【年間6万人!未来の看護師をDX】実録 コロナ禍で患者と会えない看護学生がバーチャル訪問で学ぶデジタル教育最前線 

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訪問看護専用電子カルテ「iBow」(アイボウ)の開発を行う株式会社eWeLL(イーウェル、本社:大阪市中央区、代表取締役社長:中野剛人)は、コロナ禍により実習で病院や訪問看護の現場で患者と接することができない全国の大学看護学部・看護専門学校を支援するため、2020年10月より「iBow」の無償提供を実施。電子カルテを活用した新しい教育方法の記録を大学教員がレポートとして発表しました。

■eWeLLが大学・看護専門学校へ無償提供しているもの 
・電子カルテ「iBow」 
・診療報酬請求「iBowレセプト」 
・勤怠管理「iBow KINTAI」 
・iBowマニュアル 
・ロールプレイ用ケース集・サンプル利用者情報 
・実学講義(「看護×ICT」「訪問看護の経営課題」などテーマは応相談) 
 
毎年約6万人の看護学生が入学する全国の大学看護学部および看護専門学校等の教育機関へ、看護学生を支援する目的で、株式会社eWeLLは2020年10月から「iBow」等を無償提供しており、現在は実習だけでなく授業でも活用され、全国13校で看護教育にお役立ていただいています。 
 
本リリースでは、2020年から「iBow」を看護教育に導入されている千里金蘭大学 看護学部(大阪府吹田市、菱田知代女史、丸山加寿子准教授、藤田倶子教授)で行われたバーチャル実習の記録をご紹介します。ICTを取り入れた看護教育のカリキュラムをご検討中の教職員の皆様のご参考となれば幸いです。 
 
 
■全国シェアNo.1の訪問看護専用電子カルテ「iBow」とは(https://ewellibow.jp/ ) (※) 
「iBow」は訪問看護で行う業務に完全対応し、日々の業務をパソコンやiPad、iPhone等でいつでもどこでも簡単に行うことができるクラウドサービス。 
全国47都道府県 累計2,200箇所を超える訪問看護ステーションで導入されており、15,000名以上の訪問看護師、セラピスト等の方々に日々ご利用いただいています。訪問看護の生産性を高めるためのツール「iBow」は、一人一人が自分仕様にカスタマイズできる自由度の高いUIで、管理者、事務員、看護師、経営者等の役割に応じた情報を簡単に取得でき、また新人も熟練スタッフも誰でも簡単に使える機能を標準搭載。訪問看護業務ツールの新しいスタンダードとして、全国で使われています。 
eWeLLは看護学生の皆様の学習を支援し、訪問看護のより良い環境づくりに努めます。 
 
※シェアは訪問看護専用電子カルテ市場における、一般社団法人全国訪問看護事業協会 「令和3年度 訪問看護ステーション数調査結果」および「訪問看護のためのICT」に基づく推計。 

 

 

 ■関連記事 「コロナ禍で実習に行けない看護学生を支援!無償で「iBow」を看護大学・専門学校に提供します」(2020年11月) 
https://ewellibow.jp/news/20201112/1076/ 
 
 
——————–【大学教員によるレポート】~千里金蘭大学 看護学部~ ——————– 
 
【はじめに】 

 本学では各領域の臨地実習を3年生後期に実施している。COVID-19の流行が再拡大すると懸念されていた2020年秋から冬にかけての実習であり、筆者が担当する在宅看護実習も感染予防に努めながらできる限り臨地で実習ができるように実習施設と調整を進めていた。しかし実習に協力してくださる実習施設のスタッフやそのご利用者様の感染予防のために、2020年8月上旬に学内実習への変更を決定し、教育内容を検討した。 
 学内実習に変更するにあたって重視したことはできる限り臨地実習に近い環境を確保することである。その1つが訪問看護専用電子カルテiBow(以下iBowとする)の導入である。臨地実習では利用者に関する情報をカルテから得ることが多いが、電子カルテを導入している実習施設は多く、複数の実習施設で株式会社eWeLL(以下eWeLLとする)が運営するiBowが導入されている。そこで学内実習でもiBowを使用することで、臨地実習に近い情報収集や個人情報の取り扱いについて学ぶことができると考えた。本稿では実習に向けた電子カルテ導入の準備、実習内容、学生の学びの状況について述べる。 
 
