肺がん遺伝子検査「白書」公開、200病院のデータを分析

この記事は約7分で読めます。
もしも効果のある治療の可能性を知らずにいたら…。近年の医療の進歩により、がんの原因となる遺伝子変異に直接作用する「分子標的薬」が注目を集めています。一方、より効果的な治療につながる遺伝子変異の有無を十分に知らない患者がいる可能性もあります。そのため今回、全国200病院のデータを徹底分析した肺がん遺伝子検査の「白書」を公開。分析結果に基づく識者討論会を含むメディアウェビナーを2023年9月29日に開催します。

株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン

一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー

急性期病院の経営支援を行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(代表取締役社長:渡辺幸子、以下GHC ※1)および肺がんの患者団体である一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー(代表:長谷川一男、以下A4LC ※2)は8月21日、肺がん患者の遺伝子検査について、200病院のデータに基づく分析結果をまとめた白書「非小細胞肺癌患者におけるドライバー遺伝子検査実態調査―全国200病院のDPCデータ予備的解析結果―」(https://www.ghc-j.com/document/a4lc_2308/)を公開しました(分析結果のイメージは以下、報道機関の皆様は文末のメディア専用URLから資料をダウンロードしてください)。また分析結果の識者討論会を含む共同メディアウェビナー(https://www.ghc-j.com/event/seminar/20230929/)を9月29日に開催します。

分析結果のイメージ(遺伝子変異検査組み合わせ別の患者割合推移)分析結果のイメージ(遺伝子変異検査組み合わせ別の患者割合推移)

■がんサバイバーたちによる実態調査

日本人の2人に1人が罹患すると言われ、日本人の死亡原因の第1位の疾患である、がん。21世紀に入り、科学・医療の進歩により、がんの原因となる遺伝子変異(ドライバー遺伝子)が複数存在することがわかってきました。がんの死亡者数1位、罹患者数2位の肺がん、とくに非小細胞肺がんは、現在までに、8種類のドライバー遺伝子と、これらに対応する17の薬剤が承認されてきました。これらの薬剤は、分子標的薬と言われ、特定のがん原因遺伝子に直接作用するため、従来の殺細胞性の抗がん剤と比して、効果も高い傾向にあります。これらの薬剤を使用するためには「コンパニオン診断検査」にて、対応したドライバー遺伝子変異の検出が不可欠となります。

A4LC代表であり、自らも肺がん患者の長谷川一男は、患者会活動を通して、「年々、新たなドライバー遺伝子に対応する新規薬剤が承認されるなか、新規薬剤の承認前に肺がんの遺伝子検査を実施した患者さんが、新たな薬剤の使用可能性にアクセスできていないのでは」との仮説を提示。患者会メンバーにアンケートを行った結果、仮説を裏付ける結果が示唆されました。この仮説をさらに検証するため、がんサバイバーとして繋がりがあったアキよしかわ(大腸がんサバイバー)が会長を務めるGHCに、同社が持つ豊富なDPCデータ(※3)と解析ノウハウを通じた実態把握のための調査と解析について相談し、今回の調査(白書の詳細は以下URLか添付ファイル)が実現しました。

・非小細胞肺癌患者におけるドライバー遺伝子検査実態調査

 ―全国200病院のDPCデータ予備的解析結果―

 https://www.ghc-j.com/document/a4lc_2308/

 ※報道機関の皆様は文末のメディア専用URLから資料をダウンロードしてください

■白書を監修した識者たちによる討論会

分析結果の識者討論会を含む共同メディアウェビナー(ウェビナーの詳細は以下)では、調査の結果をご報告するとともに、肺がんの遺伝子検査の実態調査から見えてきた課題について皆様と共有いたします。討論会には白書を監修した中川 和彦先生(近畿大学病院がんセンター)、池田慧先生(神奈川県立病院機構 神奈川循環器呼吸器病センター 呼吸器内科)、高濱隆幸先生(近畿大学 腫瘍内科)などが参加(高濱先生はウェブ参加)します。

・非小細胞肺癌患者におけるドライバー遺伝子検査実態調査、全国200病院のDPCデータ予備的解析結果

 ~もしも効果のある治療の可能性を知らずにいたら。肺がんの遺伝子検査の実態調査からみえてきた課題~

 https://www.ghc-j.com/event/seminar/20230929/

本白書とウェビナーが、皆さまと共に、日本のがん医療について考える機会となれば幸いです。

※1:株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(https://www.ghc-j.com/

医師、看護師、薬剤師など医療資格者が在籍する急性期病院の経営コンサルティングファーム。最大1000病院の診療データをベースに、医療と経営の質向上を目指したコンサルティングおよび経営分析システム「病院ダッシュボードχ(カイ)」を提供する。累計クライアント数は700病院超。日本病院会と業務提携して中小出来高病院向け経営分析レポート「JHAstis(ジャスティス)」の執筆・配信を担当する。がん診療拠点病院の4割が参加する「CQI研究会」の事務局や米メイヨークリニックとの共同研究など国内外の医療機関等との研究事業も精力的に行う。財務省の「財政制度等審議会 財政制度分科会」の政策決定や日本集中治療医学会の政策提言に用いるデータ分析を手がけたほか、「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」では委員も務めて、今後の医療提供体制に向けて極めて重要なデータ分析を担当した。「アキよしかわの『ポストコロナの時代の病院経営』」(日経メディカル・オンラインで2020~2021年連載)など寄稿のほか、日本放送協会などテレビ、日本経済新聞など新聞、「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」など取材対応多数。主な著書・論文は『医療崩壊の真実』(エムディーエヌコーポレーション)、『日米がん格差』(講談社)、“Geographic variation in surgical outcomes and cost between the United States and Japan” American Journal of Managed Care (2016 Sep;22(9):600-7)、“Taking the leap to make bundled payments work Incentives drive realities in American, Japanese healthcare systems” Medical Group Management Association (2015 Sep; Vol. 1.)、“Cancer in the Time of COVID-19 in Japan: Collateral Damage” Collateral Global (2021)など。

※2:一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー(http://alliance-for-lung-cance.com/

非営利活動法人肺がん患者会ワンステップ兼肺がん患者連絡会代表である長谷川一男、元認定非営利活動法人キャンサーネットジャパン事務長である柳澤昭浩、がん情報サイト「オンコロ」設立者である可知 健太が、患者会、アドボケート、情報メディアというそれぞれの立場では実現困難であることを実現するために2021年設立。

※3:DPCデータ

包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院が作成を義務付けられているデータ。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1764病院(2022年4月時点)。

タイトルとURLをコピーしました