過去数年のパンデミックや人種差別の抗議運動などによって、企業は、よりDEIに注目するようになっています。調査対象のほぼすべての経営幹部(95%)は、パンデミックに対応して、自社のデジタルテクノロジーの展開を加速させたと回答しています。同様に、パンデミックによって企業はリモートワークを導入せざるを得なくなり、これは、企業のDEI目標達成にプラスの影響を与えました。リモートワークは、責任が増えることで、特に女性にとって燃え尽き症候群の可能性を高める側面もありますが、企業が、ハイブリッドワークの環境を整えれば、ポジティブな要素を構築できる機会を拡大します。
調査結果では、こうしたテクノロジーや新しいワークモデルがもたらすメリットがあるにもかかわらず、多くの企業がDEIの推進に苦心している現状が見て取れますが、先行する企業からの学びも示唆されています。特に、インクルージョン・フロントランナーは、すべての活動、意志決定、目標にDEIを完全に組み込むために核となる複雑な企業文化の本質を突き詰めるために、データとインサイトを駆使している点が注目されます。
- 企業文化の進化:インクルージョン・フロントランナーの半数は、データドリブンなインサイトを活用して企業文化を理解し、それを進化させる機会を見出しているのに対し、他の回答者では28%にとどまっています。この企業文化のためのインサイトがなければ、DEIへの取り組みが組織内に深い変化をもたらすことは困難であると推察されます。
- 人的ネットワークの育成:インクルージョン・フロントランナーは、人的なネットワークの構成が、組織の多様性や包括性を示す重要な指標であることを理解しています。フロントランナーは、従業員のプロフェッショナルネットワーク(従業員が定期的またはまれに連絡を取り合う人々)の強さを評価することに大きな関心を持っており、51%のリーダーがこれらのインサイトを分析していますが、他の回答者では35%でした。
さらに、調査レポートでは、DEIの重要な課題に対して透明性とインサイトを提供できるテクノロジーの能力が強調されています。同時に、企業がデータとアナリティクスを活用できていない現状に警鐘を鳴らし、いかに多くの企業が、以下のような実行可能な段階で停滞しているかも明らかにしています。
- 採用とリテンション:過小評価されているコミュニティ出身者のキャリアライフサイクルに着目した場合、これらのグループからの採用とリテンションの能力を向上させるために、組織がデータやインサイトを活用していると回答した経営幹部は全体の40%に過ぎず、昇進や研修のために利用しているという回答はわずか25%でした。
- バイアスの軽減:テクノロジーとデータは、意思決定におけるバイアスを軽減する強力なツールですが、自社でこのようにテクノロジーを活用していると回答したのは全体の40%に過ぎませんでした。
これらの結果は、より多くの企業がデータドリブンなインサイトを活用して組織のあらゆるレベルにDEIを組み込むために、表面的なデータにとどまらず、サービスが行き届いていないコミュニティ出身の従業員数レポートなど、本質的な状況を把握することが有益であることを示しています。
例えば、人々の交流などの従業員の行動や、昇進や離職率などの組織の指標を測定することで、企業はDEIの達成状況をより深く、より現実的に把握し、重要な変化をもたらすためにどこで行動を起こすべきかを把握することができます。また、単に新入社員を追跡するだけでなく、誰がプロジェクトに参加しているか、誰が意思決定を行っているか、どのグループが会議に参加しているかなどのインサイトも有効です。
また、膨大な量の電子メール、インスタントメッセージ、会議の招待状などから関連データを分析することで、記述内容が実際に起こっている箇所が組織の各レベルごとに示されます。さらに、従業員のキャリア形成過程をたどり、経験や企業のリーダーへのアクセス、ネットワーク構築の機会の違いを比較することができれば、企業文化を現実的に把握し、真にDEIを取り込んだビジネスの構築に向けて前進するための意思決定を行うことができます。
ジェンパクトのチーフ・リーガル・オフィサー兼DEIグローバルリーダー、ヘザー・ホワイトは、「人の成長を促す学習、メンターシップ、ネットワーク、トレーニングへのアクセスは平等に分配されるべきですが、実際には違う場合が多々あります。一部のグループでは、他よりも障壁が高いと感じています。このような現状を打開するために、マインドセットの変化にアナリティクスやデジタルソリューションを組み合わせることで、より大きな公平性を引き出すことができます」と述べています。
本レポートは、FORTUNE Brand Studioと共同で実施され、3部構成のシリーズ「Tech for Progress 360」の最終版となり、企業の持続的成長のために、テクノロジーがどのように活用され、利益を超えたインパクトを生み出せるかを分析しています。調査では、「従業員体験の向上」「環境の持続可能性」「DEI – 多様性、公平性、包括性」の3つの目標における企業の取り組みを検証しています。
詳しくは、https://www.genpact.com/tech-for-progress/diversity-equity-and-inclusion (英語)をご覧ください。
調査について
ジェンパクトとFORTUNE Brand Studioは、2021年秋に米国、英国、ドイツ、日本、オーストラリア、カナダの経営幹部500名を対象にオンライン調査を実施し、「従業員体験の向上」「多様性、公平性、包括性を通じたコミュニティ強化」「環境保護」という3つの明確な目的に対するビジネスの進展と、企業が利益を超えてどのようにテクノロジーを活用しているかを調査しました 回答者の約30%がCレベルの役職、残りが部門長レベルとなっています。回答者は、金融、IT/テクノロジー、サプライチェーン/調達、オペレーション/生産、コンプライアンス/リスク、経営全般、デジタルイノベーション、ビジネストランスフォーメーション、営業、マーケティング、人事の各部門のリーダーで、所属企業は、すべて年間売上高が10億米ドル以上を対象としています。
ジェンパクトについて
ジェンパクト(NYSE:G)は、ビジネストランスフォーメーションの実現を支援するグローバル・プロフェッショナル・サービス企業です。私たちは、「人々にとってより良い世界のあくなき追求という」パーパスに導かれ、デジタル主導のイノベーションとデジタルを活用したインテリジェント・オペレーションをお客様に提供しています。フォーチュン500をはじめとするグローバル企業の数千単位のプロセスを改革、実行してきた経験に基づき、大規模で実質的なトランスフォーメーションを推進します。私たちは、デザイン思考で考え、デジタルでビジョンを描き、データとアナリティクスで問題を解決します。グローバルで100,000人を超える従業員が、エンド・ツー・エンドのオペレーションとAIプラットフォーム「Genpact Cora」を駆使し、日々お客様のオペレーションの追求に励んでいます。ニューヨークからニューデリーまで、その間の30か国以上で事業を展開するジェンパクトは、エンド・ツー・エンドで拠点をつなぎ、すべてのプロセスを再考し、企業の働き方を変革します。ジェンパクトは、スタートからゴールまで各ステップを再構築することが、より良いビジネス成果を生み出すことを理解しています。対象が何であれ、私たちはお客様と一緒にデジタル・トランスフォーメーションを加速させ、飛躍的かつ持続的な成果を創出します。詳しくは、https://jp.genpact.com/、LinkedIn、Twitter、YouTube、Facebook等をご覧ください。