キリスト教、仏教、イスラームなどの「救い」の宗教の歴史をたどり、現代でも求められる宗教の“核心”を学ぶ

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キリスト教、仏教、イスラームをはじめ、世界の宗教に存在する「救い」の教え。そこに受け継がれてきた普遍的な心理には、宗教への信頼がゆらぐ現代においても希求される何かがあるはず——。『宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか』(NHK出版刊、3月25日発売)では、宗教学者・島薗進さんが「救い」の宗教の歴史をたどりながら、宗教という営みの“核心”に迫ります。

アンデルセンや宮沢賢治の物語をはじめ、文学や芸術における「救い」というテーマは、昔も今も人の心を打つものです。この「救い」の教えは、キリスト教、仏教、イスラームなど世界中の宗教において教義の中心となってきました(このような宗教を「救済宗教」という)。
現在、先進国、特に日本では、宗教に対する信頼が大きく揺らいでいます。しかし現代社会においても、従来とは形を変えながらも求められる“宗教性”というものがあるのではないか――本書では、この問いに対して、救済宗教と文明の歴史をたどることで理解と考えを深め、宗教という営みそのものの核心に迫ります。著者は、宗教学者で東京大学名誉教授の島薗進さんです。
 

  • 著者紹介

島薗進(しまぞの・すすむ
1948年、東京都生まれ。宗教学者。東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所前所長。NPO法人東京自由大学学長。主な研究領域は近代日本宗教史、宗教理論、死生学。著書に『宗教学の名著30』(ちくま新書)、『国家神道と日本人』(岩波新書)、『日本人の死生観を読む 明治武士道から「おくりびと」へ』(朝日選書)、『いのちを“つくって”もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義』『宗教を物語でほどく アンデルセンから遠藤周作へ』(ともに小社刊)など多数。
 

  • 『宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか』内容

◆「はじめに」より一部抜粋
本書では、「現代に生きる私たちは、救済宗教に距離感を感じている」という事実を通して、救済宗教について考えていきたいと思います。近代以降、宗教になじめない、宗教はもう受け入れられないという人が社会全体で増え
てきましたが(この状況を「世俗化」といいます)、現代の私たちもその流れのなかにいます。自分たちは宗教を卒業した。我々は、過去においてとても有力だった精神文化の「あと」(post-)にいる―救済宗教への距離感は、現代人のそのような意識と関わっているように思えます。
さらにいえば、現在、多くの人はそもそも自分と宗教がどのような関係にあるのか、よくわからないままでいるのではないでしょうか。それに対する手がかりが学校教育で与えられることはなく、メディアが意識的に提示する
ことも少ない。「世俗化」が進むあいだに、宗教への無関心、さらには宗教軽視の態度が養われ、そこから脱却できないでいるからでしょう。
しかしいま、新しいかたちでの「宗教の学び」が求められていると私は思います。それは、特定の宗教の教えについて知識を深める、あるいは体得していくというタイプの学びではなく、宗教とは何かについて知る、すなわち
「宗教リテラシー」を身につけるというタイプの学びです。その際、長い歴史と世界的な広がりをもつ救済宗教について考えることは、一つの有効な手がかりになると考えます。
現代の私たちの自己理解との関係で救済宗教を捉える。本書ではそのような視点に立って、救いの信仰(とその後)について考えてみたいと思います。

◆目次
はじめに
第1章 信仰を求めない「救い」 ~文芸が表現する救済宗教的なもの
第2章 「救い」に導かれた人類社会 ~歴史のなかの救済宗教
第3章 なぜ「救い」なのか ~文明史に救済宗教を位置づける
第4章 「救い」のゆくえ ~「救済宗教以後」を問う
おわりに

※本書から「はじめに」と各章の抜粋記事を、NHK出版デジタルマガジンにて一部公開します。
(3月25日以降、随時公開予定)

https://mag.nhk-book.co.jp/article/26415
 

  • 商品情報

書名:宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか
著者:島薗進
出版社:NHK出版
発売日:2023年3月25日
定価:1,870円(税込)
判型:B6変型判 並製
ページ数:216ページ
ISBN:978-4-14-081935-7
NHK出版→https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819352023.html
Amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/4140819359
楽天ブックス→https://books.rakuten.co.jp/rb/17411509/

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