【電子カルテを活用した実習項目】 
○看護過程の展開:学生1名につき看護過程展開事例1名を選定して計画立案までの看護過程を展開する。 

○多職種連携ロールプレイ:1グループ5名程度の学生で看護師役としてサービス担当者会議を実施する利用者1名を選定する。本事例では会議のテーマとなっていることを中心に、臨地実習での1回限りの同行訪問事例と同程度の情報収集、アセスメントをする。会議の冒頭で事例紹介と会議のテーマについてスライドを用いてプレゼンテーションする。担当する事例以外の会議では他職種や本人、家族役を担う。 
 
【事前準備】 
○模擬事例の作成 

 1クールにつき14名から27名の学生がいるため、あらかじめ看護過程展開事例は5事例、多職種連携ロールプレイの事例は6事例を作成した。事例を作成するにあたって、看護過程展開事例は、医学書院から発行されている「強みと弱みからみた在宅看護過程+総合的機能関連図」を参考にし、掲載されている事例の状況を学生が情報収集時にカルテから得られる情報とし、学生が同行訪問した際に何らかの形で状態が悪化している状況を別途作成した。悪化した状況については電子カルテには入力せず別紙に記載し、2回目の訪問時の状況から看護過程を展開するようにした。多職種連携ロールプレイの事例は看護師国家試験の状況設定問題に出題された過去問題を参考に、臨地実習で学生が訪問させていただくことが多い事例の疾患、障がい、家族構成、療養生活上の問題などを含めた。更に多職種が関わる必要性やサービス担当者会議のテーマを学生が読み取ることができるようにした。 
 
○電子カルテを使用するための準備 
 学生が実習室で密になることを防ぐため、電子カルテの閲覧に使用するタブレットを10台準備した。またタブレット画面の接触による感染を防ぐため、タブレット用ペンシルもタブレット1台につき1本、使用前後で消毒ができるようにアルコールタオルも準備した。 
 一方、eWeLLのスタッフと事前に打ち合わせを行い、実習内容や電子カルテの活用場面について説明をしたり、使用方法の説明を受けたりした。 
 電子カルテを運用する際の入力項目として訪問看護ステーション(以下、ステーション)の情報、利用者の情報、利用者が使用するサービス提供機関やその担当者の情報、訪問看護指示書などがある。例えば、ステーションの情報として施設名やスタッフの情報などがある。施設名は架空の名称を入力し、スタッフの情報は3名の教員を管理者、スタッフとして登録した。また利用者の情報として住所や保険情報などがある。住所はカルテ上で地図を参照できるため、本学の実習施設の住所を入力した。保険情報のうち保険番号など、事例のアセスメントに不要な情報は架空の情報を入力した。また、事例の詳細な情報の入力については、iBowの入力項目の一覧を作成(図1-1、1-2、表1)し、教員間で事例ごとに情報の整合性を確認し、議論、検討しながら作成した事例の情報を完成させた。週の訪問予定は実習施設の多くで行われているように週間予定のホワイトボードを準備した(図2)。 
 

 
図1-1. iBow入力項目一覧の例(基本情報・医師の指示書) 
 
 

 
図1-2. iBow入力項目一覧の例(訪問看護記録Ⅰ) 
 
 

 
表1. iBow入力項目(一部抜粋) 
 
 

 
図2. 架空の訪問看護ステーションの週間スケジュールを記載したホワイトボード 
 
【学生の実習時の様子】 
〇タブレットや電子カルテ使用の際のルール 

 学生には実習施設から貸し出されるタブレットや学生用IDやパスワードと同様に丁寧に、また情報漏洩に注意して扱うよう指導した。また、実習室からの持ち出しを禁止し、電子カルテの情報を閲覧するのは実習室のみとした。 
 
