【開催レポート】アイディア登壇、 TIS INTEC Group 主催 BUSINESS SUMMIT 2023(後編)

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2023年7月開催の「 TIS INTEC Group 主催 BUSINESS SUMMIT 2023」 アイディア株式会社、TIS株式会社、株式会社ブリスコラの 3社によるパネルディスカッション

【開催レポート】アイディア登壇、 TIS INTEC Group 主催 BUSINESS SUMMIT 2023(前編)の続きとなります。(前半)の見出し

  • ~実践企業から学ぶ~企業を横断したビジネスイノベーション いかに実践するのか?

  • APIをビジネスに活用するにはどのような発想が求められるのか?

URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000045385.html

<パネリスト>  
 TIS株式会社 IT基盤技術事業本部 IT基盤ビジネス事業部長 黒田 訓功 氏(左から2番目)
 株式会社ブリスコラ 代表取締役  末貞 慶太郎 氏 (右)
 アイディア株式会社 代表取締役社長 下川部 知洋(右から2番目)
<モデレーター>
 TIS株式会社 IT基盤技術事業本部 IT基盤ビジネス事業部 IT基盤営業部 エキスパート 川田 達也 氏(左)

TIS 川田)
APIをビジネスに活用していくポイントや進め方のところは、末貞さんからのお話で理解できたかと思います。APIを公開する、データを外部企業に連携していく、という部分では、実際、少し抵抗を感じているお客様がいらっしゃるように感じます。TISのプラットフォーム事業では、そのような不安や心配をぬぐえるようなサービスや技術検証を行っているのですが、現在の市場動向やTISの引き合いの状況というのを黒田さんからおうかがいします。

TIS 黒田)
国内のAPIマネジメント市場の動向について少しお話させていただきます。今回ご縁がありまして、アイディア、ブリスコラ、とご一緒する機会となったのですが、ブリスコラとは3-4年程前から政府がスマートシティ/スーパーシティとして取組んでいたころからAPIマネジメント プラットフォームにかなりの投資をしてまいりました。その中で、民間の企業様がこのプラットフォームやデータを活用して事業をされる時代がくる、というのを一緒に追いかけてきていたのです。官から民への流れがいよいよ最近来ている、というのを実感しているのが現状です。

(上図、上段)各企業においては参入障壁の高い分野ということもあり、少しわかりにくい世界の中でどのようにビジネスをするのか、著しいテクノロジーの進化の中でどのようにエンジニアがこれらを実現していくのか、という懸念がありました。そこに対し、我々TISは様々なサービスのご提供、POCによる評価などのご支援をさせていただき、メッセージアウトすることで、民間の企業様もこの領域に踏み込まれつつあり、このAPIを活用した事業に向けて進まれていると、実感しております。
実際、(下図)保険、物流、ITサービスのお客様よりご相談・引き合いをいただいております。市場としてはアーリーアダプターの方々が主に動いている状況だろうと思いますが、このフェーズにきているということは、この後すぐに市場が盛り上がるだろうと我々は見ております。安全にAPIプラットフォーム上でデータをマネージしていく、ガバナンスの効いた状態でデータを活用していく、というところでこの3業界のお客様に対し、様々なご相談を受け案件を進めている状況です。

保険のお客様はいち早くAPIプラットフォームに取組まれており、次の課題・次のフェーズに向けてどのように対策をしていくべきか、というご相談を受けています。また、物流のお客様は、これから先のビジネス拡大に向けて、どのようにこのAPIを使っていくべきなのか、ITサービスのお客様は、様々なサービスとつながり自社のサービスやプロダクトにどう付加価値をつけていくのか、といったように、様々な観点で新しいビジネスに向けて皆様が一歩踏み出されている、という状況です。特に、この半年~1年ほどの間でかなりの市場の変化を実感しています。

TIS 川田)
TISではエンタープライズ企業や大規模システムの引き合いが増加しているという傾向がありますが、エンタープライズ企業だけでなく、今回のセッションテーマでもある先進企業やベンチャーのサービス企業などからの引き合いも入ってきている状況です。APIに精通しているブリスコラとしては、どういったお客様・業界からの引き合いがきているのか、傾向のようなものはございますか?

