トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2023 成果発表展「誰かのシステムがめぐる時」

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トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、さまざまな分野で活動するアーティストたちへ活動の機会を提供しています。
2023年7月から9月までの2会期にわたって実施する本展では、2022年度に海外各地の提携機関や東京のTOKASレジデンシーで滞在制作した11組のアーティストによる成果を発表します。

▮ 展覧会概要

会期:

第1期|2023年7月1日(土)~8月6日(日)

第2期|2023年8月19日(土)~9月24日(日)

会場:トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京都文京区本郷 2-4-16)

開館時間:11:00 – 19:00(最終入場は30分前まで)

休館日:月曜日(7月17日、9月18日は開館)、7月18日(火)、8月7日(月)~8月18日(金)、

    9月19日(火)

入場料:無料

主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース

提携都市/機関:

アトリエ・モンディアル(スイス、バーゼル)、ウィールズ、ベルギー・フランダース政府(ベルギー、ブリュッセル)、HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]、フィンランド文化財団(フィンランド、ヘルシンキ)、トレジャーヒル・アーティスト・ ヴィレッジ、 アーティスト・イン・レジデンス台北(台湾、台北)

ウェブサイト:https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2023/20230701-7211.html

▮ 展覧会について

私たちの社会は、多様なシステムによって形成されています。生態系、あるいは政治、経済といったマクロの仕組みが、私たち個々の意識や言動、対人関係などのミクロな営みにどのように影響しているのか。そして、それらが、いかにしてマクロに還元されていくのか。

本展で紹介する11組のアーティストたちは、それぞれの視点から、複雑化していく社会構造と自身の関係性を探り、さまざまなシステムの存在や成り立ちを顕在化させることで、私たちに示唆を与えます。そして、大小無数の歯車が噛み合って、思わぬところにまで動きが伝わるように、彼らの作品は、一見無関係に見えるものたちで作用し合っているこの社会のシステムを浮かび上がらせます。

▮ 参加アーティスト

【第1期】

芦川瑞季|ASHIKAWA Mizuki

「祝祭の痕跡」をテーマにオリンピック以降の東京湾周辺の埋立地を訪れ、都市の利用や所有のあり方、そこに広がる新たな生態系などを探究して制作したリトグラフとドローイングを展示します。

 【プロフィール】

1994年静岡県生まれ。東京都を拠点に活動。武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程在籍。 主な展覧会に「第3回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2022」(京都市京セラ美術館)など。

タイラー・コバーン|Tyler COBURN

歴史の文脈から人の往来と疫病との関係に焦点を当て、日本人が描いた最初のヨーロッパ人の姿に注目。胡粉で描いた壁面作品や織部南蛮人燭台などを用い、インスタレーションとパフォーマンスを発表します。

【プロフィール】

1983年アメリカ生まれ。ニューヨークを拠点に活動。2012年南カリフォルニア大学 Roski School of Art and Design修了。主な展覧会に「Hello, Robot」(Vitra Design Museum、ランス、フランス、2022)など。

早崎真奈美|HAYASAKI Manami

生態系を介して国境を考察した早崎は、西洋タンポポをスイスからドイツを経由し、フランスに植えるというプロジェクトを軸に、ビデオ作品や切絵、ボードゲームなどで構成したインスタレーションを発表します。

【プロフィール】

1980年大阪府生まれ。東京都を拠点に活動。2007年チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン卒業。主な展覧会に「越後妻有 大地の芸術祭 2022」(新潟)など。

トレイシー・スネリング|Tracey SNELLING

特定の場所やそこでの人々の体験への関心からラブホテルとホストクラブをリサーチし、インタビュー映像や写真、ミニチュア立体作品を発表し、ネオン街で生きる人々の経験を再現します。

 【プロフィール】

1970年カリフォルニア生まれ。ベルリンを拠点に活動。1996年ニューメキシコ大学芸術学部アートスタジオコース卒業。主な展覧会に「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ」(Sale d’Armi、Swatch Pavilion、2019)など。

渡邊拓也|WATANABE Takuya

モロッコ系移民の青年とのやり取りを契機に、国境や文化圏をまたぐ人々が抱える複雑なアイデンティティの交差性を、各地から集まる果物に重ねて制作した一連の映像インスタレーションを発表します。

【プロフィール】

1990年生まれ。東京都を拠点に活動。2016年東京藝術大学大学院美術研究科修了。アーティスト・プラクティス2016、2017 Arts Initiative Tokyo [AIT]を修了。主な展覧会に「土蔵の疲れは夢」(デカメロン、東京、2022)など。

Zakkubalan(アルバート・トーレン&空 音央)| Zakkubalan(Albert THOLEN & SORA Neo)

