【上場企業のESGに関する意識調査】8割以上がESGに関する情報開示を予定。博士人材の採用にあたり「優秀な人材を見極める困難さ」「高度人材が持つ専門性を活かすポジションが組織内にない」が課題

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技術者・研究者のキャリア支援に特化した事業を15年にわたって続けている株式会社アカリク(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:山田諒、以下 アカリク)は、上場企業の経営者・人事ご担当者・IRご担当者102名を対象に、「ESG(Environment / Social / Governance)および人材戦略に関する意識調査」を実施いたしましたので、お知らせいたします。
技術者・研究者のキャリア支援に特化した事業を15年にわたって続けている株式会社アカリク(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:山田諒、以下 アカリク)は、上場企業の経営者・人事ご担当者・IRご担当者102名を対象に、「ESG(Environment / Social / Governance)および人材戦略に関する意識調査」を実施いたしましたので、お知らせいたします。

  • 【サマリー】
  • 1.ESGの内容を知っている方の8割以上が投資家に向けたESGに関する情報開示を実施予定
  • 2.「人材版伊藤レポート2.0」の5つの共通要素のうち「動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用」を重要視
  • 3.人材の多様性を高めるためには「優秀な人材を見極める困難さ」「高度人材が持つ専門性を活かすポジションが組織内にない」などが課題

 

  • 【調査概要】 

調査期間:2022年12月5日~2022年12月12日
調査方法:インターネット調査
調査目的:上場企業のESGおよび人材戦略関する意識の実態把握
調査対象:上場企業の経営者・人事担当者・IR担当者
有効回答数:102名
 

  • 回答者の8割以上がESGの内容を知っており、半数以上はESGについて説明できる

「Q1 あなたは、ESGについてご存じですか。」と質問したところ、「内容を詳しく説明できる」が51.0%、「内容をある程度知っている」が36.3%という回答でした。回答者の8割以上が、ESGについて理解してるようです。
 

「Q1 あなたは、ESGについてご存じですか。」
・内容を詳しく説明できる:51.0%    
・内容をある程度知っている:36.3%
・聞いたことはあるが、内容は知らない:9.8%
・全く知らない:2.0%
・わからない/答えられない:1.0%
 

  • ESGに関して、最も力を入れていきたいのは「環境」

Q1で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方に対して、「ESGに関して、最も力を入れていきたいと考えるのは以下のどの項目ですか?」と質問したところ、最も多かったのは「環境(Environment)」で48.3%、次いで「社会(Social)」の29.2%、「企業統治(Governance)」が21.3%となりました。ESGの内容を理解している回答者の約半数が「環境」について最も力を入れたいと考えているようです。

 

「Q2 Q1で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方にお聞きします。ESGに関して、最も力を入れていきたいと考えるのは以下のどの項目ですか?」

・環境(Environment):48.3%
・社会(Social):29.2%
・企業統治(Governance):21.3%
・特にない:1.1%
 

  • 8割以上が、投資家に向けた「ESGに関する情報開示」を実施予定、約1割は既に実施

Q1で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方に対して「あなたのお勤め先の会社では、今後投資家に向けた『ESGに関する情報開示』を行う予定ですか?」と質問したところ、「はい」と回答した方が83.1%、次いで「既に行っている」が10.1%でした。ESGの内容を理解している回答者の8割以上が、投資家に向けたESGに関する情報開示を予定しており、約1割は既に情報開示を実施しているようです。

 

 

 

「Q3 Q1で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方にお聞きします。あなたのお勤め先の会社では、今後投資家に向けた「ESGに関する情報開示」を行う予定ですか?」

・はい:83.1%
・いいえ:3.4%
・既に行っている:10.1%    
・わからない/答えられない:3.4%
 

  • 7割以上が「人材版伊藤レポート2.0」の内容を把握

「Q4 あなたは、2022年5月に経済産業省が公開した『人材版伊藤レポート2.0』について、ご存知ですか。」と質問したところ、「内容を詳しく説明できる」と回答した方は51.0%、「内容をある程度知っている」が26.5%で、7割以上が「人材版伊藤レポート2.0」の内容を把握しているようです。一方で、「全く知らない」と回答した方は8.8%であり1割未満に留まりました。

