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企画背景
雇用慣行の変化や働き方の多様化にともない、社員が自らのキャリアを自律的に考える「キャリア自律」が注目されています。企業でも、自律的なキャリアを促す制度づくりの必要性が迫られています。
三井化学は、ライフ&ヘルスケアソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション、ベーシック&グリーン・マテリアルズの各事業をグローバルに展開する化学メーカーです。「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける」ことを目標に掲げ、2022年度から自律的キャリア開発支援として、社内公募、副業等の外的キャリア(※1)施策だけでなく、内的キャリア(※2)に重点を置いた施策も展開してきました。
その内的キャリア支援として、従来一部の社員が対象となっていた能力キャリア開発シートを「Will Can Needシート」という名前でリニューアルし、今年2023年5月から全社員向けに展開を開始。「Will Can Needシート」は、自分がなにをしたいか(=Will)、自分ができることはなにか(=Can)、求められていることはなにか(=Need)を書き込み、内省と対話を通じてキャリア開発を促すツールです。しかし、三井化学人事部の・平石章さんは、「そもそも個人のキャリアは会社ではなくその人自身のもの。会社から無理やり書かされたものに意味はない。どうすれば進んで書いてもらえるだろうか」という点で課題を感じていたといいます。
そこで、今回、「サイコロ給」や「360度フィードバック」といったユニークな社内制度を運用しているクリエイター集団、面白法人カヤックと、楽しく内的キャリアに向き合う仕掛けづくりに取り組みました。
(※1)外的キャリアとは、職業、役職、年収、仕事環境など外から見えるキャリアのこと。
(※2)内的キャリアとは、仕事のやりがいや興味や関心、誇りや使命感など自身の内側にあるキャリアへの価値観のこと。
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誕生!自分なりのキャリアづくりを楽しんで考えられる、単語帳型「キャリアのトリセツ」とは
キャリアに対する潜在的な想いの言語化を、より具体的に引き出すお助けツールとして生まれたのが、この単語帳型「キャリアのトリセツ」です。単語帳型にした理由を含め、「キャリアのトリセツ」には次の3つのポイントがあります。
◎ポイント 1)ゆるキャラが登場し、深〜い問いかけで心の奥の言語化をお助け 2)書き込み式カードで自分だけのキャリア単語帳をつくっていくことができる 3)ポジティブな振り返りができる仕掛けも |
「キャリアのトリセツ」に登場するのは、手書き風のゆるいキャラクターたち。赤ペンを持った「グッドキャリア教授」が、社員の心の中にいるであろう「ウィルバード」「キャンドッグ」「ニドリザード」の言葉を引き出してくれます。急に「これからのキャリアを書いてください」と言われると、構えてしまったり、筆が進まなかったりすることもありますが、親しみをもてるキャラクターたちが、童心に戻るトリガーになってくれます。どこか懐かしさを感じるキャラクターは、“キャリアを考えるって夢だよ、上司の目とか部下の目とか気にせず、自由に書いていいんだよ!”と背中を押し、純粋な言葉を引き出してくれたらという思いを込めてデザインしました。
(記入例のカードには、グッドキャリア教授による心の奥の声を引き出すアドバイスが赤ペンで書かれており、めくるとそのアドバイスを反映した記入例を確認できます)
グッドキャリア教授による「Will Can Need」を書くコツを学んだあとは、自分自身が書き込む番です。自分だけの目標や夢がつまった単語帳をつくりあげていきます。単語帳は正解が一つと思われがちですが、キャリアに正解・不正解はないという考え方のもと、「キャリアのトリセツ」には書き方のコツが書かれているのみで、実際に書き込んでいくのは社員自身です。また、カードを増やしていける単語帳ならではの機能もあります。毎年あるいは四半期ごとなど、自分にあったペースで、起こった変化や目標の変化などを追記していくことも可能です。(これを「Will Can Needシート」にそのまま転記できます。)さらに自分ではなかなか気づかない「Can」や上司・同僚からの「Need」に対話を通じて気づくためのツールにもなります。
(ワークシート的に使える書き込み用のカード)
(追記できるカードも用意されています)