地震のイメージと対峙し、1923年の関東大震災から経過した日数と同じ枚数の1円玉を用いた想像都市の彫刻や、避難所運営を模擬体験できるカードゲームで遊ぶ様子を記録した映像作品を展示します。
 【プロフィール】

アルバート・トーレン:ワシントンD.C.生まれ。ニューヨークを拠点に活動。2015年ウェズリアン大学映画学科卒業。空 音央:ニューヨーク生まれ。ニューヨーク、東京都を拠点に活動。2014年ウェズリアン大学映画学・哲学専攻 卒業。主な展覧会に「Below the lighthouse is the darkest part of the night」(デイビッド・アイルランド・ハウス、サンフランシスコ、2021)など。

【第 2 期】

新井 卓|ARAI Takashi

フィンランドの原発周辺地域や放射性廃棄物の最終処分場を研究対象とし、核廃棄物が無害化する十万年後の世界と現在を架橋する新しい言語を、写真(ダゲレオタイプ)と映像で探索します。

 【プロフィール】

1978年神奈川県生まれ。神奈川県を拠点に活動。主な展覧会に「Squaring the Circles of Confusion: Neo-Pictorialism in the 21st century」(英国王立写真協会、ブリストル、2022)など。

ベルトラン・フラネ|Bertrand FLANET

巣鴨プリズンと植物ハマユウの分布限界を示すハマオモト線に類似する制限された状況や環境に注目し、一見かけ離れた両者を抽象的に繋ぐインスタレーションを試みます。

 【プロフィール】

1986年シルティカイム(フランス)生まれ。ベルリンを拠点に活動。2017年レンヌ第二大学大学院修了、国立造形美術大学シュテーデルシューレ・フランクフルト卒業。主な展覧会に「Salon de Montrouge」(beffroi de Montrouge、パリ、2021)など。

ラービッツシスターズ(ベネディクト・ジャコブ&ロール=アンヌ・ジャコブ)|LarbitsSisters (Bénédicte Jacobs & Laure-Anne Jacobs)

東京の住宅街を彩る路上園芸を中心に、さまざまな生命を観察し、テラコッタ製植木鉢と地球最古の生態系に生息するシアノバクテリアとの共生から制作した、光合成を行う植木鉢の実験的な作品を発表します。

【プロフィール】

2010年にベネディクト・ジャコブ(ソーシャルメディア研究者)とロール゠アンヌ・ジャコブ(メディア・アーティスト)により結成。主な展覧会に「ICC アニュアル 2022 生命的なものたち」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)など。

太田 遼|OHTA Haruka

台湾で多く見られる窓の外側に設ける「鉄窓花」という鉄柵に着目した太田は、室内の延長として使われているその窓の外の空間を介したインスタレーションによって、鑑賞者に屋内と屋外の隔たりや概念を問いかけます。

【プロフィール】

1984年生まれ。埼玉県を拠点に活動。2010年武蔵野美術大学大学院修了。主な展覧会に「I always wish you good luck.」(Art Plug Yeonsu、仁川、韓国 2022年)など。

グシェゴシュ・ステファンスキ|Grzegorz STEFAŃSKI

映像をとおして対人関係における自身の行動パターンを観察、分析するステファンスキは、社会環境、および建築空間としての「家」に着目し、人間関係における権力構造について考察した三部作の第一部を発表します。

【プロフィール】

1983年チュウフフ(ポーランド)生まれ。ロンドンを拠点に活動。2018年ロンドン大学スレード美術学校メディアコース修了。主な展覧会に「sleeper」(Tick Tack、アントワープ、ベルギー 2022)など。

▮ 関連イベント ※日程及び参加アーティストは変更となる場合がございます。

【アーティスト・トーク】

日時:7月1日(土)15:00-16:30※日英逐次通訳あり

出演:タイラー・コバーン、早崎真奈美、トレイシー・スネリング

日時:7月15日(土)15:00-16:30

出演:芦川瑞季、渡邊拓也、Zakkubalan(ビデオ出演)

日時:8月19日(土)15:00-16:30※日英逐次通訳あり

出演:ベルトラン・フラネ、ラービッツシスターズ、グシェゴシュ・ステファンスキ

日時:9月2日(土)15:00-16:30

出演:新井 卓、太田 遼

【パフォーマンス】

日時:7月2日(日)、7月9日(日)、7月17日(月・祝)、7月28日(金)、8月5日(土)※時間は公演によって異なります。

出演:タイラー・コバーン(英語)/長沼 航(日本語)

詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。

タイラー・コバーンによるパフォーマンス「Candlestick Man」
トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)公式&#1...
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