豊橋市の本部日勤救急隊は、育児休業から5年ぶりに現場へ復帰した女性2人と再任用職員の男性5人の計7人で構成されます。市中消防署に救急車とともに配備されています。平日の午前8時半から午後5時15分に勤務。中消防署の24時間対応の救急隊同様に要請に従い出動します。
市内の救急隊出動件数は増加傾向で、2021年の1年間で1万5014件。中消防署は市街地に立地していることもあり、市内の消防署の中で出動件数は最も多い3385件で市全体の23%を占めます。1日平均9・3件、1日の最多出動件数は15件でした。
救急需要が高まる中、日勤救急隊の創設により、8署8救急隊から9救急隊の体制となり、救命率の向上などにつながる一方、安心して働ける職場環境づくりの受け皿にもなります。
育児休業から復帰する女性職員は、24時間勤務は難しいですが、日勤救急隊なら育児、家庭と仕事を両立しながら救急の現場で働けます。定年退職した職員も、再任用職員としてこれまでの経験、知識を生かせます。
ともに出産、育児で育児休業し、5年ぶりに日勤救急隊として現場に復帰した2人に話を聞きました。
救急救命士でもある岩佐裕子さん(39)は「日勤勤務は初めてのことで、正直、不安もありましたが、市民1人1人に安心感を与えられるように活動したいです」と言い、「24時間勤務と違い、毎日自宅へ帰れ、一日のうちに子どもと『いってらっしゃい』『おかえり』『ただいま』が言えます」と育児との両立を喜んでいます。
荘田文音さん(33)は「5年のブランク、知識と体力の面でも不安がありましたが、リスタートプログラムで訓練して解消されました」。その上で「隊員として救急サービスをしっかり提供し、母親の立場からは体調、けがに注意したいです」と意欲をみせていました。
6月30日には、本部日勤救急隊の発足式が中消防署で開かれました。小清水宏和消防長が発足宣言をした後、浅井由崇市長が「命の安全、心の安心が確保されたまち豊橋として、持続可能な救急体制を目指します」とあいさつ。市議会の堀田伸一議長らも、日勤救急隊の活躍に期待を寄せていました。
交通事故を想定した日勤救急隊による救急活動のデモンストレーションも披露され、隊員らはきびきびとした動きを見せていました。