ブリスコラ 末貞)
今年の動きとしましては、様々な業界からご相談をいただいており、コンサルティングはもちろんソフトウェアのご相談を含めてご相談をいただいています。もともと親和性が高いのだと思うのですが、特に顕著なのはiPhone に代表されるスマートフォンのアプリケーションにサービスを出されている業界のお客様が多く感じます。また、APIで公開してビジネスをしていくことに対し、いち早く取り組まなければならないという業界、具体的には物流業界やEC業界が多いように感じます。

TIS 川田)
物流DXというキーワードで物流業界の方々が率先して取組まれている印象は私も持っております。その市場の中でDXビジネスプラットフォームとしてアイディアが今回取組んでいる実績や背景について、またAiseaのシステムについてもう少し深くお話をうかがえればと思います。
最初のテーマにありました、「Aiseaについて」システムについて、詳細を下川部さんからご説明をいただきます。

アイディア 下川部)
具体的にAiseaについて、ご説明させていただきます。
WEBの画面を使ってログインします。海の世界はマップで様々なことを表現することで業務として叶えられることが多く、かつ効率が良いという点から、マップを非常に大事にしています。

海事産業というのは様々な業種が集まっており、その業種の方々が、まず「海を可視化する」ことが大事になります。実際の海で今何がおきているのか、自分の持っている船「自社船」がどこにいて、どのような航跡をたどってきたのか、また実際これからどのような仕事をしていくのか、といったことをマップを使って一目瞭然わかりやすく表現する。これが、陸の世界のシステムではこのようなことが当たり前なのかもしれませんが、海の世界ではこのようなものがなく、まず海の可視化を実現する、というところからスタートしました。
この中にある船の情報や天気、台風の状況など、様々な情報を収集しなければならない。そして、集めてきたものを加工し業務としてわかりやすく表現しなければならないといった表現力も求められるシステムになっています。このUI/UXというものを実現させるための専門部隊を社内におき、様々なデータとつなぐ、表現する、ということにこだわったシステムになります。

気象情報をさらに詳しく表示し、過去どうだったのか、これからどうなるのか、それを踏まえていつのタイミングで船を出せばいいのか、といったこれまで船長の直観で動かしていたものを、直観ではなくナレッジをシステムが提供し誰でも同じ業務を一定の品質でこなせるよう、「サポート」を大事にしているシステムになっています。
実際作業している現場を陸上でもリアルタイムに見ることができ、それにあわせて船長へ必要なサポートをリアルタイムでできるようになる。これが以前このようなシステムがない場合は、今何をやっているのかを人をまたいで情報収集する必要がありました。特に、「液面タンク」という船の燃料の状況、積み荷の状況、また二酸化炭素の状況といったリアルタイムの状況を、これまで陸上では把握できずに仕事をしていました。しかしこれからの時代、更なる効率性や安全性を求めていかなければならない中で、「生きた情報」をいかに多く収集し、きれいにまとめて業務に活かしていくことを、考えていかなければなりません。
また、業務システムの情報、たとえば大型船を多く抱えている港では船の入出航は莫大な情報量になるのですが、これまではFAXや電話・ホワイトボードで共有をしておりましたが、当然それでは間に合いません。このような状況の中で、システムが果たす役割というのは非常に大きいものと思っています。さらに、業務に精通していなければならないシステムなのです。ミッションクリティカルで止まらない大きな業務システムを構築し運用していかなければならない、そこでTISそしてブリスコラと組ませて頂くという形になりました。

TIS 川田)
陸上での車の運転時に目的地に誰が運転しても同じルートで同じ場所にたどり着けるというカーナビゲーションシステムのような仕組みだと思うのですが、それを海上で実現されているサービスなのでしょうか?

