現在、様々なナノ炭素材料が提案され、ユニークな特性を活かした様々な用途での応用が期待されています。ナノ炭素材料の中でも、黒鉛を一枚一枚のシートに剥がして作製されるグラフェンは、重量当たりの表面積が大きく、様々な用途への展開が期待されています。当社では、グラフェンとグラフェンの間にカーボンナノチューブを挟み込んだグラフェン複合材料の量産技術の開発に取り組んでまいりました。この度、東京化成工業株式会社から試薬としての一般販売を開始します(試薬製品番号G0620)。
複合材料の特徴
グラフェンは、鉛筆の芯にも用いられる黒鉛を一枚一枚のシートに剥がすことで作ることができる材料で、重量当たりの表面積が最も大きい材料です。表面積の大きなグラフェンは様々な用途において注目されていますが、せっかく剥がしたシート同士が再度積層してしまうことで、表面積が低下することが課題の一つとなっています。当社は、グラフェンとグラフェンの間にカーボンナノチューブをスペーサーとして挟むことで、長期間にわたって安定な複合材料を開発してきました。
この複合材料はユニークな構造を有しているだけでなく、活性炭と比べて結晶性が高く、優れた導電性を示し、電極として用いた時に高電圧下でも良好な安定性を示します。また、異方性の高い構造に由来して熱物性も異方的で、物質移動と表面への吸着など用途に応じて最適な層間距離を制御できる可能性も有しています。
販売の背景と今後の展開
今回一般販売を開始するグラフェン複合材料は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業「グラフェンスーパーキャパシタの工業生産技術開発(2019年度)」の成果に基づくものです。現在わたしたちは、当該事業を発展させ、量産化開発に取り組んでいます。複合材料の量産提供の前段階として、今回、試薬として販売するものです。
製品の詳細や、より多量でのご提供の可能性につきましては下記の問い合わせ先まで連絡いただけましたら幸いです。
<本件に関する問い合わせ先>
株式会社マテリアルイノベーションつくば
http://www.mitsukuba.com/
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