QPS研究所の小型SAR衛星3号機および4号機の打上げ日程についてお知らせ

この記事は約7分で読めます。
世界トップレベルの小型SAR(※1)衛星の開発・運用を行う株式会社QPS研究所(福岡市中央区、代表取締役社長CEO:大西俊輔、以下QPS研究所)の小型SAR衛星3号機および4号機のイプシロンロケット6号機による打上げについて下記の通り実施予定であることをお伝えいたします。尚、打上げ当日は皆様にお楽しみいただけるオンライン、オフラインによるハイブリッド形式のパブリックビューイングの開催を予定しています。詳細は決まり次第、公式ウェブサイト、SNS等でお知らせさせていただきます。
〈打上げ予定日〉
2022年10月7日(金)
〈打上げ時間帯〉 
9時47分頃〜9時58分頃(日本標準時)
〈打上げ予備期間〉 
2022年10月8日(土)〜10月31日(月)
〈打上げ場所〉 
内之浦宇宙空間観測所
〈予定軌道〉
種類:太陽同期軌道
高度:約560km
軌道傾斜角:約97.6度
周期:約95分

 

QPS-SAR3号機および4号機について>

QPS研究所は収納性が高く、軽量でありながら大型の展開式アンテナ(特許取得)を開発。そのアンテナによって強い電波を出すことが可能になり、従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストとなる高精細小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発に成功しました。現在はQPS-SAR1号機「イザナギ」、2号機「イザナミ」の2機を運用しています。2021年5月には「イザナミ」により70cm分解能という民間の小型SAR衛星として日本で最高精細の画像取得に成功しました。イプシロン6号機によって打上げられる、QPS-SAR3号機「アマテル-I(ワン)」、QPS-SAR4号機「アマテル-II(ツー)」は「イザナギ」・「イザナミ」の開発・運用成果を元に改良を重ねたコンステレーション(※2)を成す最初の2機という役割を持ち、太陽同期軌道に投入されることにより地球観測サービスにおける全地球観測対応の強化を図ります。

QPS-SAR3号機および4号機は2号機から下記の点を改良しました。

  • 展開型太陽電池パネルとバッテリーを追加。使用できる電力量を増やすことで、さらに精細な観測データをより多く取得できるようになります。
  • アンテナのリブを24本から36本へと増加。従来以上に表面が滑らかなパラボラ型に展開し、さらに強い電波を出すことができるようになります。
  • JAXAとアルウェットテクノロジー株式会社が共同開発した「軌道上画像化装置」を搭載することで、SAR観測データを軌道上の衛星内で処理し、衛星からのダウンリンク量の大幅な圧縮が可能となり、即応性の高い観測ニーズに応えられるようになることが期待されます。(詳細はこちらをご覧ください:https://www.jaxa.jp/press/2020/02/20200226-1_j.html
  • 3号機以降の衛星から36機コンステレーションを構築するため、軌道制御用のスラスターを搭載することで、干渉解析(※3)ニーズへの対応も期待されます。

《衛星詳細》
〈正式名称〉
QPS-SAR-3(愛称:アマテル-I)
QPS-SAR-4(愛称:アマテル-II)
〈アンテナについて〉
打上げ時は収納可能な開口直径3.6mのパラボラアンテナ
〈質量〉
約170kg
〈ミッション機器〉
・合成開口レーダー装置:
・軌道上画像化装置(FLIP)
〈分解能〉
46cm(Xバンド)
*オフナディア角30度でのグランドレンジ分解能
〈ミッション期間〉
5年
*電気推進スラスタによる軌道維持、及びミッション終了後の軌道離脱を実施する

《愛称「アマテル」とミッションマークについて》
QPS-SAR1号機、2号機の名前である「イザナギ」と「イザナミ」は、古事記において日本を作った神様とされていて、QPS研究所の衛星が「日本発」の衛星であることや会社名(institute for Q-Shu Pioneers of Space)の一部である「九州(Q-shu)」の高千穂が天孫降臨の地であることより名付けられました。QPS研究所が創り出す衛星ならびに世界は、この2機の衛星から始まるという意味も込められています。イザナギ、イザナミの2機は、私たちの技術を見事に宇宙で実証し、素晴らしい結果をもたらしてくれました。

