透明な膜材を使用した野外ステージ屋根を施工

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大型膜面構造物(テント構造物)や土木・物流資材などを手がける太陽工業株式会社(東京本社:東京都世田谷区、大阪本社:大阪市淀川区、社長:能村 祐己)は、愛知県津島市の天王川公園(愛知県津島市宮川町1丁目)の「野外ステージ」改修工事の膜構造施工を請け負い、7月14日リニューアルオープンしました。ステージ屋根には、フッ素樹脂をフィルム状に圧延した素材で、高透明で軽いETFEフィルム膜材を使用しました。本膜材を使用したステージ屋根はめずらしく、太陽工業では初めての事例となります。

ETFEフィルム膜屋根 ステージ(正面)ETFEフィルム膜屋根 ステージ(正面)

ETFEフィルム膜屋根 ステージ(背面)ETFEフィルム膜屋根 ステージ(背面)

■野外ステージ屋根 ETFEフィルム膜材採用経緯

 天王川公園のステージにはこれまで屋根がなかったため、さらにゆったりとくつろげる公園に向けて雨天時も使用できる全天候型ステージにしてほしいという要望が、市民から多く寄せられていました。設計を手掛けた株式会社TONZAKOデザイン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:松﨑 淳)によって、膜による屋根の設計が行われました。津島市からは、公園開設100周年を迎え次の時代を見据えた象徴的な演出してほしい、という要望が出され、太陽工業では初めてステージ屋根にETFEフィルム膜材を採用しました。
 多くの自然が残る天王川公園の景観との調和を図るため、透過性が高く、多彩な表現を可能とするETFEフィルムを使用し、天王川公園の丸池をイメージした円形屋根に加え、HPシェルの構造形態の採用により、巻藁舟で揺らぐ提灯の軽やかさをイメージした構造デザインとなっています。今後は、新たなモニュメントとして市民や利用者の記憶に残ることが期待されます。

■高機能フッ素樹脂ETFEフィルム膜材について

 ETFEフィルムの膜材はフッ素樹脂をフィルム状に圧延したもので、ガラスに代わる新しい建築表現が可能な材料として注目されており、日本では新豊洲Brilliaランニングスタジアムの屋根や旧ユニクロ心斎橋店(現在は閉店)のファサードに使用されています。海外では、カタールで開催されたサッカーワールドカップの「ハリファ国際競技場」にも使用され、巨大建築で注目を浴びる膜材です。

新豊洲Brilliaランニングスタジアム新豊洲Brilliaランニングスタジアム

旧)ユニクロ心斎橋旧)ユニクロ心斎橋

<主な特長>

①耐久性

 厚さ0.5㎜にも関わらず、耐久性は25年程度あり、防炎性能を有しているため、建築基準法22条地域でも用途によって使用可能です。

②透明性

 紫外線・可視光・赤外線のすべての領域で高い光線透過率(*500NJ(透明・500μm)の可視光透過率86.8%)を保持しています。フィルム種類(透明、梨地、ホワイト、ブルー、ドットプリントなど)の使い分けで、透過する光をコントロールできます。

③耐震性

 ETFEフィルム(500μm)の重さは約874g/㎡と一般的な他の建材と比較して軽量です。従来の膜構造と同様に、建築躯体への負荷を軽減して大幅に耐震性を向上させることができます。また、変形追従性に優れ、ガラスのように割れて破片が飛び散ることもなく、内部空間が安全になります。

■天王川公園 リニューアル概要

 天王川公園は、令和2年に開設 100 周年を迎え、平成 19 年には「日本の歴史公園 100 選」にも選定された歴史ある公園です。広い園地には芝生広場や遊具広場のほか、公園のシンボルである日本最大級の大きさを誇る藤棚があります。「尾張津島藤まつり」や平成28年にユネスコ無形文化遺産に登録された「尾張津島天王祭」が開催されるなど、多くの観光客や市民に愛される公園です。
 2022年度より、天王川公園Park-PFI(公募設置管理制度)事業*がスタートし、公募により選定された事業者である「天王川パークマネジメント」が公園の施設整備を進めてきました。スターバックスコーヒー天王川公園店の出店など、民間事業者のアイデア、ノウハウ、資金を活かし、公園全体の質の高い管理運営、イベント等の実施による通年の賑わい創出を目指し、公園全体のリニューアルが行われました。
 Park-PFI事業と連動し、寄附事業として、株式会社宇佐美鉱油を含むグループ企業からの企業版ふるさと納税等の寄附金により、野外ステージの整備が行われ、このたび完成しました。
 

 2023年7月14日(金)にはオープニングセレモニーが開催され、日比 一昭 津島市長がテープカットを行いました。

大治太鼓によるお祝いの和太鼓大治太鼓によるお祝いの和太鼓

オープニングセレモニー テープカットオープニングセレモニー テープカット

□愛知県津島市 日比 一昭 市長による挨拶

 天王川公園は「日本の公園の父」である、本多静六氏によって設計された100年を越える歴史ある都市公園です。7月22、23日には6年ぶりとなる尾張津島天王祭が開催され、ここがステージとなります。Park-PFI事業という官民連携の事業を用い、天王川公園は大きく生まれ変わりました。本日は一粒万倍日であり、飛躍的な成果が上がる、そのスタートの日と位置付けられています。新しい門出を祝うにはもってこいの日取りではないかと考えております。このような天王川公園のオープニングを迎えることが出来ましたのも、ここにご立席の皆様、そして多くの地域の皆様、市民の皆様のおかげでございます。素晴らしい天王川公園が、皆さまの憩いのオアシスとなることを祈念申し上げて、わたくしからの挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

日比 一昭 市長による挨拶日比 一昭 市長による挨拶

*Park-PFI(公募設置管理制度)事業とは
 都市公園において公園施設の整備(特定公園施設)とともに、飲食店、売店等の公園施設(公募対象公園施設)の設置及び管理を行う民間事業者を公募により選定し、都市公園整備を推進する仕組みのこと。

■天王川公園「野外ステージ屋根」概要

所在地:愛知県津島市宮川町1丁目地内
施主:津島市
設計:株式会社TONZAKOデザイン
設計協力:土井一秀建築設計事務所+H&A
構造:満田衛資+柳室純構造設計
施工:大和リース株式会社
膜構造:太陽工業株式会社
監理:株式会社TONZAKOデザイン
着工:2023年6月15日
完工:2023年6月30日
規模:22.9m×21.6m×12.7m(双曲放物面シェル形状)
面積:388.0㎡(投影面積)、417.0㎡(表面積)

■太陽工業株式会社について

 太陽工業は、社会の安心・安全を支える「膜構造のリーディングカンパニー」です。「膜の無限の可能性を引き出し、お客さまに感動と快適な環境をお届けします。」の企業理念のもと、軽くて丈夫な素材の特性を活かし、巨大ドームの屋根に象徴される各種建築事業をはじめ、土木や物流、さらには環境分野などにも事業を展開しています。創業100年を迎え、今後さらにイベントや施設運営のグループ会社と連携するとともに、海外事業や研究開発を強化してまいります。
公式HP:https://www.taiyokogyo.co.jp/

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