第6回 自動翻訳シンポジウム~アフターコロナを見据えた今後のAIを活用した多言語翻訳技術の役割について~を開催しました!

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総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及びグローバルコミュニケーション開発推進協議会は、世界の「言葉の壁」をなくし、グローバルで自由な交流を実現するため、多言語翻訳技術の研究開発と社会実装に取り組んでいます。
今般、外国人の新規入国制限の見直し等により訪日・在留外国人の増加が見込まれる中、技術水準の向上と実用化が進む多言語翻訳技術について広く発信していくため、「第6回 自動翻訳シンポジウム」を開催し、アフターコロナを見据えた今後のAIを活用した多言語翻訳技術の役割や、AIによる自動翻訳の今後の発展の方向性について議論・発信を行いましたので、その概要をお伝えします。

<第6回 自動翻訳シンポジウム 概要>
日時:2023年2月16日(木)13:30~16:00(併設展示会13:00~16:40)
開催場所:品川 ザ・グランドホール
※最新の同時通訳・自動翻訳システムの展示会を併せて実施。
来場者:389人
主催:総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、グローバルコミュニケーション開発推進協議会
後援:内閣府 デジタル庁 法務省 外務省 文部科学省 厚生労働省 農林水産省 経済産業省 特許庁 国土交通省 観光庁 環境省 一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会 一般社団法人人工知能学会 一般社団法人日本データベース学会 人工知能研究開発ネットワーク

当日のプログラム (敬称略)
1.開会挨拶
グローバルコミュニケーション開発推進協議会 須藤会長より開会の挨拶を行いました。

▼要旨
・コロナ禍においては、海外とのリモート会議が増える中、リモート会議ツールと多言語翻訳技術との組み合わせによる支援が多く実施されてきた。
・昨年秋以降、日本国内への海外からの旅行者が増加しており、今後も多言語翻訳の重要性はさらに重要になっていく中、リアル開催となった今年度の開催では会場展示に過去最多の24者から出展があった。
・グローバルコミュニケーション開発推進協議会は、総務省が策定した「グローバルコミュニケーション計画2025」に沿って、言葉の壁がない、グローバルで自由な交流ができる世界を目指し、産学官が一丸となって活動しており、多言語翻訳技術のさらなる高度化や社会実装の促進にさらに注力していくので、今後もご協力・支援をお願いしたい。

2.主催者挨拶
つづいて、主催者を代表して、総務省 柘植芳文副大臣より挨拶を行いました。

▼要旨
・グローバルコミュニケーション開発推進協議会のもと、産学官・オールジャパン体制で社会実装化を図り、NICTの翻訳技術を活用した30を超える製品・サービスが社会に普及している。
・総務省では、重要性が高まる情報通信分野において国際的なイニシアティブを確保すべく、次世代の情報通信インフラであるBeyond 5Gについての研究開発や社会実装の加速化、キーテクノロジーの国際標準化に取り組むとともに、量子通信、宇宙、そしてAI等の最先端技術の研究開発を推進していく。
・今後も、多言語翻訳技術を通じて、訪日、在留外国人との共生社会の実現や企業のビジネスチャンスの拡大や、海外連携の促進を図り、国内外での経済・社会活動において日本の価値と魅力を高めていく取り組みを進めていく。

3.基調講演
「インバウンド観光の最近の動向・今後の見通し、多言語翻訳技術に期待すること」
日本政府観光局(JNTO) 理事 中山 理映子氏

▼要旨
・世界経済フォーラムの「旅行・観光競争力ランキング」(2021年)で日本は初の一位になった。その他の媒体からも観光地として、日本が評価され、地方都市も注目されている。
・日本のインバウンド観光においては「地方への誘客」「消費額」「言語障壁」が課題。
・特に交通機関や案内所、宿等での多言語対応が遅れている。
・JNTOとしては「高付加価値旅行」「サステナブルツーリズム」「アドベンチャートラベル」の3本を柱としてインバウンド観光のプロモーションを始めている。
・共通するのは「体験」型。これらコト消費においては、コミュニケーションが重要になるが、「言葉の壁」が大きな障害になることが多い。
・インバウンド観光を支えてもらうためにも、自動翻訳技術のさらなる開発に期待している。

4.講演
「同時通訳を支える翻訳バンク」 
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) フェロー 隅田 英一郎

▼要旨
・AIの発達等により、自動翻訳の精度はかなり高いレベルになっている。
・文法の違いが大きいため、日本語から英語への「同時通訳」は非常に難しい。
・同時通訳にとって重要なチャンク分割技術の開発が順調。2023年にはその技術を使った商品が出る可能性があり、大阪・関西万博(2025年)ではさらなる進展を目指している。
・自動翻訳の精度を高めるためには「対訳データ」の拡充が必要であり、「翻訳バンク」への支援を引き続き、お願いしたい。

5.パネルディスカッション
「アフターコロナを見据えた今後のAIを活用した多言語翻訳技術の役割について」
【モデレーター】
・国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)上席研究員   内山 将夫
【パネリスト】
・日本政府観光局(JNTO) 理事 中山 理映子氏
・ポケトーク株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 松田 憲幸氏
・名古屋市役所観光文化交流局 参事 伊藤 毅氏
 


▼要旨
・インバウンド観光業界において、多言語翻訳システムは、英語だけではなく、中国・韓国語等、通訳案内士の不足している言語への対応に期待できる。(中山氏)
・多言語翻訳技術は、観光、労働現場、医療、人道支援等様々な場面で言葉の壁をなくすための重要な技術である。(松田氏)
・自治体においては、言語の違いによる情報格差の解消が重要であり、自動翻訳の活用によって、精度アップと効率化を果たすことができる。(伊藤氏)
 

 

6.閉会挨拶
最後に、NICT徳田理事長から閉会の辞を述べ、本シンポジウムを閉会しました。

▼要旨
・情報通信研究機構(NICT)では、「グローバルコミュニケーション計画2025」の下、「言葉の壁」を意識することなく、グローバルで自由な交流を実現すべく研究開発を推進している。
・翻訳バンクに提供いただくデータを活用し、翻訳分野の拡大と精度の向上に努め、AIによる同時通訳技術の確立と社会実装に向けた取組を加速していく。
・産学官が集結するグローバルコミュニケーション開発推進協議会の活動をひきつづきご協力願いたい。

7.会場展示
当日は同会場にて、翻訳事業に携わる国内企業・団体(24者)によって、最先端の同時通訳技術の研究開発や最新の透明ディスプレイを活用した製品・サービス等が紹介されました。
(展示内容詳細は下記を参照ください)

●会場展示(詳細)

 

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