AIとIoTにより、認知症の行動・心理症状(BPSD)の予測に成功

この記事は約6分で読めます。
ゲオムは、AIで認知症の方のバイタルデータや環境データ、介護記録等を分析し、認知症の行動・心理症状(以下BPSD)が発症する60分前または30分前に予測し、科学的根拠に基づく適切なケア方法と共に通知する認知症対応型AIサービス「GEOM.ai」(図1)の販売を開始致します。本技術により、介護者の負担を減らし認知症当事者が自分らしい生活を送るための補助となり、より高度な個別化認知症ケアの実現や普及に貢献致します。

AIとIoTにより、認知症の行動・心理症状(BPSD)の予測に成功
~バイタルデータや環境データからBPSDを予測し、適切なケア方法も導出する自律型AIを開発し、介護施設や在宅介護等において活用できるサービスを構築~

ゲオム株式会社(以下「ゲオム」)は、認知症で最も介護負担の大きい行動・心理症状(※1BPSD)を事前に予測し、最適なケア方法と共に通知するAIアプリ「GEOM.ai」を2023年8月より販売開始いたします。

現在、介護負担の軽減や認知症の方のQOL維持のために、科学的根拠に基づく介護DXが求められています。GEOM.aiを利用することにより、一見、手に負えないように思われる認知症の不可思議な混乱状態も正確に理解することができ、それに対する科学的な認知症ケアが可能となり、BPSDの発症予防や介護負担の軽減が期待できます。また、GEOM.aiは※2コネクティブAIとして開発されており、今後様々な介護ソフトやコミュニケーション・ロボットとのAPI連携も進める予定です。

※1.BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)認知症患者にしばしば生じる、知覚認識または思考内容または気分または行動の生涯による症状」と定義されています。©山口晴保
※2.コネクティブAI(connective artificial intelligence)とは、「クラウドに接続された人工知能」です。

概要
ゲオムは、AIで認知症の方のバイタルデータや環境データ、介護記録等を分析し、認知症の行動・心理症状(以下BPSD)が発症する60分前または30分前に予測し、科学的根拠に基づく適切なケア方法と共に通知する認知症対応型AIサービス「GEOM.ai」(図1)の販売を開始致します。

本技術により、介護者の負担を減らし認知症当事者が自分らしい生活を送るための補助となり、より高度な個別化認知症ケアの実現や普及に貢献致します。

(図1)GEOM.aiの利用イメージ

  • 開発の背景

本研究開発は、総務省「医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業」に基づく、AMED「認知症対応型 AI ・IoT システム研究推進事業」(22us0424001)を活用してデータ解析によりBPSD予測を行い、認知症に対する理解と適切なケア方法を推奨する運用システムを確立するために実施されました。近い将来、相当数に達すると予想される認知症高齢者数と、介護者を支える人口減の2つの課題を解決するため、AIやIoTを活用した介護ケアの仕組みが求められていました。

  • 本技術の特徴

実証事業において、BPSD発生予測率は80%以上、再現率は90%を上回りました。介護の効率化においては直接的介護で23.3%、間接的介助で44.5%延長し、従来は介護者1人で3人しか対応できなかった現場が、1人で4人以上対応できるようになるなど介護負担の軽減効果が得られています。

分析方法として、被介護者のバイタルデータ(呼吸、脈拍数、体動、睡眠・覚醒状態)と環境データ(温度、湿度、気圧、照度、騒音、CO2濃度)の時系列数値データを用い、BPSD発生の有無と時間・関係性・規則性をAIで判定しました。さらに、介護現場で記録される介護記録(評価データ)等をクラウドプラットフォーム内で自動分類し、蓄積させました。これらのデータを元に相関性をAIに学習させ、30分後と60分後のBPSD発生確率を予測し、同時に「科学的根拠」に基づく適切なケア方法をアプリ上にプッシュ通知する仕組みを構築しました。

これにより、介護従事者はAIから通知された内容をタブレットで確認し、適切なタイミング・手法で介護ケアを行うことが出来ます。その結果、兆候があったBPSDが発症せず、予防ケアとしての効果が実証されました。尚、実証事業期間内における症状別予見精度については下図(図2)の通りです。

<図2>2022年12月におけるBPSDの症状別予測正解率

本研究は、総務省「IoTサービス創出支援事業」等およびAMED「医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業(認知症対応型 AI ・IoTシステム研究推進事業)」(22us0424001)により開発された認知症ケア補助人工知能システムDeCaAI(Dementia care-assist AI)が基盤となっています。尚、本推進事業における研究者は、下記の通りです。

尚、本技術は、一般社団法人 認知症高齢者研究所所長・羽田野政治の研究・開発貢献により確立しました。羽田野氏は、正しい認知症ケアを均一的に現場に伝える方法として、30年前に介護技術のメソッド「Kyomation Care」を提唱しました。そのメソッドにより認知症ケアに関する様々な成果とエビデンスを得ることに成功し、国内外の学会などで様々な賞を受賞。これらの成果に基づき開発したKyomation Care Interface System(KCiS:特許取得)が、2017年総務省IoTサービス創出支援事業「 認知症対応型IoTサービス」に採択されました。その後、その成果はAMED「認知症対応型AI・IoTシステム研究推進事業」で研究開発されたDeCaAIの技術基盤となっています。GEOM.aiは、このDeCaAIを活用して製品化された認知症ケアAIサービスの呼称です。

  • 実施体制

ゲオム株式会社:GEOM.aiの開発・販売(URL:https://geom-hd.com/
一般社団法人 認知症高齢者研究所:AIの開発・保守・運用(URL:http://www.kyomation.com/

  • 今後の展望

ゲオム及び認知症高齢者研究所は今後も、本サービスの展開により得られる知見・データを活用し、サービスの品質向上及び認知症の予防、より高度なヘルスケア・医療・介護の連携実現を推進していきます。また、コミュニケーション・ロボットへのGEOM.aiの搭載や在宅介護向けのAIサービス提供、海外進出も計画しています。

【本件に関するお問い合わせ先】
ゲオム株式会社 広報室(info@geom-hd.com)

タイトルとURLをコピーしました