南極・昭和基地「夏期隊員宿舎」の建物部材を引き渡し

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○ 南極で生活を送る南極地域観測隊員の安全・安心な居住環境整備に寄与する建物を提供へ
○ 当社生産による昭和基地の建物としては、2018年に完成した「基本観測棟」に次ぎ累計37棟目
○ 地上3階建て、床面積855㎡は南極・昭和基地最大の建築物

 

「夏期隊員宿舎」3階の食堂の一部「夏期隊員宿舎」3階の食堂の一部

 ミサワホーム株式会社(代表取締役社長執行役員 作尾徹也)は、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所(以下、極地研究所 東京都立川市)より昨年9月に受注した「夏期隊員宿舎」の国内における仮組み立て工事ならびに施工検証を終え、このたび引き渡しをしました。

 当社は1968年の「第10居住棟」から、これまで累計36棟の建物を納品し、その建設のサポートをおこなってまいりました。累計37棟目となる新たな「夏期隊員宿舎」は、地上3階建の混構造(1階:鉄骨、2・3階:木造)で床面積855㎡は昭和基地で最大の建物となります。南極の夏期にあたる12月~2月の3か月間を主な活動期間とする南極地域観測隊夏期隊員約30名の宿舎として活用される計画です。建物内には、各隊員の居住スペースとしての個室のほか、食堂やラウンジ、厨房、PCコーナーなど隊員が快適に過ごすための施設が整備される予定です。
 現在、昭和基地では2021年11月30日に決定した南極地域観測第Ⅹ期6か年計画に基づき、老朽化した施設の撤去と基地主要部の再構築に向けた取り組みなどが進められています。このたび極地研に引き渡しをした「夏期隊員宿舎」は、今年11月に出港する南極観測船しらせで第1期工事部材が昭和基地へ運ばれます。3年後に竣工予定で、当面は倉庫として利用、その後は宿舎として活用の見込みです。

 最低気温マイナス45℃、最大瞬間風速60m/sの厳しい南極の気候に耐え続ける建物性能に加え、建築経験のない隊員でも安全かつ短工期で工事が出来る施工性、輸送条件のクリアなどが求められます。また同宿舎建設においても南極地域観測隊に社員を派遣し、南極・昭和基地での建物建設のサポートをおこなう計画です。ミサワホームでは、施工性に優れ断熱性や耐久性の高い構造体を提供することで、南極地域観測隊の安全・安心の確保および観測活動への貢献を進めていく考えです。

  • 「夏期隊員宿舎」建物概要

構造  1階:鉄骨造 2・3階:木造(木質接着パネル・在来軸組)
外壁  ガルバリウム鋼板
面積  855㎡(1階:135㎡ 2階:360㎡ 3階:360㎡)
工期 1期工事:2023年12月~(第65次南極地域観測隊)
   2期工事:2024年12月~(第66次南極地域観測隊)
   3期工事:2025年12月~(第67次南極地域観測隊) 
   ※( )内は各工期における主となる観測隊

国内での仮組み立て工事(2・3階 木造部)国内での仮組み立て工事(2・3階 木造部)

建物内部 居室と屋内通路建物内部 居室と屋内通路

既存の夏期隊員宿舎との位置関係既存の夏期隊員宿舎との位置関係

  • 国⽴極地研究所について

 1973 年9 ⽉の設⽴から今年で50 周年を迎える国⽴極地研究所。東京都⽴川市に本拠を構え、活動を⾏う。
南極圏と北極圏に観測基地を擁し、極域での観測を基盤に総合研究を進めています。⼤学共同利⽤機関として、全国の研究者に南極・北極における観測の基盤を提供するとともに、共同研究課題の公募や、試資料・情報の提供を実施するなど極域科学の推進に取り組んでいます。
 南極地域観測事業においては、⽇本の南極地域観測計画の企画⽴案と実施、基地施設の維持管理、観測隊の編成準備、各種訓練、観測に必要な物資の調達、搬⼊計画の作成、観測で得られた試資料の収集、保管など、南極地域観測事業の実施中核機関として事業全体の運営を担っています。

  • 南極とミサワホーム

 ミサワホームは 1968 年の「第 10 居住棟」以降、南極地域観測隊の活動や⽣活を⽀える建物を受注し、その実績は累計 36 棟、延床⾯積約 5,900 ㎡になります。建物に採⽤されている⽊質接着複合パネルは、徹底した品質管理体制の下、外装、断熱材、内装があらかじめ⽇本国内の⼯場で構造躯体に取り付けられ、南極・昭和基地での夏場の限られた建設期間で、建築経験のない隊員でも短⼯期で施⼯でき、厳しい南極の気候に耐え続ける性能が特⻑です。過酷な環境下で培われてきた技術やノウハウは災害に強く、⼈にやさしいミサワホームの住まいにも⽣かされています。

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