心臓シミュレータ実用化・事業化に向け、開発元と契約締結、経営体制・環境を強化

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 ジャパンメディカルデバイス株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:岡野貴史、以下JMD)は、株式会社UT-Heart研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役:久田俊明、以下UTH研)との共同研究契約を「マルチスケール心臓シミュレータの研究、及び高精度心臓シミュレータによるテーラーメード医療システムの実用化研究、並びに研究成果の事業化」の研究題目において、2023年1月16日に締結しました。本契約はこれまで研究開発を続けてきた心臓シミュレータのサービス開発・提供を視野に、実用化・事業化の役割を2社間で取り決めたものです。
 これまで複数社での研究開発でしたが、実用化・事業化にあたって2社間での契約となり、期間は、2023年4月~2026年3月の3年間となります。
 あわせて、CTOが代表取締役に就任、加えて人員を強化するとともに、医療向けサービス展開のためのハイエンドコンピュータ開発環境を導入いたしました。UTHをはじめとする共同研究開発先との連携を緊密にし、研究開発・サービス事業化を加速します。

 

©HPCI戦略プログラム 分野1理化学研究所©HPCI戦略プログラム 分野1理化学研究所

■開発の経緯、および今後の開発・事業化展開の見通し

心臓シミュレータは東京大学の研究者により研究開発を進められてきました。その主たる研究者は心臓シミュレータ専門のUTH研を設立し、東京大学とともに研究開発を継続しています。 
JMDは、スーパーコンピュータの性能を限度まで引き出すプログラムチューニング能力、及び高度な数理・物理プログラミング能力をもって、2019年4月以降、UTH研の心臓シミュレータのプログラム開発、およびシミュレーションスピード向上の面で貢献しております。2022年からは、その能力と貢献が評価され、心臓シミュレータの開発メンバーに迎えられ、研究開発にも参加しております。* 

今回の契約は、今後の心臓シミュレータの実用化やサービス事業化にむけ、これまで蓄積したデータやノウハウや、今後、臨床活用シーンの拡大にともなうシミュレーションなどの結果得られるデータやノウハウをスムースに活用できるよう、今後3年にわたる双方のパートナーシップおよび分担を整理したものです。 

これまでの契約では、JMDは、UTH研主催の共同研究プロジェクトに参加するメンバー数社の一つでしたが、今後はUTH研との2社間契約となり、UTH研はシミュレーションのコア技術の研究開発に専念、JMDはその専門的能力の観点から研究開発にかかわりつつ、コア技術を活用した事業化を、専有的にとり行うという枠組みになります。 

契約の対象領域は、これまで両社が臨床研究に取り組み成果を上げてきた、CRT (心臓再同期療法)、CHD(先天性心疾患の術式決定と予後予測)の2領域となりますが、両者は今後協働の枠組みを検証し、これらの先行領域に加え、心臓疾患にかかわる他領域においても取り組みを強化してゆくことを希望しております。 
 
*心臓シミュレータ、およびその応用研究開発については、下記をご参照ください。 
研究開発テーマ https://jmd-corp.com/service/#section1

 

©HPCI戦略プログラム 分野1理化学研究所©HPCI戦略プログラム 分野1理化学研究所

■研究開発の高度化・事業化に対応し、経営体制を変更し意思決定スピードアップ、開発陣容を増強

JMDは、研究開発・事業化の加速・深化・領域拡大を見据え、今年度、経営体制を変更し対応力を強化しました。
JMDと心臓シミュレータのかかわりは、シミュレーションを実現するための、スーパーコンピュータの計算能力への挑戦から出発しましたが、研究開発をさらに進めるため、JMDのコンピュータ技術者側でも、UTH研の研究領域である分子生物学を基礎とした医学・医療を理解し、研究に積極的に参与する必要が高まっています。また、ped UT-Heart研究室や国立循環器病研究センターなど、現在進行中の心臓シミュレータ活用の臨床での実証分野において技術活用の拡大を求められており、実証分野は、今後CRT、CHD以外の心臓疾患領域にも広がっていこうとしております。
JMDは、体制変更と陣容増強でこうした活用拡大要求に対応します。

– スーパーコンピュータ技術者 千葉修一が代表取締役CTOに就任

UTH研などの研究開発機関などと連携を強化し、意思決定を迅速化する必要から、技術を担当しているCTO千葉修一が、代表取締役を務めることになりました。設立当初から代表取締役を務めているCEOの岡野貴史と合わせ、代表は2名になります。

