『ふるさと納税調査レポート』令和3年度ふるさと納税における経済波及効果は2兆8,044億円となりました。令和3年度全自治体のふるさと納税受入額8,302億から3倍以上の効果がありました。

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令和3年度ふるさと納税における日本全体の経済波及効果は、2兆8,044億円の推計となりました。全自治体のふるさと納税受入額8,302億円に対し約3倍以上の効果があったことになります。令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)からサンプル4団体を抽出しての計算結果となります。(計算協力 理化学研究所 客員研究員 江頭満正)
分析の背景
日本に数ある税制の中でも特にふるさと納税制度は経済効果が大きいのではないかと考えられていました。その理由として、寄付金がそれぞれの自治体の細やかなニーズに合った使われ方をすること、返礼品の生産や販売を通じて地域産業や文化の活性化につながることが挙げられます。特に返礼品については、日本全体での返礼品数は40万点以上、返礼品提供事業者は5万社以上とも言われています。寄附額のうち返礼品の調達額は30%以内と定められているものの、これ以上の経済効果があるのではないかと推測されてきました。
ふるさと納税制度の有用性について多くの方々の認識と理解が深まりますよう、今回のレポートではこれまで未知であった本制度がもたらす経済波及効果を計算、分析しました。

経済波及効果の計算
1 令和3年度 ふるさと納税制度による受入金額

 

総務省の「令和3年度受入額の実績等」を基本データとして使用。その概要を表1にまとめました。

2 計算サンプル抽出方法

総務省の「令和3年度受入額の実績等」によると、令和3年にふるさと納税精度によって寄付を受けた自治体は1,786団体あり、この全ての経済波及効果を計算するのは、作業力が膨大になるため、4自治体をサンプルとしました。基準は以下の通りです。受入額上位10%の平均値に最も受入額が近い団体「福岡県福智町」。受入額中央値上位5%と下位5%の平均値に最も受入額が近い団体「香川県丸亀市」。受入額全国平均の上位5%と下位5%の平均値に最も受入額が近い団体「北海道浦河町」。受入額下位10%の平均値に最も受入額が近い団体「千葉県東庄町」。としました。

3 返礼品の産業分類
サンプル4団体が何を返礼品として寄付者へ送付しているか確認しました。

(引用 ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」https://www.furusato-tax.jp/の4団体のページより。調査月2022年8月)
表3の内容を、日本標準産業分類一覧(中分類)に分類を行いました。

4 寄付金の使途
サンプル4団体がふるさと納税制度によって受け取った寄付金の使途を確認しました。サンプル4団体はその詳細をWEBサイトに掲載しており、正確な金額を把握することが出来ました。この使途明細を日本標準産業分類一覧(中分類)に沿って分類を行いました。

 5 経済波及効果計算
サンプル団体ごとに計算を行いました。都道府県により自給率、取引内容などが異なるためです。また都道府県によって、オープンソースとなっている産業分類数が異なります。福岡県の場合13部門と39部門と106部門です。日本標準産業分類(中分類)は94分類であるため、福岡県の場合は39部門に適合するように統合を行う必要があるります。
ふるさと納税制度を要因として発生した経済活動は、①個人から自治体への寄付、②自治体から寄付者への返礼、③寄付を受けた自治体による寄付金使途です。よって「ふるさと納税額」の2倍が「最終需要額」となっています。「直接効果」は国内自給率などで換算した数位、これに一次波及と二次波及を加えて、経済波及効果といます。

サンプル4団体の計算結果から、ふるさと納税額を基準とし、各事項の比率を算出し、日本全国で令和3年に実施されたふるさと納税受入額で計算を行いました。

 

サンプル4団体の計算結果から類推した結果日本全体の経済波及効果は、2兆8,044億円となります。(推計)ふるさと納税受入額8,302億円から3倍以上の効果があったことになります。
(計算協力 理化学研究所 客員研究員 江頭満正)

今回の計算、分析を通じて
2兆円を超える大きな経済波及効果が計算されました。ふるさと納税受入額の3倍以上です。ふるさと納税で日本を元気に!、のスローガンが日本国民からの支持を得て、順調に拡大しています。

ふるさと納税の3つの大きな意義(出典 総務省ふるさと納税ポータルサイト)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/
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第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。
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これらの実現に加えて、当初制度には含まれていなかった「返礼品」という日本独自の贈答文化により、地方と都会を結び、大きな経済波及効果が創出され、ふるさと納税が地方創生につながっていることが分かりました。今後も自治体、返礼品提供事業者、関連事業者、寄付者の関係や意識の深まりにより、ふるさと納税制度が健全に発展していくことを願っています。

社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:大阪府大阪市
代表取締役:西田 匡志(中小企業診断士、総合旅行業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、アドバイザリー、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/

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