自動車のサーキュラーエコノミー

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2022年11月、東京発―ローランド・ベルガーは、最新スタディ「自動車サーキュラーエコノミー~欧州Catena-Xは何をもたらすか~」を発表いたしました。ローランド・ベルガーでは、モビリティに関する多くのプロジェクトを手掛けています。社会がサーキュラーエコノミー実現に向けて動き出す中、自動車産業も流れに乗った動きが求められています。
本スタディではドイツを中心に立ち上がったCatena-Xに注目し、世の中にどのようなインパクトをもたらすのか考察を行っています。
日本の主要産業の1つである自動車産業が、サーキュラーエコノミー推進に向けて存在感を示していくことの一助となれば幸いです。
要旨
サーキュラーエコノミー(CE)の実現を目指し、企業間連携を伴うイニシアティブが欧州を中心に始まっている。自動車業界においては、データ共有を通じてサプライチェーン(SC)効率化や強靭化、CO2排出量削減、事業機会創出などを目指すCatena-Xは注目に値します。
Catena-Xは、ドイツの自動車メーカー・サプライヤーや上流の素材メーカー、研究所、政府機関を中心に設立され、昨今はスタートアップや非ドイツ系企業の参画も増えています。現在、Catena-Xの基本的なルールを定める議論を続けており、今後中小企業を含めた多様な企業の参画を促すための下地作りを行っているフェーズにあります。

Catena-Xが実現されることにより8つの幅広いユースケース創出が想定される。

  1.  CO2 / ESG Monitoring:CO2排出量のデータが、グローバルで同じデータ形式で正しく共有・可視化される。結果、CO2排出量は見える化・削減
  2. Circular Economy:部品「個体」毎に、製造過程・材料、使用履歴等は可視化、価値・性能評価は高精度化。正確な中古査定・リサイクル材料回収が実現
  3. Demand / Capacity Mgt.:需要量等の情報を予測し、SC全体に繋げることでTier-Xの素材メーカーや物流まで、SCを遡って情報を共有。需給バランスを最適化
  4. Online Control / Simulation:各工程・サプライヤーの稼働・生産実績を見える化・リアルタイム管理。SC全体のネック特定、機械配置シミュレーション等が可能
  5. Manufacturing as a Service:生産キャパやケイパビリティがデータで繋がり、空き稼働は見える化。柔軟な生産場所の選定や生産キャパの最大稼働が実現
  6. Modular Production:生産工程のデータ共有を通じ、モジュール生産が進行。あらゆる工場・ラインの工程が統一され、納品リードタイムや管理コストが削減
  7. Live Quality Loops:走行中の車両・部品もデータで繋がるため、リアルタイムで品質管理も可能。迅速な修理・交換や予知保全、部品のLTV最大化に繋がる
  8. Behavior Digital Twin:車両周りのあらゆるデータがDigital Twin化され、車道を取り巻く都市の安全性や、モビリティ・物流・人流関連サービスの利便性が向上

Catena-Xはこれらを実現する「データを共有する器」であり、その器をどのように自社ビジネスに活かすかは、企業が能動的に考える必要があります。つまり、重要なのは「Catena-Xの成否」ではなく、サーキュラーエコノミー実現に向かう社会のなかで、各社が何を行うかだと考えます。

※報告書(スタディ)は、下記よりご覧ください
https://rolandberger.tokyo/rolandberger-asset/uploads/2022/11/Roland_Berger_Mobility_Study_20221102.pdf

■ローランド・ベルガーについて
ローランド・ベルガー(Roland Berger)は、1967年に設立された、ドイツの伝統とヨーロッパを起源とする唯一のグローバルコンサルティング会社です。世界35カ国に2,700名の従業員を擁し、主要各国でコンサルティングサービスを提供しています。世界51カ所あるオフィスは、世界の主要なビジネスハブに位置しています。また、約300人のパートナーによる独立したパートナーシップ制により経営・運営されています。
https://rolandberger.tokyo/

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