国土交通省が主導する「Project PLATEAU」に参画しユースケース開発の実証を行いました

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株式会社構造計画研究所(本社:東京都中野区、代表執行役会長:服部 正太)は、国土交通省が主導する「Project PLATEAU」に参画し、先進的なユースケース開発の実施を通して社会課題の解決に取り組んでいます。この度、2022年度のユースケース開発に参画し、「都市の賑わい評価のシミュレーション」および「雪害対策支援ツール」の実証を行いました。

■  背景

「Project PLATEAU」は、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトです。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、様々な領域でユースケースを開発するとともに、誰もが自由に都市のデータを引き出せるようにすることで、オープン・イノベーションの創出を目指しています。
 近年、シミュレーションによる施策検証に対する期待が高まっていますが、特に都市に関するシミュレーションを実施する上では、必要なデータの整備に大きなコストがかかっていました。「Project PLATEAU」において3D都市モデルが整備されたことで、シミュレーション実施の障壁が大きく下がり、施策検証への活用が期待されています。
 今回のユースケース開発においては、「Project PLATEAU」による3D都市モデル上に、当社が有する多様なシミュレーション技術やゲームエンジン等を活用した3D可視化の技術を組み合わせることで、自治体やまちづくり団体の施策検証を支援し、社会インフラの整備や防災に寄与することを目指しています。

■  取り組み事例

①  都市の賑わい評価のシミュレーション(対象:東京都新宿区 西新宿エリア)

大成建設株式会社とともに、西新宿エリアにおける人流の変化を模擬するシミュレーション、およびその可視化ツールを構築しました。
 西新宿では、街の賑わいを生み出すための社会実験が検討されていますが、その実施にはコストがかかるだけでなく、多くの関係者との調整や合意形成が必要です。今回、「Project PLATEAU」で整備されたモデルをベースに西新宿エリアで活動するエリアマネジメント団体が整備した3D都市モデルを基盤とし、当社が運用するMAS(マルチエージェント・シミュレーション)プラットフォームである「artisoc Cloud」を用いて人流シミュレーションを行いました。さらに、人流シミュレーションによる施策検証結果をより分かりやすく表現するため、ゲームエンジンを活用し3D都市モデル上で人が動く様子を再現しました。
 これにより、3D都市モデル上でさまざまな施策の効果検証を行うことが可能になり、社会実験の一部を代替するツールとして、コストの削減および効果的な企画立案、合意形成の効率化が期待できます。将来的には、他のエリアにおいてもシミュレーションによる施策検証を展開する予定です。

関連ウェブサイト:https://mas.kke.co.jp/fukuzatsu/nigiwai/

3D都市モデル上で歩行者の行動を可視化した様子3D都市モデル上で歩行者の行動を可視化した様子

②   雪害対策支援ツール(対象:兵庫県朝来市)

3D都市モデルの屋根形状や属性情報を活用した風雪・融雪シミュレーションを実施し、建築物の積雪荷重に対する損壊および落雪リスクの評価・可視化ツールを開発しました。さらに、シミュレーション結果および損壊リスクの評価結果について、ゲームエンジンを活用して3D都市モデル上で再現しました。
 豪雪による災害が顕著化する近年、改めて雪害対策が社会課題として認知されています。本取り組みを通じて、積雪による建築物の損壊や地域の脆弱性を広域で評価し、3次元空間上において分かりやすく可視化したことで、大雪時にさまざまな関係者との意思疎通を円滑にするリスクコミュニケーションツールや、地域防災計画・除雪計画等の検討ツールとしての活用が期待できます。
 なお、本ユースケースは株式会社ウエスコと当社が共同で実施し、主に「風雪・融雪シミュレーションの実施」「雪下ろし優先度評価」「道路除雪に関する評価」をウエスコ、「建屋のリスク評価」「風雪・融雪シミュレーション及びリスク評価結果の3次元可視化」を当社が担当しました。

関連ウェブサイト:https://kaiseki-kke.jp/consulting/architecture/page17.html

積雪による建屋ごとの損壊リスクを家屋の色分けにより表現積雪による建屋ごとの損壊リスクを家屋の色分けにより表現

■  今後の展望

今回のユースケース開発の結果を自治体、ゼネコン、ディベロッパーなどに幅広く展開していくことで、シミュレーションや可視化技術を通じて、まちづくり・防災に係る計画策定を支援してまいります。
 また、本ユースケース開発によって得られた3D都市モデルに関する知見、および当社の建築構造に対する知見を活かし、現在、株式会社ウエスコと当社の共同提案体として、「Project PLATEAU」の2023年度ユースケース「精緻な土砂災害シミュレーション」に取り組んでいます。今後とも、当社が有する情報通信や環境解析、および災害リスク評価や構造設計に関わるシミュレーション技術など、幅広い知見を3D都市モデルと連携させることで、多様な分野での社会課題の解決に貢献することを目指します。

■  会社情報

【株式会社構造計画研究所】

構造計画研究所は、工学知を用いて社会の諸問題の解決に挑む技術コンサルティングファームです。1956年に構造設計事務所として創業して以来、「大学、研究機関と実業界をブリッジする Professional Design & Engineering Firm」として、建設・防災、情報・通信、製造分野や意思決定支援など多様な領域に事業を拡げてきました。工学知をベースにしたエンジニアリングコンサルティングおよびプロダクツサービスの提供を通じて、複雑化する社会課題の解決に日々取り組んでいます。

会社ウェブサイト:https://www.kke.co.jp

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