日東電工株式会社向けにボイラ排ガスからCO2を回収する「CO2分離膜装置」テスト機を納入

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化学工場のボイラ排ガスや、ごみ処理場排ガスには多くのCO2が含まれることが課題となっています。このたび木村化工機株式会社(以下「当社」)は、日東電工株式会社(以下「Nitto」)が開発し、協議のもと当社がエンジニアリング及び製作したCO2分離膜装置のテスト機(以下「本装置」)を、Nitto滋賀事業所に納入しました。本装置はボイラの排気ガスから低濃度CO2を直接回収する装置で、実証試験を開始しております。

CO2の回収技術は貯蔵技術と併用すれば、排気ガスからのCO2削減に役立つと期待されています。当社は、本装置で回収されたCO2からメタノールなどを合成する技術への適用も視野に入れております。

既にCO2とH2からメタノールを合成する技術が知られています。本装置から回収されたCO2とアンモニアを分解して得られるH2を原料とし、メタノールを合成することで、地球温暖化防止に貢献できます。当社は、2019年に当社尼崎工場内で国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学及び澤藤電機株式会社と共同で、廃液レベルの低濃度アンモニア水からプラズマメンブレンリアクター(H2 Harmony)でH2を製造する実証試験に成功した実績があります。

合成されたメタノールは、蒸留による高濃度までの濃縮が必要となります。この蒸留操作には、従来法では、ボイラ蒸気を使用しますが、化石燃料を燃焼するボイラでは、CO2を排出することとなり、CO2の排出削減を目指す合成メタノールの製造には、ふさわしくありません。一方、当社が提供するヒートポンプ式メタノール蒸留装置は、ボイラ蒸気を不要とし、電力のみで蒸留操作が可能です。再生可能エネルギー由来の電力を使用すれば、CO2排出量がゼロとなります。当社は、カーボンニュートラルの実現に向けて、排ガス及び廃液からメタノールなどの化学品を製造する技術で地球温暖化防止に貢献していきます。

・アンモニアからH2を製造する実証試験

実証試験は 2019年11月6日に当社尼崎工場内で行われました。図1は実証試験装置の全体フローです。実証試験では、低濃度アンモニア排水を想定した1wt% のアンモニア水を当社が開発した「ヒートポンプ式省エネ型アンモニア回収装置」(写真1)に供給して、95wt%以上の高濃度アンモニアガスに濃縮し、その一部をプラズマメンブレンリアクター(写真2)に導入して高純度水素を製造し、発電電力1kWの燃料電池(写真3)で発電することに成功しました。アンモニア回収装置の横に取り付けたLEDランプの点灯により、低濃度アンモニア水から高純度水素製造と燃料電池発電の成功を確認しました(写真4)。

図1実証試験装置の全体フロー図1実証試験装置の全体フロー

写真1 ヒートポンプ式アンモニア回収装置写真1 ヒートポンプ式アンモニア回収装置

写真2 プラズマメンブレンリアクター写真2 プラズマメンブレンリアクター

写真3 H2 Harmonyと燃料電池システム写真3 H2 Harmonyと燃料電池システム

        

写真4 LEDで発電を確認写真4 LEDで発電を確認

・省エネ型ヒートポンプ式蒸留装置

ヒートポンプは装置から排出され不要とされている低温レベルの熱を回収し、有効エネルギーとして再利用できることから蒸発・蒸留装置への適応が期待されてきました。

当社は化学プラントで大量に排出されているCO2を削減するためにボイラ蒸気を使用せずに100%電力のみで蒸発・蒸留を可能とする各種省エネ型ヒートポンプ式蒸発・蒸留装置を開発しました。蒸留には蒸気が必要との固定概念を打ち破り、電化によるCO2排出ゼロを目指しています。

電力は電気ヒータではなく、潜熱を有効利用できるヒートポンプ式を採用しており、当社独自のシステムにより高レベルの省エネルギーが達成できます。

省エネ型蒸発・蒸留装置(ヒートポンプ式/MVR型) |木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部
蒸発・蒸留プロセスのCO2削減に貢献する省エネ装置として、ヒートポンプ式蒸留装置(メタノール蒸留装置、アンモニア回収装置)やMVR(自己蒸気機械圧縮)型蒸発装置を提供。

・当社の地球環境への取り組み

当社は地球環境への取り組みとして、温暖化対策であるCO2排出削減および省エネルギー化を継続して社会にご提案させていただいております。当社は2017年にヒートポンプ式メタノール蒸留装置で省エネ大賞 経済産業大臣賞を受賞し、2018年には環境大臣表彰を受賞しました。そして2020年には発展型の省エネ型ヒートポンプ式蒸留装置の開発にも成功しました。ボイラ蒸気を不要とし、電力のみで蒸留操作が可能です。再生可能エネルギー由来の電力や、原子力発電による電力を使用すれば、CO2排出量がゼロとなります。この蒸留装置は、単なる電化ではなく消費エネルギーを大幅に削減しているため、省エネ型としています。

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