世界初の「涙」によるがん検出事業の拡大加速に向けて「株式会社TearExo」が資金調達を実施

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J-Startup KANSAI認定スタートアップ企業の株式会社TearExo(本社:兵庫県神戸市、代表取締役:堀川 諒)は、検査ハードルの低い革新的ながん検出法の社会実装を加速するため、第三者割当増資により、総額5,000万円の資金調達(シードラウンド・リードVC神戸大学キャピタル他4社)を実施しました。本ラウンドで調達した資金は、研究体制の強化を目指した研究開発人員の増強および研究開発に関わる資材費、特許取得経費等に充当する予定です。

  • 資金調達の背景

 株式会社TearExoは「涙1滴、誰もが疾病から解放される世界」をVisionとして掲げ、「TearExo法」を検査ハードルの低いがん検出法として社会実装することによって、がんの早期発見・早期治療によるQOL向上を目指す神戸大学認定スタートアップ企業です。

 現在当社は、がんの中でも、女性の9人に1人が罹患し、女性が最も罹患しやすいがんである、乳がんに着目しています。乳がんは新規罹患者が年間9万人以上と多い一方、早期発見できれば90%以上が命を落とさないと言われており、事実、マンモグラフィー受診率の高い英国では死亡率が年々減少しています。しかし、日本のマンモグラフィー受診率は50%に満たず、乳がんによる死亡率は年々上昇しています。
 マンモグラフィー受診率が上がりにくい原因は、医療機関の予約が取りにくい、仕事や子育てで忙しい、来院が面倒、受診時に痛みが伴うなどの、様々な要因による検査ハードルにあります。また、検査精度にも課題があり、マンモグラフィー単独検診では、100人のうち約20人は有症者を見落とす結果となっています。超音波診断法との併用で診断精度は向上しますが、超音波診断法は自己負担の上、医療機関に来院する必要があり、やはり検査ハードルは高くなっています。そのため、いつでも、どこでも、誰でも検査が可能で、簡便・迅速・低コストで高い精度を持つ検査ハードルの低いがん検出法が強く求められています。
 このような背景下、世界初の「涙液」によるがん検出法の社会実装を加速するために、今回の資金調達を行いました。

  • 技術内容「TearExo法」

 TearExo法は、涙液中に含まれるエクソソームを前処理なし・高感度・迅速・簡便・低コストで検出可能な神戸大学発の技術です。血液ではなく、簡単に自己採取できる「涙液」を検体として用いることで、検体採取の痛みや検査の苦痛、病院への来院予約の手間などを減らし、検査ハードルを下げることができます。
 エクソソームは、直径が1千万分の1(10-7)メートルの小胞で、体中のあらゆる細胞から分泌されます。最近、がん細胞から放出されるエクソソームが、がんの悪性化や転位に深く関わっていることが明らかとなり、このがん細胞由来エクソソームを利用して、がんを早期発見する新たながん検出法が注目を集めています。
 当技術では、チップ上に形成した空孔内に、がん細胞由来エクソソームの表面タンパク質を認識する抗体と、その結合を蛍光変化で読み出すことのできる蛍光レポーター分子を配置して得た、エクソソームセンシングチップを用います。検体となる涙液は、シルマー試験紙と呼ばれるろ紙片で簡便に採取した後、リン酸緩衝生理食塩水中に浸して涙液中のエクソソームを回収し、測定サンプルとして用います。独自に開発した自動測定装置にチップとサンプルをセットし、エクソソームの結合による蛍光強度変化を自動測定します。当技術は、従来の免疫測定法の100~1,000倍と高感度であることから、成分が希薄な涙液でもエクソソームを検出可能です。また、従来法でのエクソソーム検出のためには、検体採取後にエクソソームの濃縮や精製のために超遠心やサイズ排除クロマトグラフィーなどの前処理が行われますが、当技術では感度の高さから、前処理なく測定できます。

  • 資金調達の目的

 今回の資金調達の目的は、検査ハードルの低い革新的ながん検出法の社会実装を加速するために、研究開発体制を強化することです。調達した資金は、研究体制の強化を目指した研究開発人員の増強および研究開発に関わる資材費、特許取得経費等に充当する予定です。また、出資VC、事業パートナー企業や他のヘルスケア関連企業とともに、円滑な市場導入を図るための出口戦略を構築し、より早く、より多くの患者様や医療従事者の方々に、従来検査の中心であった「血液」に加えて、「涙液」という新しい検査カルチャーが定着するように取り組んでいきます。さらに、乳がん検出法の開発での経験を活かし、他のがんや感染症などの疾病への応用展開を目指します。

  • 出資パートナー企業様からのコメント

◇株式会社神戸大学キャピタル / 石田 真士 様
KUC1号投資事業有限責任組合より出資させて頂きました。涙液を検体としたリキッドバイオプシーであるTearExo法は、痛みが強く受診率が低迷している乳がん検診をはじめとして、国内、ひいては世界規模でのがん等疾患の発見早期化を通じたヘルスケアの向上に資する、非常に新規性・社会的意義の高い技術であると考えます。神戸大学発ベンチャーである御社への今回のシード投資を契機に、今後の実用化・事業展開に向け、鋭意伴走支援させて頂きます。

◇株式会社リバネスキャピタル / 阿部 晃城 様
この度、リバネスキャピタルからの出資に加え、ジャーミネーション1号ファンドからも出資をさせて頂きました。『メドテックグランプリKOBE2019』で最優秀賞を受賞した時点ではまだ会社化されていませんでしたが、そこからチームを作り、がん検査に応用できる独自のエクソソーム検出技術TearExo法を確立しました。検査キットも量産手前の段階まで進んでおり、これらはチームメンバー全員の努力の賜物だと思っています。TearExo社とともに、このがん早期診断法をいち早く世界に届け、早期発見、早期治療ができる社会を実現するために、支援を続けて参ります。

◇一般社団法人日本スタートアップ支援協会 / 代表理事 岡 隆宏 様
今回のラウンドに投資させていただきました日本スタートアップ支援協会の岡です。投資した理由は涙に含まれるエクソソームを検出する世界初の技術「TearExo法」が極めて画期的で、優れた技術で、数あるヘルスケア関連スタートアップ企業の中でも、特に注目のスタートアップであるからです。今後実用化できれば加速度的に市場シェアが伸びる可能性があるスタートアップであり、検査ハードルの低い検査による検診受診率向上など、社会貢献性が非常に高い点も高く評価しました。今後も伴走しながら支援していきたいと思います。

◇株式会社ちゅうぎんキャピタルパートナーズ / 取締役 石元 玲 様
私個人、医療費を含む日本の社会保障費に対する不安と課題を感じる中、「涙」に着目する画期的な技術と出会い、予防医療の領域において、”なくてはならない存在になってほしい”、そうした願いと期待もあり、出資をさせていただきました。代表の堀川さんと竹内先生の師弟関係をベースに構成される経営チームも魅力であり、大学発ベンチャーの一つのモデルになることを期待しております。

◇フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 / 小林 祐也 様
神戸信用金庫と共同で設立した「こうべしんきんステップアップファンド」から投資をさせていただきました。同社が開発した涙で乳がんを検出するTearExo法は、自分で簡単にがんリスクを管理でき、がんの早期発見を実現する技術と期待をしています。乳がんの発症や再発に悩む女性が安心して生活できる社会の実現に向けて、関係者一同精一杯応援させていただきます。

  • 代表取締役 堀川 諒からのご挨拶

 心強い投資家の皆様に共感いただき、ご一緒できますことに心から感謝申し上げます。TearExo法は、世界を変えるポテンシャルがある、極めて画期的な技術です。これまで乳がん患者会や医療機関、事業会社など、様々なバックグラウンドを持つ方々とお話をさせていただく中で、沢山の方々がTearExo法に大変ご期待下さっていることを感じ、少しでも早期に社会実装したいという思いに駆られています。検査ハードルが圧倒的に低い涙液検査を社会実装して、「涙1滴、誰もが疾病から解放される世界」を実現するために、引き続き尽力して参る所存です。

  • お問い合わせ先など

●論文

 TearExo法による涙液を用いたがん診断の成果は、国際的に著名な論⽂誌Journal of the American Chemical Society(インパクトファクター16.4)に掲載され、表紙にその研究イメージが採⽤されています。
Takeuchi, T., Mori, K., Sunayama, H., Takano, E., Kitayama, Y., Shimizu, T., Hirose, Y., Inubushi, S., Sasaki, R., Tanino, H.
Antibody-conjugated signaling nanocavities fabricated by dynamic molding for detecting cancers using small extracellular vesicle markers from tears, J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 6617-6624. (DOI: 10.1021/jacs.9b13874)

●会社情報
会社名:株式会社TearExo
代表取締役:堀川 諒
設立:2022年4月21日
HP:https://tearexo.jp/
所在地:兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1
主な事業内容:分子認識材料を用いたリキッドバイオプシーの研究・開発・製造・販売

●お問い合わせ先
担当者:市川晶子
メールアドレス:info@tearexo.jp
電話番号:090-5492-9711(事務所直通)

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