今年は「地域貢献大賞」1件、「地域貢献賞」7件の授賞を決定しました!表彰式の様子を11月17日(木)16:10からYouTubeでライブ配信いたします。
2007年に創設の本賞は、新聞販売所の貢献活動について広く知ってもらい、販売所の信頼向上、イメージアップを図るとともに、地域社会に密着した活動を奨励することで、販売所が地域社会の一員としての自覚を高めることを目的としています。
2022年「地域貢献大賞」は長崎新聞青方販売センター「地域に密着した『島の新聞屋さん』」が受賞しました。
古新聞を利用した新聞エコバッグづくり講習会を定期的に開催し、高齢化が進む地域で老若男女が集う交流の場を作っています。同センターがある五島列島 は、NHKの朝ドラ「舞いあがれ!」の舞台にもなっています。住民に愛される取り組みによって地域活性化に貢献しています。
表彰式の様子はYouTubeでライブ配信し、大賞のほか、「地域貢献賞」を受賞した活動7件について紹介します。全国各地の新聞販売所による、地域に密着した貢献活動の一端をご覧ください。
YouTubeライブ配信! 2022年11月17日(木)16:10~
https://youtu.be/ilmIrT0ZD7s
受賞活動は日本新聞協会のサイトでもご紹介しています。ぜひご覧ください!
https://www.pressnet.or.jp/about/commendation/chiikikouken/2022.html
2022年「日本新聞協会 地域貢献大賞」活動概要
〈地域貢献大賞〉(1件)
◇地域に密着した「島の新聞屋さん」
長崎新聞青方販売センター(法村新聞販売店) 所長 芳賀良介
●実施期間:2010年~
●実施地域:長崎県新上五島町
●活動概要:長崎県・五島列島の長崎新聞青方販売センター(芳賀良介所長)は、高齢者を中心とした「古新聞を用いた新聞エコバッグづくり講習会」を定期的に開催している。新上五島町地区は高齢化率42.7%という、県内で2番目に高齢化が進む町である。2010年に同地にUターンして家業を継いだ妻の佳美さんと、上五島に魅了されIターンを決意した芳賀所長が夫婦二人三脚で経営している。高齢化が進む地域で老若男女が集まるコミュニティーを作っているだけでなく、エコバッグや小物入れ作りなど指先を使うことで、認知症・介護予防にも一役買っている。リサイクル意識を広めたいとの思いが活動のきっかけになったことから、浜辺での講習会とゴミ拾いイベントも開催している。21年には上五島町の北の玄関口になる有川港ターミナルでエコバッグの展示会を行った。また18年10月から月に1度、A3判のミニコミ紙『島の新聞屋さん』を発行し、地元の話題紹介や町の歴史を振り返る企画などを掲載、配布している。読者投書もあり、毎月多くの読者が楽しみにしている。
※芳賀良介(はが・りょうすけ)
〈地域貢献賞〉(7件)
◇縄文遺跡群の世界文化遺産登録に向けた地域の取り組みに貢献
東奥日報木造販売店 店主 川嶋大史
●実施期間:2007年~
●実施地域:青森県つがる市ほか
●活動概要:青森県内8遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が2021年7月、世界文化遺産に登録された。このうち、東奥日報木造販売店があるつがる市には亀ケ岡石器時代遺跡、田(た)小屋(ごや)野(の)貝塚の2遺跡がある。川嶋大史店主は販売店経営の傍ら、かねて地域の文化財を守り、後世に伝え残す活動を通して、登録実現に向けた地域の機運醸成に貢献している。
同県が登録を目指すことを決めると、川嶋店主は実現には「地域の盛り上がりが不可欠」と悟り、志を同じくする地域の仲間たちと07年にNPO法人「つがる縄文の会」を設立。以来、行政などの協力を得ながら、児童生徒向け勉強会・体験学習、縄文文化フォーラム、ボランティアガイド養成講座、遺跡まつりなど、地域住民と一体になった活動を続けてきた。
