今回の調査では、建設・建築業が直面している全体の課題として、「人材不足」(51.8%)や「労働人口の高齢化」(38.5%)が挙げられ、“2024年問題”と呼ばれる、労働環境の改善が急務となっていることが明らかになりました。経理業務に目を向けてみると、銀行振込や手形をはじめとした複数の決済手段が利用される中、特に支払い業務において、属人的な作業の効率化が課題であることがわかりました。今後の決済手段の利用意向としては、クレジットカード支払い希望が58.3%となり、業務の効率化のみならず、決済業務以上のメリットも期待されていることが明らかとなりました。
今回の主な調査結果
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建設・建築業界の直面する課題として半数以上が「ひと」と回答。人材不足や高齢化が顕著に。
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キャッシュレス化の流れの中、手形・現金での支払いは取引先が指定、銀行振込では半数以上が慣習を継続。
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請求時における最も大きな課題は「キャッシュフロー管理」。業界特有の“ツケ払い”が不満に。
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今後のクレジットカードの支払い利用希望は6割で現状の約2倍。利用者は決済業務以上のメリットを実感。
1.建設・建築業界の直面する課題として半数以上が「ひと」と回答。人材不足や高齢化が顕著に。
■建設・建築業で直面している全体の課題として挙げられたのは、「人材不足」(51.8%)や「労働人口の高齢化」(38.5%)となっており、“人”にまつわる問題が顕著になっています。
■人材不足が課題となっている企業では、専門のバックオフィス部門や担当を置いていない場合も多く見られる中、経理業務に関わる業務時間を聞いてみると、建設・建築業では月間平均で約107時間*となっていることが明らかとなりました。請求業務においては、在庫確認や見積もりの作成といった受発注処理業務に12.8時間、請求書の準備に11.6時間かかっているほか、支払いに関しては新規取引審査や経営状況の把握に10.5時間かかっており、人材不足とはいえ毎月経理業務に人員を割かなければならない状況が明らかとなりました。
■効率化したい決済方法を聞いたところ、「銀行振込」(49.2%)「現金」(42.7%)、「手形・小切手」(32.7%)の順で回答が寄せられました。それぞれの決済方法を効率化したい主な理由としては、「ミスを減らしたい」という属人的な作業によるリスクのほか、「面倒だから」や「別の業務に専念できるようになるから」といった業務効率が挙げられました。
2.キャッシュレス化の流れの中、手形・現金での支払いは取引先が指定、銀行振込では半数以上が慣習を継続。
■建設・建築業における主な取引先との決済方法について聞いてみると、請求/支払いのいずれも、銀行振込が 8割以上と、最も多く利用されていることが明らかになりました。さらに、現金(請求 43.0%/支払い 62.5%)、口座振替(請求 23.3%/支払い 47.6%)、手形・小切手(請求 26.5%/支払い 41.4%)、クレジットカード (請求 14.9%/支払い 30.7%)と続き、決済方法が多様化している様子がうかがえます。また、全体のうち、クレジットカードの利用は、請求では14.9%、支払いでは30.7%、と支払いの際での利用が2倍となり、より利用されている様子がうかがえます。
■また、支払い、請求共に、決済方法を選択する理由として、銀行振込は「いつもこの方法だから」(51.6%)が最も多く、手形・小切手(44.8%)、現金(37.3%)では「取引先にこの決済方法を求められるから」が主な回答となっていることから、企業が積極的に決済手段を選択できる状況にはないことが明らかとなっています。一方で、口座振替(37.5%)、クレジットカード決済(38.2%)においては、選択理由として「手間が少ないから」が最も多く、本来は効率的な手段を優先して選択したいという意向もうかがえる結果となりました。
■支払い機会別に決済方法を分けてみると、毎月発生する通信費(57.9%)や水道光熱費(57.9%)には口座振替、接待交際費(64.7%)や宿泊・出張代(53.4%)には現金、ガソリン代やETCといった荷造運賃(36.6%)にはクレジットカードと、用途や場面に応じて、支払い方法を分けている様子が明らかとなりました。 手形・小切手の利用機会は限定的ではあるものの、一部仕入れ代(17.5%)や、機材・設備費(9.1%)など、主に高額な取引で利用されています。
