広島大学と北広島町、「こころの健康DX」を目指し、ストレス・レジリエンスの個人差指標の特定に向けた実証実験を開始

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国立大学法人広島大学(学長:越智光夫)脳・こころ・感性科学研究センター(BMKセンター)の笹岡貴史准教授を中心とするグループは、北広島町(町長:箕野博司)の全面協力のもと、同町にて「感性可視化によるメンタルヘルスDX」実現のための実証実験を開始します。

 

近年社会問題として注目され、コロナ禍で加速しているメンタルヘルス悪化(うつ・不安など)の予防やセルフケアを行うためには、個人のストレスの状態とストレスに対するしなやかさ(レジリエンス)の特性を簡便に可視化する必要があります。

本研究では、個人のストレス状態とレジリエンス特性を、スマートフォン・スマートウォッチを用いて可視化する「メンタルマネージ・統合解析ツール」を開発すべく、実証実験を実施します。
この成果がスマートフォンアプリに実装できれば、誰でも手軽に自分のこころの健康状態を見られるようになり、適切なケアにつながります。
 本プロジェクトはJST「COIプログラム令和4年度加速支援」事業の支援を受け、笹岡准教授を研究リーダーとする「Well-Being社会に貢献する 感性統合解析パッケージDXの社会実装」の一環として実施しており、北広島町、アドダイス社、オケイオス社の協力を受けています。

【実験の概要】
これまで感性を見える化するための脳計測や生理計測など,さまざまな実験室実験を広島大学の学生を対象に実施してきました。今回はそういった実験を実験室外で幅広い年齢層の方にご協力いただきながら実施するだけでなく、日々のバイタルデータや感情に関する質問回答のデータも併せて解析します。これにより、スマートウォッチやスマートフォンなどのようなご家庭で日常的に使用できるものを用いて、日々の感性の変動やこころの健康の見える化につながる指標の特定を目指します。

【広島大学 笹岡准教授コメント】

BMKセンター准教授:笹岡貴史

私たちはこれまでJST事業COI STREAMで「感性の可視化」に関する研究を9年間進めてきました。そこではワクワク感や不安感など感性の状態を可視化するための数々のツールを開発してきましたが、本格的な社会実装にまで至っていません。この度、北広島町様にご協力いただき、さまざまな年代の方とともに社会実装に向けた実証実験が実施できること、改めて感謝申し上げます。
この実証実験のテーマのひとつは「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」です。今回の実証実験で目標を達成できれば、今は実験室内で高価な機械を使わないとできないことが、今後スマートフォンなどを用いて「手軽に」、「日常的に」、「あたりまえに」できる可能性が広がります。例えば、“こころの調子を整える“ことが「朝、鏡を見ながら身だしなみを整える」くらい気軽に行える社会が実現する一つのステップとなるよう、取り組みを進めていきたいと思います。

脳波計を装着する被験者(イメージ)

【北広島町 箕野町長コメント】

北広島町長:箕野博司

北広島町では、光高速通信網とデジタル技術を活用して、地域課題を解決し、町民の生活を豊かにするため、DXの取り組みを進めています。
人生100年時代にあって、健康寿命の延伸は大きな課題と言えます。町民一人ひとりが輝けるまちであるためには、こころも体も健康でいることが大変重要だと考えています。
今回の実証実験は、特に「こころの健康」にフォーカスされたものです。元来、人の感性・感情は「視る」ものではなく、「感じる」「察する」ものとされてきました。しかし、今般の技術革新や広島大学様の研究により、「推定」できる未来が近づいています。
このような先端技術研究がこの中山間地を舞台に行われることは、大変意義のあることだと思っています。この取り組みが、町民の、そして人類の幸福につながることを大いに期待しています。

北広島役場での説明会風景:町長室にて

【関係者HP】
〇北広島町 https://www.town.kitahiroshima.lg.jp/
〇広島大学BMKセンター https://bmk.hiroshima-u.ac.jp/
〇アドダイス社について https://ad-dice.com/
独自のAI技術「SoLoMoN® テクノロジー(特許6302954)」に立脚したAIソリューションで、社会課題の解決に挑戦するスタートアップです。
ResQ AIのほか、生産現場等で導入が進む画像解析AI、施設管理・空調制御AIなど、IoTによる検査・制御を自動化する自律型AI<SoLoMoNシリーズ>を展開し、社会が抱える様々な課題の解決に挑戦しています。

〇オケイオス社についてhttps://www.okeios.co.jp/
健康・医療分野の分断化された情報をつなぐブロックチェーン型情報流通プラットフォームとそれに連携するアプリケーション提供をおこなう企業です。ブロックチェーン技術をつかった原データ担保・同意制御などの特許技術を保有しています。

【みらい健康手帳について https://miraikenko.jp/
みらい健康手帳は、「精神的価値が成長する感性イノベーション拠点(感性COI拠点)※1」(現在のBMKセンター)が、病院・研究・管理部門など全学の様々な部門と連携して、開発に取り組んでいる総合健康アプリです。本アプリは「ひろしまサンドボックス事業」で取り組んだ「みらい健幸アプリ」をリニューアルし、令和4(2022)年1月にリリースしました。

※1  2013-2021年、文部科学省による「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)に採択され、中核拠点(広島大学・マツダ)、生理研サテライト拠点(生理学研究所・NTTデータ経営研究所)、光創起サテライト拠点(静岡大学・浜松ホトニクス)が連携して、感性の研究と社会実装に取り組みました。

【お問い合わせ先】
広島大学 脳・こころ・感性科学研究センター(BMKセンター)Webサイトの問合せフォームをお使いください。
BMKセンター問合せフォーム:https://bmk.hiroshima-u.ac.jp/contact/

 

 

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