川嶋店主は縄文の会の3代目理事長として世界文化遺産登録に立ち会い、悲願達成に感激しつつも、「登録はゴールではなくスタートライン」と位置付け、今後も遺跡群を土台にした地域づくりを続けることに意欲を燃やしている。
※川嶋大史(かわしま・だいじ)
◇7年目を迎えた、小中学生の国語力向上のための、教育委員会と連携した「新聞の日」の実践
読売センター横手 所長 福井淳
●実施期間:2016年~
●実施地域:秋田県横手市
●活動概要:読売センター横手の福井淳所長は、秋田県横手市教育委員会が2016年度から学期中の毎月第3金曜日に設けた「横手市新聞の日」の教材として新聞を提供しており、22年度は市内20の小・中学校へ児童・生徒5500人分となっている。
15年に同県出身の読売新聞社・橋本五郎特別編集委員による「中学生のための新聞講座」の実施をきっかけに、同市教育委員会の伊藤孝俊教育長から、授業教材として生徒1人につき新聞1紙を使いたいとの要望が寄せられた。これを受け、無購読者対策として、小・中学生に新聞を読む習慣を身に付けさせ、学校教育を通して「読み」「書き」の能力を養うことを目的に、16年4月から年8回の新聞提供を開始した。新聞を毎週活用している小学校には、お礼として図書を寄贈している。
活動は22年で7年目に入り、各校では学年に応じて読売新聞、読売KODOMO新聞、読売中高生新聞を活用している。児童・生徒たちが記事を選び、意見、感想を述べる授業のほか、壁新聞の制作や感想文コンクールなどを通して、国語力を身に着けるのに大いに役立っていると教育現場からの評価は高い。18年4月からは美郷町、20年5月からは大仙市にも「新聞の日」の実践が広がっている。
※福井淳(ふくい・じゅん)
◇ミニコミ誌発行で地域防犯に貢献
相武読売会 相模原支部
●実施期間:2014年~
●実施地域:相模原市
●活動概要:神奈川県相模原市の読売センターで組織する相武読売会相模原支部は、地域の防犯・安心安全に役立てるため、2014年6月から神奈川県警相模原警察署より情報提供を受け、ミニコミ誌『新聞には載らないじもとの事件簿』を発行している。
読売センター淵野辺中央の佐藤日出雄所長が発行・編集責任者となって毎月第4日曜に発行し、同署管轄エリアの読売センター10店で朝刊への折り込みを8年にわたり行っている。
『事件簿』には事件の発生日時・場所、事件名、被害品など、1か月の間に地域で起きた、新聞では全てを報じられることの少ない事件をきめ細かく掲載している。特殊詐欺電話への注意喚起や交通安全意識向上なども呼び掛けている。21年3月には、地域に密着した防犯活動を強力に推進し、安全で安心して暮らせる街づくりに多大な貢献をしたとして、同署から感謝状を授与された。
※折り込み実施販売所:淵野辺中央、淵野辺南部、淵野辺北部、淵野辺西部、相模原中央、新相模原、南橋本、大沢、上溝、田名(計10販売所)
※発行・編集責任者=佐藤日出雄(さとう・ひでお)
◇月刊ミニコミ紙『わたなべしんぶんてん・にゅうす』発行を軸とした地域貢献活動
渡辺新聞店 代表取締役社長 渡辺次朗
●実施期間:2002年~(新聞切り抜きファイル提供)/05年~(ミニコミ紙発行)/06年~(新聞スクラップ講習会、同コンクール開催)
●実施地域:山梨県南アルプス市
●活動概要:山梨県南アルプス市の渡辺新聞店は、月刊ミニコミ紙『わたなべしんぶんてん・にゅうす』発行を中心に、地域コミュニケーションの促進に貢献している。渡辺次朗代表取締役社長は、地域のことをもっと知ってもらいたいとの思いから2005年に同紙を創刊した。6ページ・フルカラーの紙面では、地域で活躍する人の紹介コーナーや社長コラムなどが人気を集め、紙齢は200号を超える。