「Q4 あなたは、2022年5月に経済産業省が公開した「人材版伊藤レポート2.0」について、ご存知ですか。」

・内容を詳しく説明できる:51.0%    
・内容をある程度知っている:26.5%
・聞いたことはあるが、内容は知らない:13.7%
・全く知らない:8.8%
 

  • 「動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用」が最も重要視されている

Q4で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方に対して、「本レポートにおいて挙げられている5つの共通要素のうち、どの項目を最も重要視しますか。」と質問したところ、最も多かったのは「動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用」で38.0%、次いで、「知・経験のダイバーシティ&インクルージョンのための取り組み」で25.3%、「リスキル・学び直しのための取り組み」が19.0%、「社員エンゲージメントを高めるための取り組み」が16.5%でした。「人材版伊藤レポート2.0」の内容を理解している回答者は、経営戦略の実現に向けて、人材を確保し中長期的に維持するために必要な「動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用」を最重要視しているようです。

「Q4で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方にお聞きします。本レポートにおいて挙げられている5つの共通要素のうち、どの項目を最も重要視しますか。」

・動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用:38.0%
・知・経験のダイバーシティ&インクルージョンのための取り組み:25.3%
・リスキル・学び直しのための取り組み:19.0%
・社員エンゲージメントを高めるための取り組み:16.5%
・時間や場所にとらわれない働き方を進めるための取り組み:1.3%
 

  • 社内には「8~6%」の博士人材を在籍させたいとの意向、博士人材の採用予定なしは1%程度

Q4で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方に対して,「『人材版伊藤レポート2.0』において、共通要素の一つである『動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用』の下位項目には『博士人材等の専門人材の積極的な採用』が含まれていますが、中長期的な人材ポートフォリオを策定した際に、博士人材をどの程度含めたいと考えますか。」と質問したところ、最も多かったのは「8~6%未満」で41.8%、次いで、「6~4%未満」で19.0%、「10~8%未満」が17.7%、「10%以上」「4~3%」はともに8.9%でした。一方で、「博士人材を採用する予定はない」と回答した方は1.3%に留まりました。

「Q6 Q4で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方にお聞きします。「人材版伊藤レポート2.0」において、共通要素の一つである「動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用」の下位項目には「博士人材等の専門人材の積極的な採用」が含まれていますが、中長期的な人材ポートフォリオを策定した際に、博士人材をどの程度含めたいと考えますか。」

・10%以上:8.9%
・10~8%未満:17.7%
・8~6%未満:41.8%
・6~4%未満:19.0%
・4~3%未満:8.9%
・3~1%未満:1.3%
・博士人材を採用する予定はない:1.3%
・わからない/答えられない:1.3%
 

  • 人材の多様性を高めるには「優秀な人材の判定が難しい」「高度人材が持つ専門性を必要とする業務を取り扱っていない」などが課題

Q4で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方に対して,「人材ポートフォリオに含まれる人材の多様性を高めるためには、新卒一括採用以外の採用方法の導入や、外国人留学生・博士人材の入社が必要不可欠となりますが、これらを実現する上での課題があれば、教えてください。(複数回答)」と質問したところ、最も多かったのは「優秀な人材の判定が難しい」で39件、次いで、「高度人材が持つ専門性を必要とする業務を取り扱っていない」が33件でした。人材の多様性向上にあたって、「優秀な人材を見極める困難さ」や、「高度人材が持つ専門性を活かすポジションが組織内にない」ことなどが妨げになっているようです。

「Q7 Q4で「内容を詳しく説明できる」「内容をある程度知っている」と回答した方にお聞きします。人材ポートフォリオに含まれる人材の多様性を高めるためには、新卒一括採用以外の採用方法の導入や、外国人留学生・博士人材の入社が必要不可欠となりますが、これらを実現する上での課題があれば、教えてください。(複数回答)」

・優秀な人材の判定が難しい:39
・高度人材が持つ専門性を必要とする業務を取り扱っていない:33    
・過去に採用実績がなく、採用後の対応が分からない:26
・多様な人材を受け入れる体制が整っていない:25
・自社が求める人材を採用できるような方法が分からない:24
・採用後の教育コスト面で不安がある:22
・在留資格の手続きが大変:15
・海外人材の日本語能力の不足に対する懸念がある:13
・人材の多様化に必要な投資をする余裕がない:12
・わからない/答えられない:1
 

