大塚化学、”EAGLYS ALCHEMISTA”を利用し秘密計算を利用した企業間データ連携MIの有用性を確認

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EAGLYS株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:今林広樹、以下EAGLYS)と、大塚化学株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:土佐浩平、以下大塚化学)は、秘密計算を利用し安全な企業間データ連携マテリアルズ・インフォマティクス(以下MI)を実現するEAGLYS ALCHEMISTA(イーグリス アルケミスタ、以下ALCHEMISTA)のPoCを実施。実際の実験データを利用し、秘密計算を利用した企業間データ連携MI(次世代マテリアルズ・インフォマティクス)の有用性を確認しました。

 近年、欧米や中国の化学産業では、国家や大企業を中心に企業を超えたデータの集約と活用が進んでいます。一方、日本の化学産業は多様な企業や研究者によって構成されデータの集約が困難なため、各企業内でのデータ活用にとどまっています。このため、日本企業のグローバル競争力の低下が懸念され、政府主導の有識者会議でも「マテリアルデータに関する企業間連携」について多くの議論が行われており、この問題を解決する技術として注目されているのが「秘密計算」です。秘密計算は、実験データの秘匿性を保ちながら共有や活用が可能な技術です。データを暗号化したまま他の企業と安全に計算を行うことができ、特許や知財保護の観点からもデータの共有が安心して行えます。大塚化学は、2019年より取組開始したMIの有用性実証の過程において、企業間データ連携の推進がMI活用の価値を最大化しうると考え、この度、業界に先駆け秘密計算を利用した企業間データ連携MI製品”EAGLYS ALCHEMISTA”のPoCを実施するに至りました。

■PoCの概要
以下の一連の内容をALCHEMISTAのユーザー操作画面にて実施。

  • シーン :複数原料で構成される配合材の開発において、所望の物性値を達成しうる、最適な主原料の探索と全原料の配合比率の推計を行う。

  • 参加者:サプライヤー / 主原料メーカー、バイヤー / 大塚化学 (※)

※本PoCは大塚化学保有のデータのみにて実施

■PoCの成果

  • 検証の結果、秘密計算による企業間データ連携MIの業務利用は可能と判断

・秘密計算によるモデル学習の精度は、平文で実施する場合と同等であることを確認。
・秘密計算を利用することによる速度低下についても業務上問題がないことを確認。
・一部、想定された計算式が秘密計算下での実施が困難であることが判明したが、代替案にて業務上問題ないことを確認。困難な計算式については継続的に研究開発をすすめる。

  • 秘密計算による企業間データ連携MIによって自社・他社のデータに基づく議論・すり合わせが可能となり、下記期待効果を発揮することを確認

・材料開発のスピードアップ

・各研究者個人ナレッジの会社資産化の促進
・属人化の防止

■今後について
 本PoCでは大塚化学保有のデータセットを サプライヤー/バイヤー とに分割し擬似的に環境を実現しましたが、次ステップでは大塚化学と実際にビジネスを進めているもう1社との、2社共同PoCを年内には実施する方向で計画中です。この次ステップPoCで企業間データ連携MIのビジネス有用性を明らかにし、化学業界のさらなる発展を目指してまいります。

【EAGLYS ALCHEMISTAについて】
 秘密計算を利用した企業間データ連携MI(次世代マテリアルズ・インフォマティクス)を実現するサービス。MI専用の操作画面だけでなく、秘密計算を利用した企業間データ連携MI専用のユーザー操作画面を搭載しており、”隠すだけでなく、隠しながら上手く見せる画面”にて、企業間のデータに基づいた議論・すり合わせを実現したサービス。2023年7月現在β版を提供しており、各PoC協力企業の各種要望を取り込みながら2023年内の正式リリースを予定。
サービス紹介ページ:https://www.eaglys.co.jp/product/alchemista/

■本リリースに関する両社コメント
【 大塚化学株式会社 執行役員 研究開発本部長 空處弘一】
大塚化学は「素材の力を顧客とともに創造的に、かたちにする会社」を標榜し、顧客とのすり合わせによって社会課題を解決する機能性化学品の開発を行ってきました。今回、EAGLYS様と取組んだPoCにより、弊社のすり合わせ開発を更に高度化しうる、新たな研究開発体制が示されたと考えております。引き続きEAGLYS様と連携して当該技術の実証を進め、地球環境と豊かな暮らしに貢献する機能性化学品の開発を加速させていきます。

【 EAGLYS株式会社 代表取締役社長 今林広樹 】
秘密計算を利用した化学業界のインダストリーデータ活用を、業界でも先進的な取組をされている大塚化学様と、ビジネス有用性や期待効果まで踏み込んだ実業務に近い形で検証できたことを大変うれしく思っております。今回の検証にて、従来サプライヤーとバイヤーがそれぞれ暗黙知としていた情報を持ち寄り、形式知化することが開発効率・スピードや研究ナレッジ資産化につながるという大きな価値の発見につながりました。引き続き、大塚化学様との連携を通じて、企業間データ連携MIの有用性を社会提案していくとともに、大塚化学様の機能性化学品の開発に貢献をしていきたく存じます。

■各社紹介

【大塚化学株式会社について】
創  業: 1950年8月
本  社: 大阪市中央区大手通3丁目2番27号
代表者 : 代表取締役社長 土佐浩平
事業内容:化学品の製造、販売 
https://www.otsukac.co.jp/

【EAGLYS株式会社について】
設  立: 2016年12月
本  社: 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27-3 やまとビル7F
代表者 : 代表取締役社長 今林広樹
事業内容: AI・秘密計算によるインダストリーデータの活用を促進するPrivate AI プラットフォームの提供
https://www.eaglys.co.jp

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