毎年夏休みには、親子で新聞にあらためて関心を持ってもらおうと、山梨日日新聞社などの協力を得て「新聞スクラップ講習会&コンクール」を開催。ミニコミ紙などで毎年参加者を募集し、コンクールの優秀者を表彰している。
学校や地域への支援プログラムとして、新聞の提供や渡辺社長自身による出前授業に加え、学校や地域団体が行う年間40件ほどの行事を『にゅうす』号外等として告知するなど、積極的に活動している。
このほか、地域イベントへのブース出展や新聞号外展の開催を通して、新聞PRに向けた企画も実施している。
※渡辺次朗(わたなべ・じろう)
◇ただいま!支援SOSメール
読売センター湯島 所長 小川豪
●実施期間:2015年~
●実施地域:東京都文京区
●活動概要:読売センター湯島の小川豪所長は、文京区が実施する福祉施策「ただいま!支援SOSメール」の協力サポーターとして、文京区内在住の高齢者を対象に見守り活動を行っている。
「SOSメール」は登録された高齢者が行方不明になった時に、協力サポーターに情報をメールで一斉送信し、周知を受けた同センターのスタッフはサポーターとして店舗周辺や配達時の見回りを行い、迅速な発見・保護に努めている。
2015年には、行方不明者の情報提供を受けてスタッフに周知した直後、店舗の向かいを歩く高齢者を発見し、無事保護した。その日は気温が高かったため、保護した高齢者には家族が迎えに来るまで店内の涼しい場所で休んでもらった。認知症高齢者や家族が住み慣れた町で安心して暮らし続けられるよう、地域の見守り体制の重要な一翼を担っている。
※小川豪(おがわ・ごう)
◇命を救う「地域見守り活動」
四国新聞販売店会「四国会」
●実施期間:2015年~
●実施地域:香川県
●活動概要:四国新聞の販売所59店で組織する「四国会」は、新聞の配達網を生かして安心・安全なまちづくりにつなげようと、2015年から配達中の見守り活動に取り組んでいる。
四国会は、郵便受けにたまった新聞などで読者の異変を察知し、22年8月末までに31人を救助した。香川県警察などから受けた表彰状・感謝状は15件に上る。
16年以降、香川県をはじめ県内自治体や県警と地域の見守り協定を締結している。他の事業者や民生児童委員らにノウハウを伝授するなど、全県的な活動の底上げにも協力している。
また、見守り活動をテレビCM化して広く認知されたことで、地域住民から情報提供されるなど協力を得られるようになった。17年にはより実践的な対応を学ぶため、四国会全員が認知症サポーター養成講座を受講している。同活動について住民からは「地域の交流が少なくなる中、四国新聞の見守りは心強い」などの声が寄せられている。地域からの信頼を胸に、スタッフの一人一人が誇りを持って活動に取り組んでいる。
※会長=鴨居哲男(かもい・てつお)
◇子牛競り市結果をチラシ作製し、読者へ届ける
宮崎日日新聞高千穂販売所 所長 和田久嗣
●実施期間:1980年ごろ~
●実施地域:宮崎県高千穂町
●活動概要:宮崎日日新聞高千穂販売所の和田久嗣所長は、隔月開催されるJA高千穂地区子牛競り市の成績をまとめた手書きの号外チラシを作製し、競り翌日の朝刊に折り込む読者サービスを前所長から引き継いで40年以上続けている。
チラシ作製は和田所長の叔父だった前所長が1980年ごろに始めた。当時、地域で「高千穂牛」のブランド化を目指す機運が高まり、「競り市の情報を入れてほしい」との要望が増加した。情報誌の編集経験を生かし、チラシを作製して全読者に届けた。
チラシは片面モノクロのB4判で、最高売却価格やその生産者、血統などを地区別に掲載している。2日間にわたり開かれる競り市に従業員が連日出向いて成績を書き写し、年間約20万円の印刷代をかけて、読者に届け続けている。
和牛農家から「詳しい結果がすぐに分かるので助かる」「JAよりいち早く市場価格を知ることができ、感謝している」という声が挙がっている。
※和田久嗣(わだ・ひさつぐ)