この単語帳型カードには、自分が書いた目標の各カードに貼ることができる「よくできました」シールが付属されています。どんな結果であれ、目標をもって頑張った自分を自分で褒められるツールです。振り返りや反省というと、「あれができなかった」「全然できなかった」と落ち込む社員も多いという声を受けて、自分自身が「できたこと」を褒めながら振り返り、次の一歩を踏み出して欲しいという想いが込められています。
(小学生の時に先生から「たいへんよくできました」シールを貰えると嬉しかった、次も頑張ろうと思った、という人も多いのでは)
このように単語帳型カード「キャリアのトリセツ」は、時間をかけて自分だけの”マイ”「キャリアのトリセツ」が出来ていきます。また、目標を書き込んだカード取り外し、“しおり”にして、自身のモチベーションのために持ち歩いてもいいかもしれません。キャリア自律が求められる今、このツールで社員が生き生きと働くきっかけとなることを願っています。
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「キャリアのトリセツ グッドキャリア教授の赤ペン講座」に挑戦した三井化学社員のコメント
「Will Can Needシート」は入社1年目の新卒社員であっても、役職についている管理社員であっても、それぞれのステージでやってみたいことを、恥ずかしく思わずに童心に戻った気持ちで書いてもらいたいという狙いがあります。実際に「キャリアのトリセツ」に挑戦した社員からのコメントです。
「キャリアを考えるのは正直苦手意識がありました。『キャリアのトリセツ』を見てみて、単語帳形式で自分にも書けそうと思いました。キャリア対話についても、ハッキリとしたキャリアプランがないと上司と話ができないと思っていましたが、対話のハードルも下げてくれそうだと思いました。」(新卒入社、20代、事業)
「これまで『能力キャリア開発シート』に取り組む際、固い感じのエクセルシートで正直面倒だなと感じることもありましたが、『キャリアのトリセツ』なら気軽に5分〜10分でも少しずつ書き込めそうです。キャリアを棚卸しする機会ってなかなかないと思いますが、これをきっかけに、どうなりたいか、社会にどう貢献するなど深いところまで考えられる機会を、若手にも提供できそうです。」(新卒入社、30代、研究)
「これまで部下とキャリアの話をするときに、特に強いキャリア希望を持たない部下とは何をどう話をしていいかわかりませんでした。『キャリアのトリセツ』を使えば、気軽に楽しくキャリア対話ができそうです。」(中途入社、40代、ライン管理職)
また、「この『キャリアのトリセツ』に書き込んだあと、上司や部下にも見てもらって、自分の気づかない強み(CanやWillなど)を書いてもらえるようなフィードバックカードがあると、書き込んだあとの『キャリアのトリセツ』の活用が広がるかも」といったアイデアも出ました。
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三井化学株式会社概要
三井化学の起源は1912年に遡ります。当時の社会課題であった食糧増産のため、日本で初めて石炭副生ガスから化学肥料原料を生産し、農業の生産性向上に大きく貢献しました。その後、石炭化学からガス化学へとテクノロジーを進化させ、1958年には日本初の石油化学コンビナートを築き、日本国内の産業界を牽引してきました。三井化学は、今後も卓越したソリューションと「新たな顧客価値の創造」を通じ、社会課題の解決に貢献してまいります。
創立 :1997年10月1日(設立年月日1955年7月1日)
代表者 :橋本修
所在地 :東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー
事業内容 :ライフ&ヘルスケアソリューション事業、モビリティソリューション事業、ICTソリューション事業、ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業
URL :https://jp.mitsuichemicals.com/jp/index.htm
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株式会社カヤック概要
固定概念にとらわれない発想力・企画力、形にしていく技術力を強みに、ゲームアプリや広告・Webサイト制作を始め、コミュニティ通貨、移住・関係人口促進など最新テクノロジーとアイデアを掛け合わせた新しい体験をユーザーに提供しています。社員の9割がデザイナーやプログラマーなどのクリエイター人材で「つくる人を増やす」を経営理念に多様性を生かしたユニークな人事制度や経営を行なっています。
設立 :2005年1月21日
代表者 :代表取締役 柳澤大輔 貝畑政徳 久場智喜
所在地 :神奈川県鎌倉市御成町11-8
事業内容 :日本的面白コンテンツ事業
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