  • 【まとめ】

今回は、上場企業の経営者・人事ご担当者・IRご担当者102名を対象に、ESGおよび人材戦略に関する意識調査を実施いたしました。回答者の8割以上はESGの内容を知っており、その中の約半数が「環境」について最も力を入れたいと考えているようです。また、ESGの内容を理解している回答者の8割以上が、投資家に向けたESGに関する情報開示を予定しており、約1割は既に情報開示を実施しています。
経済産業省が公開した「人材版伊藤レポート2.0」について、回答者の7割以上が内容を把握しています。本レポートで挙げられている5つの共通要素のうち、「動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用」が最も重要視されており、人材を確保し中長期的に維持するために必要性が高いことが伺えます。
また、人材の多様性を高めるために必要な、新卒一括採用以外の採用方法の導入や、外国人留学生・博士人材の採用に取り組む際の課題では、「優秀な人材の判定が難しい」「高度人材が持つ専門性を必要とする業務を取り扱っていない」などの回答が上位に挙げらました。人材の多様性向上にあたって、「優秀な人材を見極める困難さ」や、「高度人材が持つ専門性を活かすポジションが組織内にない」ことなどが妨げになっているようです。
 

  • 【調査者コメント】

本調査は、ESGに取り組む上場企業関係者に対して、人材の多様性向上という観点から博士人材採用に関する検討状況を調査する目的で実施しました。その結果、4割程度の回答者が、自社従業員の「6-8%」を博士人材とすることを検討していることがわかりました。2021年3月期決算の上場1,898社の従業員数(正社員)は280万8,097人(※1)であり、この6%を博士人材にする場合、約16.8万人の博士人材が必要となります。しかしながら、博士号取得者は毎年1.5万人程度しか輩出されず、内4割程度は社会人博士(※2)のため、新規採用対象となる新卒博士人材は9千人程度となります。各上場企業が理想の人材ポートフォリオを実現しようとした場合、博士人材の採用難易度が著しく上がる可能性が見込まれます。
また、理想の人材ポートフォリオの実現にあたり、障壁となっているのは「優秀な人材の判定が難しい・高度人材が持つ専門性を必要とする業務を取り扱っていない」など、企業側において高度人材の適切な評価が難しい環境であることや、業務上専門性を必要としないという点が挙げられました。ESGとあわせて達成すべき「高生産性」の実現には、高付加価値を創造する高度専門人材の活用が必要不可欠となります。そのためには、人事担当者が高度人材を適切に評価し採用するだけではなく、「企業価値を向上する」という目的のもと、高度専門人材が価値を発揮するための業務を自社内に創出する経営層の創意工夫・リーダーシップが求められているといえます。
(参考資料)
※1 https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210726_01.html
※2 https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2020/RM295_32.html
 

  • 【アカリクについて】

アカリクは「知恵の流通の最適化」というコーポレートミッションのもと、大学院生や研究者の方々のキャリア支援を行っています。高度研究機関である大学院・その他研究機関において日々産み出される「知恵」を広く社会・産業界につなぐことで価値を創出し、「知恵の流通」の最適化に貢献していくことを目指しています。大学院生のキャリア選択肢を増やすことで、大学院進学者が増え、結果として日本の研究レベルが上がると考えられます。そして、優秀な研究者がさまざまな場所で活躍することで、世の中の研究開発活動が活発化し、たくさんのイノベーションが生まれ続ける、そんな世界を実現するためのインフラとなることを目指します。

会社名:株式会社アカリク(https://acaric.co.jp/
創業 :2006年11月
代表者:代表取締役社長 山田諒
所在地:東京都渋谷区渋谷2-1-5 青山第一田中ビル2階
資本金:1億1500万円
事業 :大学院生・ポスドク向け就活情報サイト「アカリク」の運営、研究分野・業種・職種別イベントの企画開催、大学等でのキャリアセミナーの実施、新卒大学院生・若手研究者・大学院出身者の人材紹介、オンラインLaTeXエディター「Cloud LaTeX」の運営など。
 

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