【岐阜県飛騨市】国史跡指定!!戦国時代の城郭の変遷が色濃く残る飛騨の城跡群

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文化庁の文化審議会は、2023年10月20日(金)に開催された同審議会の文化財分科会の審議・議決を経て、飛騨市内にある姉小路氏城跡の史跡指定、及び江馬氏城館跡への傘松城跡の追加指定を文部科学大臣に答申されました。
この結果、官報報告を経て、飛騨市内における国史跡の件数は2件13城館になります。

小島城跡石垣小島城跡石垣

  • 姉小路氏城跡にかかわる事業の目的

飛騨市古川町には、中世に朝廷より飛驒国司として任じられた「姉小路氏」、その後に南飛騨から勢力を伸ばし姉小路氏の名跡を継いだ「三木氏」、羽柴(のちの豊臣)秀吉の命を受けて飛騨を統一した「金森氏」という3つの勢力が移り変わった様子の分かる山城群が残っています。飛騨市教育委員会では、この「中世の飛騨の歴史を物語る城跡」の史跡指定を目指して、平成29年より調査を継続してきました。

  • 姉小路氏城跡の概要

文化財の種類:史跡

文化財の名称:姉小路氏城跡(あねがこうじししろあと)

時代:室町時代

所在地:飛騨市古川町高野(たかの)字城山(しろやま)1861番地1 外120筆等

面積:857,234.61㎡

概要

姉小路氏城跡は、古川城跡(ふるかわじょうあと)・小島城跡(こじまじょうあと)・野口城跡(のぐちじょうあと)・向小島城跡(むかいこじまじょうあと)・小鷹利城跡(こたかりじょうあと)の5つの城跡の総称です。

14世紀後葉に飛騨国司となり三家に分立した姉小路氏が、中世飛騨国の中心地である古川盆地の、各々の拠点に築いた中世山城群です。後に同地へ進出する三木氏(みつきし)や金森氏(かなもりし)の手による改修の跡も良好に残り、中世飛騨国の変遷過程を物語る山城群と言えます。

これらの城館群は良好な遺構の残存状況に加え、山城の構造の変遷から飛騨地域の歴史的変遷を読み解くことができる点が評価されます。

古川城跡主郭の礎石建物近景古川城跡主郭の礎石建物近景

  • 姉小路氏城館跡調査指導委員会 委員長 中井均 氏(滋賀県立大学名誉教授)

中井均 氏中井均 氏

姉小路氏城跡の5城は、飛驒国の戦国時代の公家大名の姉小路氏による築城や三木氏による改修から、秀吉の命を受けて飛驒に入った金森長近による近世城郭への改修が非常によく分かる山城跡である。このように中世から近世に至る城郭の変遷が分かる点は、日本の地域支配の在り方の縮図とも言え、国の史跡にふさわしい。

これまで飛驒市に大切に守られきた姉小路氏城跡が今後保存され、国の宝として活用されることが大いに期待される。

  • 飛騨市長 都竹淳也

姉小路氏城跡を構成する5つの山城は、それぞれが地元で大切に守られ、市でも調査研究・現地ツアーなど価値の発信事業を推進してきたところであり、国史跡に指定されることを、市として嬉しく思っております。

今後も、姉小路氏城跡の持つ普遍的な価値を市民と共有すべく活用し、未来へ継承できるよう保存していきたいと思います。

  • 飛騨市教育長 沖畑康子

姉小路氏城跡の事業は、平成29年以降、飛騨市の文化財保護事業の中心に据えて調査研究に取り組んできたものです。調査の結果、姉小路氏が築いた山城を、三木氏・金森氏が手を加えて再利用していく様子が良く残り、激動の飛騨の中世を物語る遺跡だと判明しました。

今回、国史跡に指定されることは、その価値が認めれたことで、とても嬉しいものです。ご協力いただきました方々に感謝をし、今後も愛される史跡となるよう、皆様とともに保存活用につとめていきたいと思います。

  • 江馬氏城館跡の概要

文化財の種類:史跡

文化財の名称:江馬氏城館跡(えましじょうかんあと)

下館跡(しもやかたあと)、高原諏訪城跡(たかはらすわじょうあと)、土城跡(どじょうあと)、寺林城跡(てらばやしじょうあと)、政元城跡(まさもとじょうあと)、洞城跡(ほらじょうあと)、石神城跡(いしがみじょうあと)、傘松城跡(からかさまつじょうあと)

