MA-T™技術を活用した「膀胱癌の治療薬」の開発が医師主導治験のフェーズへ移行

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■概要

大阪大学大学院医学研究科 泌尿器科学の河嶋厚成 講師らは、筋層非潤性膀胱癌(NMIBC)に対して行う経尿道的膀胱切除術(TURBT)でがん組織を切除した後、再発抑制のために亜塩素酸ナトリウム(開発コード:HM‐001)を膀胱内に注入する治療薬(MA-T™のメカニズムを活用)の確立を目指し、安全性と有効性を確認するための医師主導治験を、大阪大学医学部付属病院で開始しました。

本治験は第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験であり、第Ⅰ相試験パート(パート1)ではHM‐001の安全性を確認し、将来の治験で用いる薬剤用量(推奨用量)を決定します。第Ⅱa相試験パート(パート2)ではパート1で決定した推奨用量を用いた際のTURBTから1年後の膀胱癌の非再発率を確認します。

HM‐001を用いた治療法が確立されれば、既に承認されて使用されている薬剤を用いた治療法で課題となっている治療継続率が改善され、また、治療継続率の改善により膀胱癌の非再発率が期待できます。

本治験は、株式会社HOISTより治療薬の無償提供、イーピーエス株式会社の支援を受けて実施されます。

■膀胱癌治療について

膀胱癌は男性に多く発症し、新たに診断された膀胱癌の約70%が筋層非浸潤性膀胱癌です。
筋層非浸潤性膀胱癌は内視鏡手術で切除可能ですが、再発率が高く、再発抑制のためBCGや抗がん剤を注入する治療が行われております。膀胱内に注入しても刺激が弱く、継続して使用できる治療薬の開発が望まれています。

■研究の背景

これまでに、大阪大学大学院薬学系研究科 細胞生理学分野の辻川和丈教授らの研究グループは、細胞を用いた試験、および動物を用いた試験において、亜塩素ナトリウムががん細胞の増殖を抑制することを明らかにしました。この成果を大阪大学発のベンチャー企業である株式会社HOISTが引き継ぎ、動物試験での更なる有効性の確認、GLP基準に基づいた安全性の確認、治療薬の製造を行っています。治療薬は、株式会社HOISTがGMP基準に準拠して製造しました。

■日本MA-T工業会の今後の活動

MA-T™のメカニズムを活用した治療薬が、医師主導治験のフェーズに移行したことにより、医薬分野の活動を強化してまいります。株式会社HOISTが取得した前臨床試験での安全性データや治験の進捗を、医薬品の開発に興味をもつ会員企業と共有する仕組みを構築します。

先行して組織された「MA-T空間散布ワーキンググループ(WG)」の仕組みを参考し、「医薬品WG」の設立を企画します。このWG活動により、MA-T™の医薬分野における研究開発や社会実装を加速します。

【お問い合わせ窓口】

 一般社団法人日本MA-T工業会     

 03-4572-0648

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