「ハードニング競技会」が2022年度グッドデザイン賞を受賞

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Hardening Project(ハードニングプロジェクト、実行委員長:門林雄基、奈良先端科学技術大学院大学教授 )が主催する「ハードニング競技会」は「2022年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)」を受賞したことを発表します。

本グッドデザイン2022受賞情報:https://www.g-mark.org/award/describe/54561

受賞した取り組み、「ハードニング競技会」とは

 

企業にとってセキュリティを高めた安全な業務環境を構築・維持することは困難を極めています。セキュリティ侵害のニュースは後をたちませんが、安全に防御できる手段を知る方法は極めて限られています。その上、IT担当者はセキュリティ問題が起きると強く責任を問われがちですが、有効な取り組みによって無事を継続していても、それをあえて賞賛されることはごくまれでしょう。
そうした現状に一石を投じるのが、今回受賞した「ハードニング競技会」です。「ハードニング競技会」とは、技術者と非技術者がチームを組み、熾烈なサイバー攻撃から「衛る」チカラを、全国から集まる他のチームと競うイベントです。技術知識やテクニックのみならず、経営判断なども加味して「ビジネス」を衛り、他チームよりも成果を収めるミッションがあるため、効果的かつスピーディに対応するにあたり、衛りの優劣が可視化されることがユニークな点です。

競技会風景競技会風景

「ハードニング・デイ」と呼ばれる競技日には、チームごとに準備してきた手立てを尽くして「8時間にわたる熾烈なサイバー攻撃に対応し、ビジネスを死守」します。後日開催される「ソフトニング・デイ」では、全チームと攻撃者により、競技中に得た経験と気づきを共有します。この一連のスキームが「ハードニング競技会」に含まれます。
これまで10年間、最新の攻撃リスクとビジネスモデルを盛り込んで発展することで、現実のビジネス環境での衛りの強化を推進してきました。この競技会に参加した大勢の仲間が、組織内外でのセキュリティ実践に活躍しておられます。また、数々の実践的なセキュリティ施策の啓発のためのプロジェクトが派生的に生み出されてきました。

主催するHardening Projectとは

Hardening Project実行委員会Hardening Project実行委員会

セキュリティに関わるプロフェッショナル有志によるボランティアプロジェクトです。中心となるHardening Project実行委員会は、大学、民間企業、行政団体などに所属する個人による集団であり、それぞれさまざまな方面でセキュリティに関する経験の長いメンバーによって構成されています。
この実行委員会を中心として、数々のセキュリティ推進団体、セキュリティ関連サービスを展開する企業、またエキスパートの個人が様々な形でサポーターとして参画してきました。また、内閣府沖縄総合事務局を筆頭に、開催地の行政団体、自治体の皆様のご協力により競技会を継続することができました。そこに、これまで全国各地から10代から50代まで幅広い年齢層にわたる、学生からさまざまな組織に所属するベテランの方々に至るまで、技術者、非技術者の両方の方々が参加してきました。最新の実行委員と参画企業団体については、ウェブサイトをご覧ください。https://wasforum.jp/hardening-project/

グッドデザイン賞審査員の評価コメント(全文掲載)

デジタルが進む社会において、セキュリティの堅牢化は必須である。しかし企業単体でサイバー攻撃に対応するスキルを上げることは容易ではない。技術者の育成だけでなく経営的判断やマネジメントも連携して対策を立て、時代の変化にスキルアップしていく必要がある。
ハードニング競技会では、技術とビジネスの両側面でセキュリティ対策を行う実践的な想定にしたことで、複合的なチーム編成でマネジメントも必要とした擬似体験ができる仕組みであること、競技形式にしたことで参加者の高い結束力とモチベーションを形成したこと、作業の振り返りによる情報共有など一連のスキームが充実している点が良い。
また10年に渡り継続して20回開催を実行したことで行政・異業種企業・学生などの参加者間のつながりが強化され、サイロ化された業務環境に一石を投じたことも成果だ。