3.請求時における最も大きな課題はキャッシュフロー管理。業界特有の“ツケ払い”が不満に。
■請求時に関わる課題として、キャッシュフロー管理が最も多く挙げられました。特に、長期的な支払い期間によるキャッシュフローへの影響(39.5%)や、不透明なコミュニケーションによる支払い遅延(ツケ払い)(30.4%)といった入金までの期間に関する不満が挙げられています。支払い時においても、資金不足に対する不安(47.2%)が2番目に多い回答として寄せられたことから、キャッシュフロー管理が請求/支払いに共通する課題となっていることが明らかとなりました。
■キャッシュフローに大きく影響する点に関連して、請求から代金回収にかかる平均日数について見てみると、最短で18.3日、最長で43.6日との回答が多く寄せられました。なお、クレジットカード請求も利用している回答者は、最短10.1日、最長19.1日と、最長の場合半分の日数で回収可能となり、支払い期間の短縮を実現していることも明らかとなっています。
4.今後のクレジットカードの支払い利用希望は6割で現状の約2倍。利用者は決済業務以上のメリットを実感。
■支払いの際、今後希望する方法として、58.3%がクレジットカード決済を利用したいと回答しており、現状(30.7%)の約2倍となっています。すでに利用している回答者にメリットを聞いてみると、「ポイントが貯まる」(34.7%)や「振込手数料を減らせる」(32.6%)といった点が寄せられたほか、「効率化される」(29.5%)、「与信審査が不要になる」(13.7%)では、非利用者と比較しても大きなメリットとして挙げられています。
■取引先への請求の際に、クレジットカード決済を受け入れたい回答者は44.3%で、すでに受け入れを開始している回答者は、そうでない場合と比べて、「新規の取引先を獲得できる」(28.3%)、「与信確認が不要になる」(28.3%)、「コンプライアンス対策になる」(21.7%)といった、決済業務以上のメリットを実感していることが明らかとなっています。
B2Bの領域におけるデジタル化、キャッシュレス化が進む中、アメリカン・エキスプレスが提供する中小企業向けのビジネス・カードは、建設・建築業界においても利用が拡がっています。業界に特化した専門知識を持つコンサルティングチームが、
経費管理や経理業務の効率化を実現する支援を行うほか、建設資材のメーカーや資材の調達や販売をする商社をアメリカン・エキスプレスの加盟店とすることで、出張・接待交際費、ガソリン代、ETCによる高速道路料金、国税、広告費のみならず、高額支払いとなる建設機械や木材・建材、住設機器、電材などの仕入れにもビジネス・カードを利用いただき、支出をビジネス・カードによる支払いに集約し、管理することができます。
経理業務を簡素化し、キャッシュフローを可視化、改善することで、アメリカン・エキスプレスは、人材不足、労働力の高齢化など、2024年問題に直面している建設・建築業界のバックオフィスにおける効率化に貢献します。
*下記項目にそれぞれにかかる月間平均時間の回答を合算して算出
・請求関連:請求業務(請求書の作成や発行、等)、売掛金などの回収業務(振込確認作業、入金消込業務、等)、未回収代金の催促や回収業務、新規取引審査および限度額の見直しや経営状況把握、受発注処理の業務(在庫の確認、見積もりの作成など)
・支払い関連:支払い業務(支払い手続き、買掛金消込、支払先からのお問い合わせ対応、等)、規取引審査および限度額の見直しや経営状況把握、(取引先との)契約書作成
・その他:経費精算
【調査概要】
調査名:建設・建築業界における企業間決済調査
調査期間:2023年4月21日~ 2023年4月24日
調査手法:オンライン調査
実施対象者:建築・建設業界309名、20代~70代の男女
<アメリカン・エキスプレスについて> www.americanexpress.jp
1850年に米国ニューヨーク州にて創立したグローバル・サービス・カンパニーです。個人のお客様向けには多様なライフスタイルをサポートする商品やサービスをお届けし、法人のお客様向けには経営の効率化を実現しうる経費管理やデータ分析のツールを提供し、大規模/中堅企業や中小企業、個人事業主にいたるまで幅広いビジネスの成長を支援しています。日本では、1917年(大正6年)に横浜に支店を開設して事業を開始し、現在では世界180以上の国や地域に広がる独自の加盟店ネットワークとトラベル・サービス拠点を通じ、最高品質のサービスを提供しています。また、アメリカン・エキスプレスのカードは、JCBとの提携により、従来からのホテル、レストランや小売店などに加え、公共料金からスーパーマーケット、ドラッグストアなど日々の生活で使えるお店が拡大しています。