QPS-SAR3号機「アマテル-I」ミッションマークQPS-SAR3号機「アマテル-I」ミッションマーク

この度、続く3、4号機も古事記の神様のお名前をお借りして、「アマテル(英語:AMATERU)」と名付けました。アマテルはアマテラスの別称で、天空を照らす太陽神とされています。QPS研究所が目指す36機によるコンステレーションの最初の2機は太陽同期軌道に入ります。今後は衛星ごとではなく、軌道ごとにその名を持つようになり、この軌道に入る3、4号機はアマテル-Ⅰ、アマテル-Ⅱになります。今後のQPS-SARプロジェクトの先を明るく照らしてくれる存在になるように想いを込めています。

 

ミッションマークにはブルーの色で愛称をシンプルに表すデザインを取り入れて、改良された衛星の形と観測の対象である地球を組み合わせました。今後多数のQPS-SAR衛星が打上がる中、一目でどの衛星のマークか分かるように衛星の底部に通算した衛星の数を入れています。

QPS-SAR4号機 「アマテル-II」スペシャルエディションQPS-SAR4号機 「アマテル-II」スペシャルエディション

また、スペシャルエディションとしてカラー版もあり、応援してくださる方に楽しんでいただけるグッズなどを展開する際にはカラーで登場することも。

 

ミッションマーク製作者紹介:
「ザ デザイン ラボ」 板坂 諭 氏 
http://www.thedesignlabo.co.jp/about.html
2012年に建築事務所「株式会社 the design labo」を設立。建築設計を主軸としながらも、プロダクト、アートの領域でも注目を集めている。ミラノサローネを始め海外のデザインイベントでも作品が紹介され、SF-MOMAなど海外の美術館にも作品が収蔵されている。作品集に『New Made In Japan The Works of h220430』(青幻舎)。現在、フランスのエルメス社とデザイン契約を結び、世界的に活躍。また、デザイン活動の幅を宇宙業界に広げている。

<イプシロンロケット6号機について>
イプシロンロケット6号機は、革新的衛星技術実証3号機のうち、小型実証衛星3号機(RAISE-3)、MAGNARO(名古屋大学)、MITSUBA(九州工業大学)、KOSEN-2(米子工業高等専門学校)、WASEDA-SAT-ZERO(早稲田大学)、FSI-SAT(一般財団法人未来科学研究所)の6基と、QPS-SAR3号機、およびQPS-SAR4号機を打ち上げます。QPS-SAR3号機、および4号機の打上げに関して、QPS研究所は2022年4月18日(月)に株式会社IHIエアロスペース(本社:東京都江東区、代表取締役社長:並木文春、以下IA)と契約を締結し、打上げはIAから委託されたJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)が行います。
さらなる詳細につきましては、JAXA公式ホームページからご覧ください。
【 https://fanfun.jaxa.jp/countdown/kakushin3-epsilon6/

打上げ契約時のプレスリリース
IHI公式ウェブサイト:
https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2022/aeroengine_space_defense/1197838_3479.html
QPS研究所公式ウェブサイト:https://i-qps.net/news/733

株式会社QPS研究所について>
QPS研究所は2005年に福岡で創業された宇宙開発ベンチャー企業です。名前のQPSとは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字を取っており、九州宇宙産業の開拓者となること、更には九州の地より日本ならびに世界の宇宙産業の発展に貢献するとの思いが込められています。その名の通り、九州大学での小型人工衛星開発の20年以上の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリへの取り組みに携わってきたパイオニア的存在である名誉教授陣と若手技術者・実業家が一緒になって、宇宙技術開発を行っています。また、QPS研究所の事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承し育成してきた北部九州を中心とするもの作り企業と合わせて、全国25社以上のパートナー企業に力強く支えられています。

(※1) SAR (合成開口レーダー):電波を使用して地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測することができる点が特長です。
(※2)複数の人工衛星によって、高頻度な地球観測を可能とするシステム。(コンステレーションは「星座」の意。)
(※3)干渉解析:時間差で同じ場所から観測したデータの差をとることにより、地表の変位(地面がどれだけ動いたか)を測定することです。

タイトルとURLをコピーしました