今回の受賞をうけてHardening Projectからのコメント

わたしたちHardening Projectは、これまでの取り組みが「よいデザイン」として評価をいただいたことを大変光栄に感じています。この受賞により、広くインターネットを活用する皆様の間で、セキュリティに関わる取り組みへの理解が促進され、セキュリティを実践する協力関係がますます強化されることを期待します。また、セキュリティに携わる方々からも、ますます「よいデザイン」が創発され、デジタル社会への貢献が拡がることを期待します。

グッドデザイン賞とは

グッドデザイン賞とは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催するデザインの評価とプロモーションのための事業です。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。「ハードニング競技会」は、「20. 一般向けの取り組み」というカテゴリで受賞しました。なお、本年のグッドデザイン賞受賞は1,560件、審査対象数は5,715件と発表されています。

受賞した「ハードニング競技会」にご関心のある方は

来る2022年11月にハードニング競技会を開催します。15日火曜日は沖縄県名護市において「ハードニング・デイ」を、また19日土曜日には「ソフトニングデイ」を東京都を本会場として開催しますのでご観覧ください。両日について、無料でオンライン見学が可能です。お申し込みについては、Webサイト https://wasforum.jp/ やTwitter https://twitter.com/WASForum からご案内します。

エンドースメント、ありがとうございます。

この度のHardening Projectにおける「ハードニング競技会」が、2022年度グッドデザインを受賞されたこと心よりお祝い申し上げます。2017年より、弊社もマーケットプレイスの一員としてBarracuda WAFを提供しています。当イベントには全国からインターネット上のセキュリティの将来に熱く情熱を傾ける参加者が集います。「ハードニング・デイ」は実際にサイバー攻撃からシステムを衛る実践編、「ソフトニング・デイ」は実践から得た知見を参加者全員で共有する啓発編、二編からなるこの一連のシステムデザインが評価されたものだと思います。
今年も 11月に沖縄で開催され、激しいやり取りが繰り広げられることでしょう。
バラクーダネットワークスジャパン株式会社
執行役員社長
大越大造様より

ビジネスをサイバーセキュリティで衛る分野で初となるグッドデザイン賞受賞おめでとうございます。
弊社は2017年・淡路夢舞台での開催から、Hardening Projectにスポンサー及び運営協力として参画しております。また、それ以前から多くの社員が出場メンバーとして参加しており、そこで学んだことで実力をつけ、お客様に還元することで更なるサービスレベルの向上が進むという、非常に良い相乗効果が見られます。今後もどんどん内容が磨き上げられることと思いますが、グッドデザイン受賞を機に更なる高みを目指して日本のセキュリティを向上させるべく頑張っていただきたいと思います!
株式会社神戸デジタル・ラボ
代表取締役社長
永吉一郎様より

ハードニング競技会の取り組みがこの度グッドデザイン賞を受賞されたことを、大変喜ばしく思います。
2013年には私もチームとして競技会に参加し、以来、インフォセックは継続的にスポンサーとして応援してきましたことから非常にうれしいです。関係者の皆さまの長年の活動に敬意を表するとともに、ハードニング 競技会が今後も大きく発展し日本のサイバーセキュリティの向上に貢献されることを願います。
株式会社インフォセック
取締役 CISO 兼 サイバーセキュリティ事業本部長
有松龍彦様より

ハードニング競技会のグッドデザイン賞2022受賞大変おめでとうございます!
企業のサイバーセキュリティ対策の目的は、ビジネスリスクの低減ですが、ハードニング競技会は、システムだけでなく、ビジネスを守るという視点を貫いていて素晴らしいです。
フォーティネットジャパンとしても、スポンサーとして精一杯のご支援をさせていただき、日本全体のビジネスを守る取組みを盛り上げていきたいと考えております。
フォーティネットジャパン合同会社
OTビジネス開発部 部長
佐々木弘志様より

