次戦は、二回戦第一局で永瀬拓矢王座と対局予定。
【実施概要】
タ イ ト ル: 「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」 一回戦第一局
日 程: 2023年7月1日(土)
場 所: 夢メッセみやぎ展示ホールA・B(住所:宮城県仙台市宮城野区港3丁目1-7)
【JTプロ公式戦結果】
対 局: 山崎隆之 八段(先手)対 羽生善治 九段(後手)
結 果: 109手にて山崎八段の勝ち
【「JTプロ公式戦」今日のハイライト】
山崎八段、奇跡の逆転勝利で開幕戦を飾る。
振り駒は抽選で選ばれた来場者が行い、と金が3枚で山崎八段の先手と決まる。
相掛かりの序盤からお互い銀を取り合う珍しい展開となり、前例のない力戦調の手将棋に。後手が飛車をぐるりと転回して△8三飛としたあたりからやや後手ペースになり、徐々に差を広げた羽生九段が勝勢になるも、ドラマは最後に待っていた。106手目4七香が自玉の詰みをウッカリした大失着。九死に一生を得た山﨑八段がスーパー大逆転勝利を飾った。
【対局前の両者のコメント】
羽生九段「今回私が最年長だと思いますが、参加の枠に入るのも大変な棋戦ですので、出場できることをうれしく思います。「JTプロ公式戦」は持ち時間が短いので決断力が求められます。勝負どころで腰を落として考えられるように思考にメリハリを付ける必要があります。山崎八段は意表の一手を指してきますので、それにうまく反応したい。結局中終盤の競り合いになると思いますが、いい将棋をお見せしたいですね。」
山崎八段「東北大会に決まったときは『よっしゃ!』と思いました。仙台に来るのは今回が初めてなので(笑)。『JTプロ公式戦』はファンの方の目の前で対局しますので、熱戦になったときは棋士として心地よい充実感を感じます。羽生九段は本当の意味でトップ棋士で強敵ですが、ギリギリの戦いになるようにしたい。中終盤も集中を切らさないようにして、番狂わせを起こせればと思います。」
【勝利棋士 山崎八段のコメント】
相掛かりは予定どおりでしたが、銀の取り合いは考えていたわけではありません。△4六飛に▲3七金と立ってバランスは取れていたと思うのですが。▲9七角は後手の銀と刺し違えてもというつもりの手でしたから、△8六歩には▲同角としなければいけなかったのに、▲同歩と弱い手を指してしまいました。途中大差がついて、肩をガックリと落としてもおかしくなかったのですが、こどもたちが見ていると思って指し続けました。形を作る意味もあり、一応詰めろの▲1二とを指したんですが。羽生九段は詰ます順も見えていた上で△4七香だったと思います。こういうこともあるんですね。
講評
相掛かりは予想どおりでしたが、序盤早々銀を取り合う展開で見たことがない戦いになりました。
羽生九段の△8三飛がいい位置で、後手の模様が良くなったと思います。先手は端を攻めますが、玉から遠いところですし、羽生九段がうまく対応しました。62手目△3三角~△1五角としたのが羽生九段らしい柔軟な発想で、8筋に飛車を成り込んで挟撃態勢を築きます。後手の勝ちは動かないと思いましたが、山崎八段の勝負をあきらめない姿勢が最後の逆転を呼びました。羽生九段には悔やんでも悔やみきれない△4七香でした。将棋は怖いと改めて思いました。 森内俊之九段談
JTプロ公式戦(一回戦第一局)結果
【投了図】 山崎隆之 八段(先手)対 羽生善治 九段(後手)
【棋 譜】 山崎隆之 八段(先手)対 羽生善治 九段(後手)
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲3八銀 △7二銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲5八玉 △9四歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2六飛 △6四歩
▲3六歩 △3四歩 ▲3七銀 △6三銀 ▲3八金 △4四角
▲2八飛 △5四銀 ▲4六銀 △4二銀 ▲6八銀 △2二角
▲5六歩 △4四歩 ▲5五歩 △4五歩 ▲5四歩 △4六歩
▲同 歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △4六飛
▲3七金 △4三飛 ▲4六歩 △5四歩 ▲6九玉 △7四歩
▲1五歩 △同 歩 ▲9六歩 △8三飛 ▲9七角 △7五銀
▲1三歩 △8六歩 ▲同 歩 △9五歩 ▲1五香 △9六歩
▲7九角 △3三角 ▲1二歩成 △1五角 ▲1一と △3三桂
▲8五銀 △1六歩 ▲1八歩 △4八歩 ▲7六歩 △8六銀
▲7四銀 △8四飛 ▲6三銀不成△4九歩成 ▲7七桂 △同銀成
▲同 金 △8九飛成 ▲7二銀打 △同 金 ▲同銀不成 △5五香
▲6三銀成 △4三銀 ▲5三歩 △4二玉 ▲4四香 △2五桂
▲5二歩成 △3三玉 ▲4三香成 △同 金 ▲5七歩 △6五桂
▲1二と △7七桂不成▲同 銀 △5九と ▲同 玉 △7九龍
▲6九桂 △5七香不成▲5八歩 △4七香 ▲2二銀 △2四玉
▲2五飛 まで109手で先手の勝ち