島根県美郷町における「ゼロカーボン農業モデル」を核とした地域振興施策の研究に関する覚書を締結

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島根県邑智郡美郷町(町長: 嘉戸 隆、以下「美郷町」)と株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎 勝教、以下「日本総研」)は、2023年9月20日、再生可能エネルギーと電動スマート農機を駆使したゼロカーボン農業モデルおよび当該モデルを核とした地域振興施策の研究(以下「本研究」)に関する覚書(以下「本覚書」)を締結しました。
本覚書は、美郷町と日本総研が、農産物生産過程におけるCO2排出量のネットゼロ化を実現する農業モデルの構築や、新たな農業の担い手の呼び込みや脱炭素農産物のブランド化などの地域振興施策を推進することを目的に締結するものです。

■本覚書締結の背景と目的
  2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、農業分野での脱炭素化が求められています。美郷町は、江の川の豊かな水や森林資源に恵まれ、農業を主要な産業の一つとすることから、「油を使わないオール電化の農業」を掲げて、農業分野の脱炭素化を進めてきました。また、農業の担い手が減少し耕作放棄地が増加する中、若い新たな担い手の確保に向けて、農業の収益性の向上などによる新規就農地としての魅力向上を主要な課題と位置付け、さまざまな取り組みを行っています。例えば、2022年5月に創設した「美郷町ゼロカーボン促進事業補助金」において、農業分野で活用できるソーラーシェアリング設備(太陽光を用いて農地での農業生産と太陽光発電を同時に行う設備)や蓄電池などに対する補助制度を設け、町民や町内事業者が農業分野での脱炭素化を図りやすい環境を整備したこともその一つです。
  そしてこの度、美郷町は日本総研と本協定を締結し、美郷町ならではの「ゼロカーボン農業モデル」と当該モデルを核とした地域振興施策の研究を推進することとなりました。日本総研が持つ、デジタル技術を活用した農業および農村のビジネス・生活の革新を行う活動のノウハウを活かしながら、「環境に配慮した農業」と「儲かる農業」を両立した、美郷町ならではの先駆的な「魅力ある農業」の実現を目指す方針です。

■本覚書の内容
 (1)再生可能エネルギーと電動スマート農機を駆使したゼロカーボン農業モデル
 ソーラーシェアリング(太陽光を太陽光発電と農産物生産でシェアをする仕組み)などで発電した再生可能エネルギーを、AI/IoTを採用した電動スマート農機等の電力として活用し、農産物生産の過程で生じるCO2排出量のネットゼロ化を実現する農業モデルの構築を目指します。また、農業に特化した第三セクターである一般社団法人ファームサポート美郷とも連携し、再生可能エネルギーを電力として活用した電動農機具を町内農業者に貸し出す「農機具シェアリング」の体制を構築し、固定費の低減による収益性向上と脱炭素化の両立を目指します。

 (2)再生可能エネルギーと電動スマート農機を駆使したゼロカーボン農業モデルを核とした地域振興施策
  この農業モデルの下で得られた農産物を、生産過程での二酸化炭素排出量の少ない「脱炭素農産物」としてブランディングすることで高収益化を図ります。また、「ソーラーシェアリング」「電動スマート農機」「農機具シェアリング」などの新しい技術や仕組みを積極的に取り入れ、先進的で魅力ある農業の実践の場として、先進技術の実証や人材教育・育成を目的として若い世代が集うきっかけを作り、将来世代の新たな農業の担い手を呼び込みます。

■各者の役割
  美郷町は、本研究に対する地域内の農業生産者・事業者への協力依頼や本研究の対象となる圃場の提供に努めるとともに、自治体および農業生産者の代表としての立場から、農業モデルのコンセプトや実現方法について意見・情報を提供します。
  日本総研は、農業モデルおよび関連する地域振興施策とその実現に向けたロードマップ案の提案を行ったうえで、外部の企業・研究機関等への本研究に対する協力依頼や効果検証方法・改善方法(EBPM*¹サイクル等)の検討を行います。
  上記に加え、農業生産者を交えた意見交換会やワークショップなどの対話により美郷町における農業分野の課題やニーズを深堀するとともに、地域内外の企業や研究機関との意見交換を通じて課題の解決策を明らかにし、それらを実現するための検討を推進します。

※1: EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)|政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づき政策の企画を行うこと

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