折り紙工学の第一人者、萩原一郎研究特別教授の大学発ベンチャーと新株予約権を対価とする知的財産権の譲渡契約を締結

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学校法人明治大学(所在地:東京都千代田区、理事長:柳谷孝、以下「明治大学」)と明治大学発ベンチャーである株式会社スペースシーファイブ(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役:萩原一郎、以下「スペースシーファイブ」)は、学術研究及び教育活動の成果を活用して社会貢献に寄与する大学発ベンチャーの育成に資することを目的として、スペースシーファイブの新株予約権を対価に、明治大学の知的財産権を譲渡することを2023年8月3日に合意しました。本件は、大学による大学発ベンチャーの株式・新株予約権取得の例として、明治大学では4例目となります。

萩原一郎研究特別教授ら研究グループが研究・開発した、折り紙のように美しく折りたたむことができスプリングバックしないペットボトルの開発過程萩原一郎研究特別教授ら研究グループが研究・開発した、折り紙のように美しく折りたたむことができスプリングバックしないペットボトルの開発過程

スペースシーファイブの事業内容

スペースシーファイブは、折り紙工学の第一人者である、明治大学 研究・知財戦略機構 先端数理科学インスティテュート(MIMS)の萩原一郎研究特別教授により2023年2月27日付けで設立された明治大学発ベンチャーです。

スペースシーファイブは今後、萩原一郎研究特別教授が明治大学で研究・開発した知的財産をベースに、宇宙開発や深海開発などの多様な産業や、細胞などミクロ現象の解明に貢献出来ることを目指し研究・開発を進めます。

折り紙工学とは

日本の伝統文化でもある折り紙をベースとして2002年に提唱された研究領域です。

折り紙工学には産業的側面、遊戯的側面、芸術的側面がありますが、萩原一郎研究特別教授が主に研究しているのは、折り紙工学の産業的側面です。

折り紙工学の産業的側面とは

「折り紙3Dプリンター」で、通常は1日半かかる工程を15分で完成させた折り紙のウサギ「折り紙3Dプリンター」で、通常は1日半かかる工程を15分で完成させた折り紙のウサギ

折り紙工学の産業的側面は3つあります。

萩原一郎研究特別教授はそれぞれ以下のような研究・開発を行ってきました。

①あらゆるものを折り紙として表現する折り紙設計

・赤ちゃん用紙おむつの研究・開発 ※1

・現在、世界中で使用されている積層型の3Dプリンターとは異なる発想の、「折り紙式3Dプリンター」のコンセプトを構築 ※2

②軽くて剛な折り紙構造の設計製造

世界初の「3D切り紙ハニカム」を開発。関連論文は、エルゼビア材料部門2023年4月、5月度ダウンロード数トップとなりました。

この技術による「世界一軽量で最も安全な自転車のヘルメット」の販売も予定しています ※3。

③展開収縮できる折り紙構造の設計製造

自動車のエネルギー吸収材や落石防護柵始め地震対策構造として有効な構造の研究・開発

※1 ユニ・チャーム株式会社との共同開発を行った、折り紙工学を応用してフィット感を高めた赤ちゃん用紙おむつ

折紙技術をベビー用紙おむつの吸収体に応用|2019年|ニュースリリース|企業情報-ユニ・チャーム
平面の紙を立体的に表現する「折紙工学」に着目 折紙技術をベビー用 紙おむつの吸収体に応用 明治大学 萩原特任教授らと共同で開発 ユニ・チャーム株式会社 (本社:...

※2 「折り紙式3Dプリンター」の紹介動画(2分20秒~)

[日本語字幕] Origami Changes Everything by 萩原一郎 | Incredible Senseis at Meiji University
萩原 一郎(はぎわら いちろう)明治大学 先端数理科学インスティテュート/明治大学 研究特別教授『折り紙とロボットの組み合わせでものづくりに革命を!』一枚の紙からさまざまな形を生み出す折り紙は、宇宙開発などにも応用されている技術です。唯一の難点は、大量生産が難しいこと。でも萩原教授は、それを折り紙3Dプリンターと...

※3 防災用ヘルメットとしてはすでに折りたたみ式の最軽量のものが販売されています。

有限会社秦永ダンボールとの共同研究開発を行った、ダンボール製の防災用の帽子(特許登録済)

アウトリーチ防災用帽子
地震災害時にかぶる、「安全で、軽く、燃えにくく、水に強い」ダンボール製の防災用の帽子。 耐水・難燃ペーパーハニカムダンボールを材料とし、折り紙工学と融合して誕生。サイズ、色柄も豊富、たためて携帯できる。

萩原一郎研究特別教授のコメント

計測技術の著しい進展により、科学技術の興味は、広大な宇宙や深海などの超マクロな領域から、細胞などの超ミクロな領域にまで広がってきています。

これらの極限状態で共通な点は、そこで使用される構造の製造装置はなく自己折りなどで構造自身が製造装置も兼ねる必要があることです。これらには展開収縮可能で軽くて剛な折り紙構造をおいて他にはなく、折り紙工学はますます重要なものとなります。

日本伝統の折り紙は尊い文芸であり儲ける対象ではないと考えていた日本人ですが、第二次世界大戦中に英国のエンジニアが日本の網飾りをヒントにハニカムコアの大量生産方式を発明し、今や数兆円規模の産業に達しています。これを知った野島武敏氏(当時京都大学)が2002年に折り紙工学を提唱しました。私はこれに呼応し、翌年に複数の関連学会で折紙工学研究会を創始し中心となって牽引しました。以来21年、ハニカムコアに優るキュウビックコア(QBコア)を明治大学から特許出願できました。他にもQBコア級の折り紙型油圧ダンパーなどの特許出願ができ、その過程で明治大学発ベンチャーの設立となりました。

お世話になりましたMIMS(先端数理科学インスティテュート)やMIAD(先端科学ELSI研究所)始め明治大学に色々な面で貢献できる企業にすべく8年後の東証プライム上場を目指します。

株式会社スペースシーファイブ

本社所在地

神奈川県鎌倉市今泉5丁目10番8号

役  員

代表取締役社長 萩原 一郎

 取締役 篠田 淳一

設  立

2023年2月27日

資 本 金

500万円

事業内容

(1)折り紙工学を用いた製品の研究・開発

 紙素材:折りたたむ防音室、折りたたむヘルメット、歪まない扇など

 鋼材・樹脂素材:キュービックコアパネル・ダンパなど

(2)計算シミュレーション

 自動運転技術:ラストワンマイルカー・自動運転車用システムなど

この記事に関連するページ

スペースシーファイブ公式ホームページ

 http://spacec5.com/index.htm

萩原一郎研究特別教授の研究紹介動画

 Origami Changes Everything by 萩原一郎 | Incredible Senseis at Meiji University

 https://www.youtube.com/watch?v=yOBBhzAcz3E

萩原一郎研究特別教授の研究紹介記事

 日本の折紙が世界にイノベーションを起こす|Meiji.net

 https://www.meiji.net/it_science/vol382_ichiro-hagiwara

Meiji University × National Geographic: “Origami gets a second life”

 https://www.meiji.ac.jp/cip/english/news/2020/enjsp3000000f3dv.html

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