*千葉修一のプロフィール https://jmd-corp.com/about/#chiba

– 開発人員を増強

研究開発および事業化を加速するために、ハイパフォーマンスコンピューティングの技術者1名、および、医療機器とデータサービス創造を内製化するために、事業化推進のためのシステム開発者1名が、新たにメンバーに加わりました。

4月以降の体制4月以降の体制

■サービス提供のための、コンピュータ計算環境を整備

JMDでは、心臓シミュレーションサービスを、クラウドベースで提供する予定です。スーパーコンピュータで研究開発を進めてきたシミュレーションプログラムをサービスとして提供する目的で、開発環境とは別に、ハイエンドコンピュータを導入しサービス基盤として構築いたしました。今後、このサービス基盤の上で医療関係者向けサービスを開発・展開してまいります。

*サービス提供については、こちらをご覧ください。
ビジネス概要
https://jmd-corp.com/overflow/#section1

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■ジャパンメディカルデバイス株式会社(JMD)について
 
JMDは、東京大学と富士通株式会社が10年以上の年数をかけて、理化学研究所のスーパーコンピュータ上で作り上げた心臓シミュレータ(UT-Heart)を活用した、新たな医療機器コンピュータシミュレーションサービスを研究開発し、提供する会社です。 
心臓シミュレータは、CTや超音波画像を含む臨床データをインプットデータとし、スーパーコンピュータの演算能力を活用して、分子レベルの電気的・力学的挙動を計算することで、個人の心臓の動きを忠実に細かい部分まで再現できる、世界最高峰のテクノロジーです。 
医療領域の精密なシミュレーションには、医学的知見を工学的に表現し(医工連携)、最新コンピュータを駆使し最高速で計算する(計算機科学)ための最先端スキルとノウハウが必要です。JMDは、これらを有し、さらに、演算に先駆けての医療データ処理およびシミュレーション結果の画像化(プレ・ポスト処理)を含めた、ワンストップのクラウドサービスを構築し提供するすべく、国内最高峰の研究機関・実証機関と連携し開発を進めております。
心臓シミュレータ技術とAIそのほかの技術を兼ね合わせ、心臓疾患の検証や予知、そのほかの医療や健診サービスなどへのサービス提供を通し、医療の質の向上を目指します。 

■株式会社UT-Heart研究所(UTH研)について
 
UTH研は、東京大学新領域創成科学研究科において集中的に開発されてきた心臓シミュレータUT-Heartの研究成果を活用するため、東京大学発ベンチャーとして平成25年10月に設立されました。医療情報に基づき個人の心臓をコンピュータ上に再現することで病気のメカニズムに遡った合理的な診断を行い、更にそれに仮想的な治療を施すことにより、最適な治療オプションを選択することが可能とするテーラーメード医療の実現や、創薬・各種医療機器におけるシミュレーションで治療・医療分野の開発に寄与しています。 

■契約内容 

-研究題目
マルチスケール心臓シミュレータの研究、及び高精度心臓シミュレータによるテーラーメード医療システムの実用化研究、並びに研究成果の事業化 
-研究目的
高速かつ高性能な心臓シミュレータを開発し医療の発展に寄与すること 
-研究内容
心臓シミュレータを活用した以下2つの事業における技術を開発し、臨床研究/治験を行い、薬事申請を行う  
1.心臓再同期療法(以下、CRT)シミュレーション事業  
2.先天性心疾患手術(以下、CHD)シミュレーション事業 
-研究分担
UTH研 有限要素法による心臓シミュレータの研究・開発 
JMD 臨床研究・治験の実オペレーション、薬事申請対応とその準備、事業化に必要なシステムの開発 
-研究スケジュール 
令和5年度 CRTシミュレーションの性能評価試験および治験の実施、CHDシミュレーションの性能評価試験および治験準備  
令和6年度 CRTシミュレーションの治験の実施および薬事申請、CHDシミュレーションの治験の実施  
令和7年度 CRTシミュレーションの薬事承認、保険償還およびサービス展開、CHDシミュレーションの治験の実施および薬事申請の準備 
-研究期間 令和5年4月1日から令和8年3月31日まで 

■プロフィール 

社名 ジャパンメディカルデバイス株式会社(Japan Medical Device Corporation) 
設立 2020年(令和2年)11月16日 
所在地 〒210-0024 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 川崎日進町ビルディング 
代表者 岡野 貴史(代表取締役社長兼CEO) 
事業内容 心臓シミュレータ(UT-Heart)を活用した新たな医療機器コンピュータシミュレーションサービスの研究開発 
ホームページ https://jmd-corp.com/

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