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STがTTTechに供給するチップが、ヨーロッパのロケット・プログラム「アリアン6」と、NASAアルテミス計画(人類を再び月に送り、さらに火星への深宇宙探査を実現するプログラム)の重要な宇宙ステーションである「NASAゲートウェイ」向け次世代ネットワーキングおよびコンピューティングのプラットフォームに採用
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7年間におよぶ協力関係とヨーロッパ・サプライ・チェーンのサポートにより、地球近傍および深宇宙でのデジタル化における技術リーダーシップを確立
世界的な宇宙産業の拡大に伴い、増え続ける宇宙計画に向け、高信頼性の「宇宙グレード」チップの安定供給が求められています。安全なネットワーキングとコンピューティングのプラットフォームにおけるテクノロジー・リーダーであるTTTechと、多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、両社の宇宙分野における協力が7周年を迎えたことを発表しました。STのチップを搭載した、TTTechの安全性と信頼性に優れた先進的なネットワーキング・コンポーネントおよびプラットフォーム・ソリューションは、宇宙産業における主要な商用プログラムと探査プログラムに導入されています。TTTechとSTが共同開発した最初のチップは、アリアン・ロケットプログラムに採用されました。さらに、深宇宙での非常に厳しい制約に合わせて最適化された第2のチップが、NASAアルテミス計画の主要部である宇宙ステーション「ゲートウェイ」のモジュールに実装されています。
TTTechの最高経営責任者(CEO)であるGeorg Kopetz氏は次のようにコメントしています。「私たちは新たな宇宙時代の幕開けを迎えつつあります。宇宙市場はこれまでに多額の民間資金を獲得しており、拡大する政府支出の恩恵を受けてきました。グローバルなインターネット接続と地球観測機能を提供する衛星コンステレーションの需要は高まる一方です。同時に、NASAアルテミス計画や宇宙ステーション「ゲートウェイ」プログラムなどにおける国際協力により、宇宙旅行、月移住および探査車といった新たな産業やプロジェクトが推進されています。これらは、当社のコア・コンピテンスである、安全でセキュアなハイテク・デジタル通信ソリューションに対するニーズも促進しています。TTTechは、宇宙市場の未来を切り拓くために、こうしたミッションに参画し、STのような大手テクノロジー企業と協力できることを誇りに思います。」
STのRF & コミュニケーション事業部ジェネラル・マネージャーであるVincent Fraisseは、次のようにコメントしています。「つながる深宇宙という構想を現実のものにするには、最先端のテクノロジーが不可欠です。STのチップは、さまざまな宇宙機関やTTTechのような市場リーダーとの協力を通じて宇宙産業に貢献しています。この協力の一環として、STは同一チップながら革新的な2製品を提供することで、短寿命ではあるものの過酷な条件下での信頼性が必要なロケットと、深宇宙の非常に過酷な制約の中で15年以上続くミッションの両方を可能にします。STは総合半導体メーカーとして、何十年にもわたり蓄積された、高い信頼性を持つ半導体の専門性をこの変化し続ける市場に提供し、ヨーロッパを拠点とした前工程および後工程の生産能力による安定した供給能力を顧客に提供しています。」
2021年、TTTechとSTは、耐放射線・高集積のTTEthernet®ネットワーク・コントローラの開発、製品化、および認定取得を完了しました。同コントローラは現在、アリアン6ロケットや「NASAゲートウェイ」モジュールなど、さまざまなロケットやロボット向けの航空電子システムで使用されています。
TTTechとSTは特に、アリアン6の基幹航空電子システムの構築に貢献しています。ここでの課題は、短寿命ながら過酷な打上げ条件下に対応するソリューションを開発し、品質認証を取得することでした。アリアン6は、欧州宇宙機関のためにArianeGroup社が開発したヨーロッパのロケットシステムで、現在試験中です。TTTechとSTの協力から生まれたチップおよび関連ソフトウェアは、50を超える航空電子ユニットに組み込まれており、そのすべてが冗長性を備えた単一のTTEthernet®ネットワークに接続され、ロケットの「神経システム」となっています。
もう一つの品種では、何年にも及ぶ長寿命かつ深宇宙の非常に過酷な放射線条件に対応するため、密封封止のセラミック・パッケージが使用されます。これは、宇宙へ行く最初の2つの「NASAゲートウェイ」モジュールで、居住および物流モジュール(HALO)と電力供給および推進装置(PPE)に搭載される予定です。「ゲートウェイ」は、初の月周回軌道上宇宙ステーションとなります。これは、2024年までに最初の女性と次の男性を月面に着陸させ、最終的には将来の火星有人探査の実現を目指すNASAのアルテミス計画の重要な部分です。PPEは60kWの電力を発生させ「ゲートウェイ」のサブシステムとソーラー推進システムに供給することで、「ゲートウェイ」の独自月周回軌道と、軌道上拠点の通信を維持します。一方、HALOモジュールは「ゲートウェイ」全体の指揮統制および配電の中枢的役割を果たし、居住区を提供し、科学的調査および月面探査との通信を実現します。
TTTech Aerospaceについて
TTTech Aerospaceは、デターミニスティックな組込みネットワークおよびプラットフォーム・ソリューションを航空宇宙および宇宙アプリケーション向けに提供しています。同社の製品はこれまでに、フライ・バイ・ワイヤ、電源システム、航空電子機器、エンジン制御、環境制御システムなどの安全性が重視されるレベルAの応用機器で10億飛行時間以上を達成しており、深宇宙での飛行距離は200万kmを超えます。実績ある成熟したソリューションを通じて、航空宇宙および宇宙産業の顧客が、拡張性の高いモジュール型統合デターミニスティック・ネットワーク・プラットフォームを開発できるよう支援しています。これにより、安全性、耐障害性、および可用性を向上できるようになります。さらに、統合ソリューションにより、サイズや重量、消費電力、およびコスト(SWaP-C)を低減していますので、機器の取扱いが容易になり、総ライフ・サイクル・コストを削減します。TTTech Aerospaceは、創業地のウイーン(オーストリア)に本社を置くグローバル志向のハイテク企業グループであるTTTech Groupの一員です。TTTechは、デターミニスティック・イーサネットのイノベーターであり、IEEE TSN規格およびSAE AS6802時刻トリガー方式のEthernet規格の推進役でもあります。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、50,000名以上の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、IoT・コネクティビティの普及を可能にします。STは、2027年までのカーボン・ニュートラルの実現を目標にしています。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。
◆ お客様お問い合わせ先
STマイクロエレクトロニクス(株)
マイクロコントローラ & デジタル製品グループ
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