【Hondaで実証実験】「SPACECOOL」使用で53%省エネ効果を確認!

この記事は約6分で読めます。
SPACECOOL株式会社(社長:宝珠山 卓志、以下、SPACECOOL社)は、ゼロエネルギーで冷却できる放射冷却素材 「SPACECOOL®」(以下、「本素材」)を活用し、本田技研工業株式会社(社長:三部 敏宏、以下、「Honda」)との共同開発プロジェクトにて、自動車量産工場であり、環境リーディング工場の位置づけである寄居工場の実環境下で温度低減及び省エネ効果を確認できたことをお知らせします。

今回の結果を踏まえ、2023年にはHondaグループの国内外の各工場へ本素材の使用を広く提案する予定であり、世界の自動車業界全体で取り組むCO2排出削減、地球温暖化問題などの社会課題解決への貢献につながると期待しています。そして、SPACECOOL社は、更なる商品開発、及び用途開発を加速していくことで、様々な暑熱環境の課題解決のため進化をして参ります。

1. 寄居工場における実証試験の位置づけ
寄居工場は、Hondaのグローバル展開を見据え、四輪領域の環境リーディング工場として、2030年までに間接排出を含めたCO2総量の46%の削減を目標に、地球環境保全のため積極的かつ本質的な環境への取り組みを加速し、技術の熟成と信頼性の構築を目指しています。寄居工場におけるCO2削減を実現する取り組みの方向性は、①徹底的な製造エネルギー/廃棄物の削減、②クリーンエネルギーの活用、③先端環境技術の積極導入の三本柱であり、③の先端環境技術の取り組みの一つとして、この度、本素材を活用した実証実験が行われました。

図1.寄居工場全景図1.寄居工場全景

2. 寄居工場における実証実験結果とポテンシャル
①実環境下での省エネ効果を確認
本素材を施工したコンテナと、遮熱塗料を施したコンテナ、一般コンテナの3種の夏場の空調の消費電力を計測しました。その結果、遮熱塗料を施したコンテナに対しては33%、一般コンテナに対しては53%の消費電力の削減効果を確認しました。本素材によりコンテナ表面の温度上昇を抑え、熱が室内に侵入出来なくなる事により、空調の消費電力を削減できることを確認しました。この効果を踏まえ、大規模な自動車工場へ本素材を実装した場合、従来技術(遮熱塗料)と比較して最大2%のCO2削減が可能となるポテンシャルがある事が試算されています。

 

図2:実証環境による省エネ効果の検証                                    *参照:HONDA提供資料より抜粋、一部加工図2:実証環境による省エネ効果の検証                                    *参照:HONDA提供資料より抜粋、一部加工

②寄居工場 実証実験の概要
寄居工場の建屋間通路の外壁及び屋根へ本素材を施工し(図3)、施工エリアと非施行エリアにて外壁温度を計測しました。その結果、空調が稼働していない状態で1日の最高気温の時間帯にて外壁温度を約15℃低下させる事を実現しました(図4)。

図4:天井内部の温度計測                                     *参照:Honda提供資料より抜粋、一部加工図4:天井内部の温度計測                                     *参照:Honda提供資料より抜粋、一部加工

図3:施工建物外観(総施工面積 500m2)                                  *参照:Honda提供資料より抜粋、一部加工図3:施工建物外観(総施工面積 500m2)                                  *参照:Honda提供資料より抜粋、一部加工

 

 

 

SPACECOOL社はHondaと、多種多様な環境での継続的活用を企図し共同開発を進めてきましたが、複数の基材への適合性も確認し、工場レベルでの実証実験・実装性の検証を完了しました。今後は、Hondaグループ国内外の各工場へ本素材の導入を進め、世界の自動車業界全体で取り組むCO2排出削減、地球温暖化問題などの社会課題解決に貢献していきます。

3. 放射冷却素材「SPACECOOL®」について
本素材は、直射日光下において、太陽光と大気からの熱をブロックし熱吸収を抑えるだけではなく、放射冷却技術の原理により、宇宙に熱を逃がすことで、エネルギーを用いずに外気温よりも温度低下する放射冷却*¹素材です(図5)。

本素材を開発した大阪ガスによる2020年夏の実証実験においては、直射日光が当たった状態で、本素材の表面温度が外気温より最大約6℃*²低くなったことを確認しており、世界最高レベル*³の放射冷却性能を実現しています。

図5.本素材の概念図図5.本素材の概念図

*1:大阪ガス独自の放射冷却技術を用い、太陽光の入熱を抑え、熱放射による出熱(熱せられた物体の熱が電磁波・光として運ばれる現象)を大きくした材料設計により実現
*2:大阪市此花区の大阪ガスエネルギー技術研究所にて計測(計測時の周囲気温は約35℃)。
放射冷却素材を施工した鋼板の裏面温度を測定。
*3:公開されている論文を用いた当社および大阪ガス調べによる。

図7.膜材料(白、銀)図7.膜材料(白、銀)

図6.フィルム(白、銀)図6.フィルム(白、銀)

 

 

▼会社概要
SPACECOOL 概要

会社名  SPACECOOL株式会社(英語名 SPACECOOL Inc.)
設立 2021年4月1日
本社所在地 東京都港区虎ノ門1-17-1虎ノ門ヒルズビジネスタワー4F ARCH内
代表者 宝珠山卓志
事業内容 放射冷却素材「SPACECOOL」の製造・販売
省エネルギー関連の製品、環境改善のための製品の販売・コンサル
株主構成 大阪ガス株式会社 49%、WiL Ventures III, L.P. 29%、WiL Fund II, L.P. 22%
ホームページ https://www.spacecool.jp/
お問い合わせフォーム https://www.spacecool.jp/contact2/

 

Honda 概要

会社名  本田技研工業株式会社
設立 1948年9月
本社所在地 東京都港区南青山2-1-1
代表者 取締役 代表執行役社長 三部敏宏
主要製品 二輪車、四輪車、パワープロダクツ
ホームページ https://www.honda.co.jp/

 

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました