豊島株式会社は、世界各地から原料・糸・生地の買い付けおよび販売や、最終製品の企画から生産まで一連のプロセスを手掛け、ファッション産業のあらゆる過程において総合的に事業を展開しています。5GやICTが普及しSociety5.0が推進される世の中において、当社が社会へ提供できることを模索し、2017年よりCVCファンドから最新テクノロジーを保有するベンチャー企業へ出資しています。
AMPHICOは 、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国王立芸術大学院大学)からのスピンアウトとして、2018年にロンドンを拠点に創業したスタートアップです。材料科学とデザインを高度に融合させることでウォータースポーツやアウトドアスポーツ向けの機能性素材を開発しています。現在の市場で多く採用されている透湿防水性の機能を持つ生地は、廃棄時の分解の難しさやリサイクルコストの高さといった問題を抱えていますが、これに対して同社が開発する生地は、透湿防水性に加え、非フッ素素材でありながら撥水性にも優れ、低コストでリサイクルが可能なことが特徴として挙げられます。
2019年から新型コロナウイルスの世界的な流行でライフシーンのあらゆる面で制限が生まれた中、キャンプをはじめとするアウトドアへの注目度は高まっており、アウトドアアパレル市場はコロナ禍でも堅調に成長を続けています。一方、社会全体としてサステナビリティやSDGsへの取り組みが重視されていることで、アウトドアアパレル・雑貨においても、透湿防水性や撥水性といった機能面だけでなく、素材や製造方法についてサステナビリティなニーズが高まっています。その例としては、アメリカのカリフォルニア州では2022年10月に人体や環境への懸念物質を含む繊維製品の製造・流通・販売を禁止する州法の成立により、2025年1月からフッ素系の防水透湿膜やフッ素系撥水剤を使用した衣料品が規制されることとなり、また欧州委員会が昨年発表したREACH規制*1の制限物質リストにもDMF(ジメチルホルムアミド)*2が記載され、テキスタイルコーティングやポリウレタン膜製造の溶剤への使用は2024年12月12日から禁止されるようになります*3。
このような社会的な背景がある中で、AMPHICOが開発する機能性とサステナビリティが両立した次世代の素材を、豊島が持つ様々なネットワークを通して製品化へ繋げ、地球環境に配慮しながら皆さまの日々の生活がより豊かになっていくことに貢献してまいります。
*1欧州連合(EU)における化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則
*2ポリウレタンの膜の製造時に溶剤として使われ、人体への毒性で知られる
*3繊研新聞2022年12月6日紙面より引用
■豊島株式会社のCVCについて
弊社は“IoTですべての人とものがつながる世界に向け、社会の課題を解決し、ひとりひとりの快適な生活を実現する”ことを目指しております。2017年にCVCを発足し、最新のテクノロジーを保有する企業、次世代の環境素材を開発する企業など幅広い分野のベンチャー企業の皆様と、出資を通して共にその実現に向けたサービスや商品の開発を進めております。これまでの事例として、ウェルネス関連事業を展開する株式会社TENTIALと疲労を軽減するリカバリースリープウェア「BAKUNE」の開発や、AI技術によって表面的な情報だけではなく、見えない領域のデータを可視化するAIQ株式会社とアパレル企業への商品提案やソーシャルメディアの運営サポートなどがあります。
先端素材研究開発会社
■AMPHICO (登記名Amphibio Ltd)
2018年ロンドンにて創業。英国王立芸術大学院大学と提携しバイオミミクリーとデザイン、サイエンス、エンジニアの融合を礎に、環境問題への解決策を提案。特に、フッ素の有害性とその環境に与えるインパクトに着目し、シンプルかつ持続可能なアプローチを確立。それをスポーツウェア、アウトドア用品に適用し、フッ素フリーの素材、Amphitex™を提案。単一性素材ながら防水性と透湿性、さらには伸縮性を共存させ、100%リサイクル可能な素材を実現しました。加速するアパレル産業の持続可能なプロダクトライフサイクルの取り組みにおいて、イノベーションの一端を担います。
2022年4月、英国王チャールズ3世と元アップルのデザイン最高責任者サー・ジョニー・アイヴが設立した世界のサステイナブルマーケットをリードするTerra Carta Design Lab賞を受賞。 11月にはAMPHICOとしてマーケットに向けてブランド名を更新。’Everything, One thing’をスローガンに更なる加速を目指します。
https://www.amphico.uk/
ライフスタイル提案商社
■豊島株式会社
1841年創業。180年を超える実績を礎として、時代の変化に応じて事業領域を拡大。グローバルな原料手配から最終製品の企画・生産管理・納品まで、ファッション産業のサプライチェーンを総合的に担います。また持続可能なライフスタイルを提案する企業として、Society5.0の社会に向かってサステナブル素材や機能的な商品の開発を進めるとともに、テックベンチャーへの投資や提携を通じてインフォメーション・テクノロジーを活用したサービスの提供を進めて参ります。
2019年より「MY WILL(マイ・ウィル)」をステートメントとし、当社の姿勢を打ち出しています。
https://www.toyoshima.co.jp/