パキスタン洪水:子ども500人以上死亡、回避できたはずの悲劇【プレスリリース】

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バロチスタン州で洪水の被害を受けた村のユニセフが支援する医療キャンプで、上腕計測メジャーを使い栄養状態を診てもらう1歳のヘラちゃん。(パキスタン、2022年9月7日撮影) © UNICEF_UN0701841_Zaidiバロチスタン州で洪水の被害を受けた村のユニセフが支援する医療キャンプで、上腕計測メジャーを使い栄養状態を診てもらう1歳のヘラちゃん。(パキスタン、2022年9月7日撮影) © UNICEF_UN0701841_Zaidi

【2022年9月15日 イスラマバード 発】

パキスタンの大洪水で被害を受けた地域を訪問したユニセフ・パキスタン事務所代表のアブドゥラ・ファディルは、その状況について以下の声明を発表しました。

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パキスタン政府の最新発表によると、同国を襲った壊滅的な大洪水は、少なくとも528人の子どもたちの命を奪いました。回避できたはずの悲劇です。支援を大幅に増やさなければ、さらに多くの子どもたちが命を落とすことになります。

栄養不良の子どもたち、下痢やマラリア、デング熱と闘っている子どもたち、皮膚に痛みを抱えている子どもたちを目の当たりにしました。また、多くの母親が貧血や栄養不良に陥り、低体重の乳児を抱えています。母親は疲れきっているか病気にかかっていて、母乳を与えることができないのです。何百万もの家族が家を追われ、一部の地域では気温が40度を超える中、灼熱の太陽から身を守るためにボロボロになった布だけをまとって生活しています。 

低地は見渡す限り淀んだ水で覆われているため、多くの家族が高台に避難することを余儀なくされ、道路沿いでは、子どもたちが危険にさらされています。ヘビやサソリ、蚊などの脅威が常につきまとう状況です。
 

シンド州の洪水の被害を受けた村で、ユニセフが設置した給水タンクから安全な飲み水を手に入れた10歳のピヤーさん。(パキスタン、2022年9月11日撮影) © UNICEF_UN0702962_Zaidiシンド州の洪水の被害を受けた村で、ユニセフが設置した給水タンクから安全な飲み水を手に入れた10歳のピヤーさん。(パキスタン、2022年9月11日撮影) © UNICEF_UN0702962_Zaidi

この超巨大洪水によって、推定で1,600万人の子どもたちが影響を受け、少なくとも340万人の子どもたちが、命を守るための緊急支援を必要としています。幼い子どもたちは、飲み水も食べ物もなく、生計も立てるあてもない家族と一緒に屋外で生活しており、建物の損傷や洪水による溺死、ヘビによる被害など、洪水に関連するさまざまな新しいリスクや危険性にさらされています。何千もの学校、給水設備、保健施設など、子どもたちを支える重要な社会インフラも破壊され、被害を受けました。 

ユニセフは被災した子どもや家族を支援し、水に起因する病気や栄養不良、保護のリスクといった継続的な危険から子どもたちを守るためにできる限りのことを行っています。 

ユニセフが政府や他のパートナーと緊密に協力し、被災した子どもたちが必要とする重要な支援を一刻も早く受けられるようにしていることを、私は誇りに感じています。しかし、必要な支援の規模が膨大であることは明らかで、この課題に対応する必要があります。ユニセフの重要な医療・人道支援物資の第3便(36トン)はパキスタンに向かっており、今後数日のうちに到着する予定です。 
 

シンド州の国内避難民キャンプの中にあるユニセフが支援する仮設学習センターで、授業を受ける8歳のパルベーズさん(左)と12歳のサムリーンさん(右)姉弟。(パキスタン、2022年9月5日撮影)© UNICEF_UN0701756_Zaidiシンド州の国内避難民キャンプの中にあるユニセフが支援する仮設学習センターで、授業を受ける8歳のパルベーズさん(左)と12歳のサムリーンさん(右)姉弟。(パキスタン、2022年9月5日撮影)© UNICEF_UN0701756_Zaidi

多くの子どもたちが、愛する人、家、大切なものを失い、すでにショックと苦痛を経験していると思われます。ユニセフはすでに、心に傷を負った子どもたちや女性たちに心理社会支援を提供しています。洪水で避難を余儀なくされている子どもたちは、「怖い」「悲しい」だけでなく、「退屈だ」「毎日がつまらない」とも言っています。私たちは、子どもたちの生活に日常を取り戻し、トラウマに対処し、学習を再開できるよう、仮設の学習スペースも設置しました。 

パキスタンの子どもたちは、自分たちが引き起こしたのではない気候変動の代償を払っているのです。私たちは、今、目の前にある緊急事態に対応することはもちろん、数カ月先のことを考え、この何百万人もの弱い立場にある子どもたちの生活を再建する必要性、つまり、彼女・彼らに、安全で健康で、十分な栄養がとれて、学べて、将来に備える環境を提供しなければならないのです。

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ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。パキスタンでの洪水の影響を受けた子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

1. ホームページから: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/disaster/2010.htm
※クレジットカード/インターネットバンキング/Amazon Pay/携帯キャリア決済/コンビニ支払がご利用いただけます。

2. 郵便局(ゆうちょ銀行)から:
振替口座:00190-5-31000/口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会
*通信欄に「自然災害」と明記願います。
*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。

※公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。

 
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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