アイディア 下川部) 
もちろんそれだけではないのですが、そこを起点にシステムを作り上げてきました。しかし、要望を受ける業務の幅が広がり、我々のデータを使うだけではなく、我々の中で加工したデータを他のお客様にも興味を持っていただき二次利用といったケースも出てきました。お客様同士の間でデータをつなぎ合い、別のことを実現していくといったケースも出始めています。
しかし、このようなことを目的として作ったAPI思想ではなかったのでいずれ限界を迎えるだろう、我々の成長も止まってしまう、そこでこのような状況に応えられるようなAPI基盤に切り替えていこう、さらにこのような取組みを継続していかなければならない、という状況の中ブリスコラにお願いをし、検討を始めました。
また、我々のシステム自体一つのシステムでできているわけではなく、裏で多くのクラウドサービスを使っています。それぞれのクラウドサービスには癖もあり、これらを考慮しながら構築をしなければなりません。自社だけでは限界もでてきてしまうため、パートナー企業と連携し一緒に勉強しながらやっていくことも必要と考えた中で、TISとブリスコラは心強いパートナーであると思っています。

TIS 川田)
Aiseaの素晴らしさを、ビジネスサイドのお話をうかがいさらに理解できました。
最初にアディアから相談を受けたのが末貞さんかと思います。技術的側面からAiseaの素晴らしさやAPI活用による強みをどのように実現していくべきか、また、どのようなポイントでコンサルティングを提供したか、についておうかがいします。

ブリスコラ 末貞)
最初ご相談を頂いた時に一番驚いたのが、Aiseaはレベルの高いアーキテクチャでできている、ということでした。裏の仕組みもAPIでできていましたし、持たれているデータ数もすごいものがありました。このデータをAisea というアプリケーションでどのように表現するか、という点にフォーカスされていますが、他の業界また同業の方々からも、非常に価値の高い素材であると思いました。これを「OpenAPI」という観点でどのように進めるのが良いか、という点に着眼し相談したのが最初だったと記憶しています。これまで社内システムの中で管理されていたものを外部に公開する、ということはインターネットで出ていくことになります。わかりやすさと安全性と、あとは将来的な発展性というところを考慮しなければなりません。これをテクノロジーで考えると、非常にレベルが高いものになります。
わかりやすさというところで言うと、「わかりやすいAPIで、どのようなデータが取れるか」というのを表現しなければなりません。それを分解して外に対してどのように表現するか、というところをご相談させていただきました。また、誰でもアクセスしてもよいものにはならないので、APIの1アクセス、一IDの人がアクセスするたびに全てのアクセスを管理する、それをどのようにオープンソースを活用しながら作り上げていくか、というのが大事なポイントになります。それが「認証・認可」という仕組みになります。他システムの認証・認可の仕組みとつなげることもできますし、Aiseaの持っている独自IDとも連動できる、といった点も考慮しながら将来の構成を考えていく、ということになりました。
テクノロジーでいうと、様々なデータや様々なデータ連携のやり方があるので、「プロトコル」という話に根付いており、その様々なプロトコルがAPI Gatewayを通して管理できるようになる、というところに我々の役割があると思っています。このような世界のトレンドを理解して今の日本企業が必要な仕組みを最適化してく、というポイントをお伝えしシステム設計を考えさせていただきました。
その中で、TISはクラウドに長けている、運用の観点でもご経験をお持ちである、さらにAPI事業もされているということもあり、このパートナーシップによる組み合わせが今回良い形になったと思っています。

TIS 川田) 世界のトレンドや、日本国内であればデジタル田園都市国家構想という活動があると思いますが、世界のトレンドや国内の流れ・動きの中で、各企業がビジネスにAPIを活用することが成功要因となるための共通解といったポイントはあるのでしょうか?