〇情報収集 
 実習の初期段階で情報収集のためにiBowを使用する頻度が高く、実習初日から2日目にかけての様子を主に紹介する。実習初日のスケジュールを(図3)に示す。まずオリエンテーションを実施し、その中でタブレット端末やiBowの使用方法を簡単に説明した。タブレットのロック解除の方法やiBowのログイン方法、必要な情報が掲載されている画面(図4)説明をしたが、学生はタブレット端末の扱いに短時間で慣れ、その後の情報収集時には混乱なく使用できた。次に看護過程展開事例の情報収集をした。1人につき1事例の情報収集を1時間程度でした後、事例を決定するために他の事例の情報収集をした学生と情報共有をした。午後からは多職種連携ロールプレイの全事例の情報収集を行った。臨地実習では急な予定変更などで十分な情報収集の時間がない場合がある。短時間で複数の同行訪問に必要な情報収集をするという在宅看護学実習の特徴を体験してもらうため、時間を決めて複数事例の情報収集を行ってもらった。 

 
図3. 実習初日のスケジュール 

 

 

図4. iBowの画面(当時) 
 
〇情報の整理 
 情報の整理には実習記録用紙のフェイスシートを用いた。その過程で不足している情報があればさらにiBowから情報収集を行うように指導した。その際、どこにどのような情報が記載されているかの説明も加えた。 
 
〇アセスメント 
 整理した情報のアセスメントはこれまでの臨地実習で行うアセスメントと同様に指導した。アセスメントの際に確認不足の情報があれば、さらにiBowから情報収集を行うように指導した。 
 
〇電子カルテの使用に関する学生の学び 
 電子カルテを学内実習に導入しiBowを使用して情報収集を行うことで、「臨地での実際を知ることができた」「多くの情報を決められた時間内にカルテから収集するのに苦戦した」「関連図を書くことで理解が深まった」「どの情報が必要なのかを判断して情報を得ることができた。しかし、カルテの情報だけではわからないことも多く、療養者や家族とのかかわりの中から情報を得ることも大事だと感じた。」という反応があった。臨地実習では限られた時間で膨大な情報の中から意図的に訪問に必要な情報を得てアセスメントをする必要がある。そしてカルテ上のバラバラにある情報を実際に療養者の自宅に訪問し、学生自身が療養者を見て統合し理解しなければならない。一般的に、教員の作成した事例の情報を紙面で渡す場合、すでに紙面上で情報が整理されていることが多い。しかし電子カルテを用いることで整理されていない情報を自分で探し、整理をして統合するという臨地実習に近い環境が再現できたと考える。更にタブレットや個人情報の取り扱いについてもできる限り臨地実習に近い環境にした。このように臨地実習と同様の環境を整えることで、学内でも充実した実習ができたという感想が聞かれた。 
一方、療養者を取り巻くケアチームや社会資源、多職種連携の実際についてはカルテ上の情報だけではイメージができなかったという感想も聞かれた。実際に訪問をしたり多職種連携の場面をみたりすることができない学内実習の限界もあった。 
 
【おわりに】 
 感染症の流行により臨地実習を学内実習に変更して実施したが、電子カルテの導入で臨地実習に近い情報収集の環境を整えることができた。実際に現場を見ることができないことでの限界もあったが、学生は情報収集、整理、情報の統合、アセスメントの一連の流れの中で看護上の課題を見出すことができた。 
 
引用文献 
河野あゆみ編,強みと弱みからみた在宅看護過程+総合的機能関連図,2018,医学書院. 
タイトル:訪問看護専用電子カルテiBowを用いた学内実習の試み 
執筆者:菱田知代(ひしだともよ)、丸山加寿子(まるやまかずこ)、藤田倶子(ふじたともこ) 
所属 :千里金蘭大学 看護学部看護学科 
    大阪府吹田市藤白台5丁目25番1号 
 
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【株式会社eWeLLについて】 
株式会社eWeLLは、訪問看護に特化したクラウド型訪問看護専用電子カルテ「iBow」等の開発・保守、サービス提供、訪問看護ステーション運営に関わる支援サービスを提供しています。 https://ewell.co.jp/ 

 

株式会社eWeLL 
所在地 :大阪市中央区備後町3-3-3 サンビル9F 
電 話  :06-6271-9333 
メール :ibowinfo@ewell.co.jp 
関連URL 
iBow(アイボウ)公式サイト :https://ewellibow.jp/ 
iBow KINTAI公式サイト:https://ibowkintai.jp/ 
株式会社eWeLL公式サイト:https://ewell.co.jp/ 

 

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