このたびは、グッドデザイン賞の受賞、まことにおめでとうございます。サイバー攻撃の社会的影響が大きくなる一方、攻撃はますます複雑化しており、サイバーセキュリティ対策を専門に担う人材のみならずサイバーセキュリティを生業としない関係者も巻き込んだ準備、訓練、対処が非常に重要となっています。本プロジェクトを担われた皆様は、まさに組織を上げた実践的なインシデント対応の体験を通じたサイバーセキュリティ対策の普及・啓発に長年努められ、そのご努力に大変敬服致します。今後のますますのご活躍、心より祈念いたします。
株式会社FFRIセキュリティ
代表取締役社長
鵜飼裕司様より

ハードニングプロジェクトのみなさん、グッドデザイン賞の受賞、おめでとうございます。サイバーセキュリティに関する演習において、教育のための限定的でクリーンな環境と採点基準ではなく、現実的な制約を受けたシステムと顧客の目線を中心とした厳しい評価軸を持ち込んだ先進性が、高く評価された結果であると思います。この場で切磋琢磨することで、セキュリティ侵害の影響が基幹業務に及ぶ様をリアルに体感でき、厳しい制約の中で対応を行う経験により、様々な事業領域に応用の利く知見を得ることができます。デジタル化の大きな波の中で、このような知見を得られる機会はますます必要とされますので、ハードニングプロジェクトの引き続きの発展に期待しています。
株式会社インターネットイニシアティブ
セキュリティ本部長
齋藤 衛様より

この度の2022年度グッドデザイン賞受賞、誠におめでとうございます。
弊社GSXは過去複数回に渡りハードニングプロジェクトに協賛させていただいております。
ハードニングプロジェクトの醍醐味である「技術とビジネスの両側面でセキュリティ対策を行う実践的な想定をし、複合チーム編成でマネジメント要素も必要となる疑似体験ができる仕組み」という世界観は、弊社がミッションに掲げる「日本全国の企業の自衛力を向上すること」との強いつながりを感じています。
グッドデザイン賞受賞を通し、企業・学校・行政問わず様々な立場の方が競技に参加することで、日本のサイバーセキュリティ自衛力が高まっていくことを期待しています。
この度は重ねて2022年度グッドデザイン賞受賞、誠におめでとうございます。
グローバルセキュリティエキスパート株式会社
代表取締役社長
青柳 史郎様より

この度はハードニング競技会がグッドデザイン賞を受賞されたとのこと、誠にめでたく、心よりお祝い申し上げます。国内のサイバーセキュリティの有志が結集し、セキュリティ人材の育成のために多大なご尽力をされていることは、デジタル社会の発展において素晴らしい貢献であると思います。ハードニング競技会を通じ、より多くのサイバーセキュリティヒーローを輩出し、安全なデジタル社会のためにさらなる貢献をしていくことを確信しております。
楽天グループ株式会社
上級執行役員
福本佳成様より

ハードニングプロジェクトのグッドデザイン賞受賞を心からお祝い申し上げます。
私たちラックは、第1回目の開催前に行った「Hardening Zero」から本競技会の立ち上げにかかわり、プロジェクトメンバーとして10年間一緒に歩んでまいりました。本プロジェクトは、当初からサイバー攻撃に立ち向かうための重要な取り組みとして、私たちも思いの強い演習です。この「取り組みがグッドデザイン」だと評価いただけたことは本当に光栄です。デジタルの発展で今後サイバー攻撃の脅威は狡猾化する中で、今後も競技会を通じて参加者の皆さんと「学び」を共有し続けることが、「信じられる社会」の構築につながることと信じております。
株式会社ラック
執行役員 CTO
倉持浩明様、
ラック ハードニングプロジェクト関係者一同様より

受賞おめでとうございます!僕も初回のハードニングに参加させて頂きましたが、リアルタイムで攻撃を受けているサーバの復旧作業をしつつ、脆弱性を修正して、しかるべきところへ報告するというインシデント・レスポンス作業を経験できる貴重な機会でした。同時に色々起こって焦りますが、現実世界でも同じですね。ちなみにそのときチートで失格になったのも今では良き思い出です笑 ハードニングは日本を衛るための素晴らしい取り組みですので、これからも応援しています!改めて、受賞おめでとうございます!
GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
代表取締役
牧田 誠様より

熱い応援を、心から感謝しています。
Hardening Project一同

 

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