時代:室町時代

既指定所在地:飛驒市神岡町殿字中通り573番地1 外439筆

追加指定所在地:飛驒市神岡町吉田(よしだ)字宮ヶ洞3086番地 外58筆

面積:10,714,037.47㎡(うち466,271.34㎡が追加指定)

概要

江馬氏城館跡は居館であった下館跡と6つの山城からなる史跡であり、昭和55年に国史跡に指定されました。傘松城跡も江馬氏関連の城館であり、歴史的価値が高いとして、追加指定の対象になりました。

江馬氏は鎌倉時代から安土桃山時代まで北飛驒を中心に所領を持った一族です。

傘松城跡は、周辺の城館や街道、集落を見下ろす位置にあり、領域支配の拠点的な役割を担っていたと考えられます。

傘松城跡主郭傘松城跡主郭

傘松城跡主郭地区西側横堀調査写真傘松城跡主郭地区西側横堀調査写真

  • 江馬氏城館跡整備委員会 委員長 吉岡泰英 氏(元福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館長)

吉岡泰英 氏吉岡泰英 氏

傘松城跡は巨大な堀切や土塁・曲輪等が残り、街道を押さえる重要な位置にある。その軍事性の高さから、江馬氏の拠点の中でも特に重要な山城と言える。

その価値が認められ、国史跡として将来へ伝えていくことができるのは大変喜ばしい。

  • 関連イベントのご案内

【山城シンポジウム「姉小路氏城館跡の実像に迫る」】

滋賀県立大学名誉教授の中井均先生のほか各分野から6名の専門家をお招きし、飛騨市の山城を楽しく学べるシンポジウムを開催します。

日時:2023年10月29日(日曜日) 9時30分~15時30分

場所:飛騨市文化交流センター(岐阜県飛騨市古川町若宮2丁目1-63)

   https://maps.app.goo.gl/2sPg3q3nftqqk7xS7

申込:不要(定員600名)

料金:無料

資料https://prtimes.jp/a/?f=d120394-28-3439b33ff17f6399431797519104ce7f.pdf

詳細:飛騨市公式サイト https://www.city.hida.gifu.jp/soshiki/32/56553.html

【飛騨市美術館企画展「姉小路氏城館跡と飛騨の中世」】

これまでの各種調査の成果を紹介するとともに、発掘調査の出土品を展示します。また、歴史考証イラスト作家の香川元太郎氏の城郭イラスト原画や、飛騨の武将・飛騨の中世に関連する古文書・典籍・絵画等の貴重な文化財を一挙に展示します。

日時:2023年10月21日(土曜日)~ 2023年12月17日(日曜日)

   9時00分~17時00分(入場は16時30分まで)

場所:飛騨市美術館(岐阜県飛騨市古川町若宮2丁目1-58)

   https://maps.app.goo.gl/coporJLmYDbZ2N5r7

入館料:一般200円、高校生以下無料

休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)

詳細:学芸員による解説など企画展関連イベントもあります。詳細は飛騨市公式サイト https://www.city.hida.gifu.jp/site/museum/56369.html

古川城復元イラスト古川城復元イラスト

【記念ノベルティ配布】

史跡江馬氏館跡公園・高原郷土館の入館者へ、傘松城跡の追加指定を記念した記念品を配布します。

期間:10月21日(土曜日)〜

数量:先着1,000名(無くなり次第終了)

史跡江馬氏館跡公園 https://hida-bunka.jp/facilities/emashikouen/

高原郷土館 https://hida-bunka.jp/facilities/takaharakyodokan/

  • お問合せ先

飛騨市教育委員会事務局 文化振興課 
担当:学芸員 三好・大下
電話:0577-73-7496

mail:bunkashinkou@city.hida.lg.jp

  • 岐阜県飛騨市

飛騨市は、人口約22,000人の小さな市で、周囲を北アルプスなどの山々に囲まれ、総面積の約93%を森林が占めるなど豊かな自然に恵まれたまちです。また、豊富な自然資源のほか、ユネスコ無形文化遺産である古川祭・起し太鼓、ノーベル物理学賞の受賞に寄与した「スーパーカミオカンデ」を始めとする宇宙物理学研究施設、大ヒットアニメ映画「君の名は。」のモデル地となった田舎町の風景など、多彩で個性豊かな地域資源の宝庫です。

飛騨市公式サイト https://www.city.hida.gifu.jp/

飛騨市公式観光サイト https://www.hida-kankou.jp/

飛騨市公式移住サイト https://www.city.hida.gifu.jp/site/iju/

飛騨市公式食サイト https://hidaichi.jp/

飛騨市公式文化財サイト https://hida-bunka.jp/

PRTIMES飛騨市ページ https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/120394

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