ブリスコラ 末貞)
スマートシティにおいては、都市が様々なデータをもっておりそれを表現したい、という点でとてもわかりやすく抵抗なくAPIでビジネスを作っていこう、という方向性がトレンドとなっています。ただ、これは新しいデータをつなぎ合わせる、という観点なのでやり易いのですが、今ブリスコラやTISに相談をいただいている多くの企業様は、「すでに持っているデータ自体を、どのように外に出すか」という企業様が多く、これはガバナンスを高くしなければならないという点が重要なポイントとなってきます。
例えば、日本の銀行の仕組みにおいて、APIの公開の仕方は世界レベルでの対応をしています。そのやり方というのは、APIのアクセス一つ一つに対して何回チェックするか、が重要なのです。そのレベルをOpen ID Foundationで規定されているトークンによる認証認可モデルを活用し、その規格にそってアクセスを全部管理できるAPI マネジメントが必要になってきます。ガバナンスのレベルを上げれば上げるほどアクセスは増えトークンで確認する量も増えるのですが、どこまでやるか、という適正量を考慮しながらやるところが我々の使命と思い対応しています。

TIS 川田)
下川部さんと初めてお会いした時に、データのガバナンスが効いていない、APIの開発仕様や運用がバラバラ、といった課題をお聞きしていたのですが、今回、改めてDXビジネスプラットフォームとしてAPIの標準化を図りデータのガバナンスを効かせていく、そのようなプラットフォームができた中で、さらにビジネスを加速させ海事産業のDXを推進する体制が整ってきたのではないでしょうか。
今後のアイディアとして海事産業のDX推進やAiseaのサービス拡大に向けて、また、先日プレス発表させて頂いたAidea x TIS x Briscola この3社でのパートナー関係に対し、思いや期待、構想をおうかがいします。

アイディア 下川部) 
我々が提供しているシステム、これは業界標準としてお客様から一定の評価を頂いていると思っております。だからこそ、更なる要望も多く受けています。このような状況の中、末貞さんからあったように、公開して様々な方が繋がる、というときに必要なのは「セキュリティ」という点になります。セキュリティも強化しすぎると不便さを感じてしまうので、ユーザビリティを考慮しながら適正値をみつけていかなければならない。このような取組みを専門家である2社の皆様と進めていくことで、様々な業界の声にさらに応えられるようになっていかなければならないと思っています。
さらに、我々のシステムのデータ連携は単なる業務的な情報だけではなく、船の機関情報といった機械・センサーからの情報とも連携していかなければなりません。また、自律航行を目指して研究を進めていますが、今後は「操船・制御」といったところとも繋がなくてはなりません。このようにあらゆるところに「Aisea」というプラットフォームが使われていくということが想定されており、止まらないミッションクリティカルな環境を提供し運営していく、ということをやるためにもTISの知見というのは非常に大事になってきています。
さらに人員や会計といった業務システムとの連携のお話もいただいています。これを我々だけでやることは不可能であり、TISとタッグを組ませていただきサービスを拡大させていきたいと思っています。また、ブリスコラには引き続きAPI、連携、の専門家として支援・知見を頂きたいと思っています。

TIS 川田)
ビジネスサイドが加速度をもち大きくなると、それに必要となる器の大きさや信頼性・可用性も非常に高まってくると思います。TISは様々な業務システムやプラットフォームの提供をおこなっています。TISとしての取組みや思いについて、最後に黒田さんからお話をいただきます。

TIS 黒田) 
TISは、APIプラットフォーム事業を3年前から取組んでいます。TISとしての強みは、まさに基幹システムをしっかり作る、止めないための運用サポートをしっかりする、というところです。
アイディアのプラットフォームは、様々なクラウドのサービスとつながっているというお話がありましたが、その点では弊社はかなりの知見を蓄えてきています。人が解決する部分、サービスが解決する部分、サービスがどう組み合わさり実現するものか、といった知見やノウハウを活かしながら、今後ともご一緒させていただきたいと思っています。
海事産業向けのDXを我々3社がともに支え、さらに海事産業以外の企業の方々や我々のお客様企業も、このAiseaのプラットフォームから提供されているデータ、必要なデータと繋がることにで、新しいビジネスモデルができ、新しい社会課題の解決につながり、さらに新しいイノベーションが起きるのでは、と考えています。
今後とも、よろしくお願いします。ありがとうございました。

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