2023年「夏休み 子どもの食 応援ボックス」申込者アンケート結果【国際NGOセーブ・ザ・チルドレン】

この記事は約5分で読めます。
子ども支援専門の国際NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎、本部:東京都千代田区、以下セーブ・ザ・チルドレン)は、子どもの貧困問題解決への取り組みの一環として、全国を対象に、経済的に困難な状況にある子育て世帯への長期休暇中の食支援を行っています*。2023年6月8日から同19日にかけて申し込みを受け付けた「夏休み 子どもの食 応援ボックス」(以下、本ボックス)には、過去最多の6,412世帯から申し込みがありました。

今回、セーブ・ザ・チルドレンは、本ボックスに申し込んだ6,412世帯を対象に行ったアンケート調査結果を発表しました。本調査は、経済的に困難な状況にある子どもや子育て世帯の生活状況や必要とする支援を把握し、子どもの貧困対策の推進に向けた政策提言などにいかすことを目的に、本ボックス申込時に実施されました。有効回答数は6月8日から同19日までに申し込みのあった全国47都道府県の6,412人です。

2022年以降3回目となる今回の調査では、長引く感染症による負の影響、物価高によって増す家計への負担、賃上げがほとんどない実態、長期休暇中の子どもたちの食事の制約など、これまでと比較してもより一層厳しい状況が浮かび上がっています。国が7月4日に公表した最新の調査では、2021年所得に基づく子どもの相対的貧困率は11.5%と、前回2018年調査よりも改善されていますが[1]、本調査で明らかとなった経済的に困難な世帯の子どもたちが直面する困窮は深刻であり、この夏休みも子どもたちが必要とする食料が得られない、学び・体験の機会が制約を受けることが強く危惧されます。

 

■アンケート調査結果
https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/report-foodboxsummer2023.pdf

 

<調査結果から明らかになったこと>(有効回答数:6,412人) 

1.     7割を超す世帯で十分な量の食料を買うお金がない

2.     長期休暇中に昼食を十分な量とれていない子どもは46.2%

3.     物価上昇による賃上げがあったのはわずか4.7%

4.     6割以上が新型コロナウイルス感染症拡大前の給与水準に戻っていない

5.     約7割の世帯が「夏休み期間中に日帰りの外出が経済的にできない」

6.     6割以上の世帯が初等中等教育の無償化や現金給付を望んでいる

 

<本調査結果を受けての今後の活動>

子どもの相対的貧困率は一見改善しているように見えるものの、経済的に困難な状況にある子ども・子育て世帯が直面している困窮がきわめて深刻であることが本調査結果から分かっています。2023年内に策定される予定の「こども大綱」に向けて、セーブ・ザ・チルドレンは、国会議員やこども家庭庁、厚生労働省、文部科学省などに対し、経済的に困難な状況にある子育て世帯への継続的な支援策を迅速に講じるよう訴えていきます。

 

1.喫緊に必要とされる対策:低所得の子育て世帯に対する「子育て世帯生活支援特別給付金」の迅速な再支給

2.「こども大綱」策定に向けて:最優先課題のひとつとして、子どもの貧困対策の拡充を明記

 ・低所得の子育て世帯に対する「子育て世帯生活支援特別給付金」の計画的な支給

 ・小中高校生活における教育の私費負担軽減の方策

 

本ボックスは、7月中旬以降、対象者に順次発送し、発送後には利用世帯に対してインタビューを実施予定です。その結果を、セーブ・ザ・チルドレンのウェブサイトやSNSで公開するほか、政策提言にも活用します。

また、本調査から、夏休み中に日帰りの外出でさえも経済的にできないと回答した世帯が約7割となり、経済的な制約によって子どもの体験の機会がはく奪されている状況が明らかとなっています。

多様な体験の機会を得ることは、子どもの大切な権利のひとつです。セーブ・ザ・チルドレンは、これまで活動を通じてつながった子どもを対象に、長期休暇中の子どもたちに、さまざまなまなびや体験の機会を提供する体験プログラムを実施する予定です。

 

*セーブ・ザ・チルドレンの子どもの食支援への取り組み

2020年、新型コロナウイルス感染症拡大への緊急支援として「ひとり親家庭子応援ボックス」を首都圏にて開始し、22021年には、ふたり親世帯も対象に広げて「子どもの食 応援ボックス」を実施。2022年からは、新型コロナウイルス感染症の長期化や、感染者数が減少している自治体であっても子育て世帯がより困難な状況に置かれている可能性があることをふまえ、対象を全国に拡大して実施しています。2020年から2022年まで、計7回実施し、のべ17,087 世帯の経済的に困難な状況にある子どもたちに食料を届けました。2023年「夏休み 子どもの食 応援ボックス」は、2020年から数えると8回目、全国を対象としては3回目の食支援となります。

 

・ 2022 年度 7 月「夏休み 子どもの食 応援ボックス」利用世帯アンケート結果

https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=4035

・ 2022 年度 12月「冬休み 子どもの食 応援ボックス」利用世帯アンケート結果

  https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=4101

 

 

<セーブ・ザ・チルドレン概要>

 セーブ・ザ・チルドレンは、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」が実現された世界を目指して活動する国際NGOです。1919年にイギリスで設立され、現在、世界120ヶ国で子ども支援活動を実施しています。日本では1986年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが設立され、国内外で活動を展開しています。

https://www.savechildren.or.jp/

[1] 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html

タイトルとURLをコピーしました