子どもの権利とウェルビーイングに関するSDGs  3分の2が達成できないおそれ【プレスリリース】

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バドギース州の村の中心部にある、ユニセフが支援した水道に水を汲みに行く子どもたち。(アフガニスタン、2023年7月撮影) © UNICEF_UNI418625_Bidelバドギース州の村の中心部にある、ユニセフが支援した水道に水を汲みに行く子どもたち。(アフガニスタン、2023年7月撮影) © UNICEF_UNI418625_Bidel

【2023年9月18日 ニューヨーク発】
本日ユニセフ(国連児童基金)が発表した報告書は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標年である2030年までの中間点となった今年、子どもに関連するSDGs指標の3分の2が目標達成に向けたペースを外れていることを明らかにしました。報告書は、その達成には前例のないレベルの加速が必要で、国際社会が子どもを取り組みの中心においた場合のみ可能になる、としています。

ポートスーダンの保健施設内の現金給付センターで、ユニセフの現金給付プログラムに登録した家庭の子どもたち。このプログラムでは、子どものいる家庭が生活必需品を購入できるよう、四半期ごとに現金を受け取ることができる。(スーダン、2023年7月撮影) © UNICポートスーダンの保健施設内の現金給付センターで、ユニセフの現金給付プログラムに登録した家庭の子どもたち。このプログラムでは、子どものいる家庭が生活必需品を購入できるよう、四半期ごとに現金を受け取ることができる。(スーダン、2023年7月撮影) © UNIC

報告書「子どものウェルビーイングの推進状況:子どもの権利の視点から捉えるSDGs(原題:Progress on Children’s Well-Being: Centring child rights in the 2020 Agenda)」は、現時点で、子ども関連の目標の50%を達成し、世界的に最も高い達成度を示しているのは、世界の子どもの人口の6%、すなわち、わずか11カ国に住む1億5,000万人にすぎないと警鐘を鳴らします。

現状から想定されるペースが続いた場合、2030年 までに目標を達成できるのは、世界の子どもの人口のわずか25%を占める60カ国に留まり、140カ国の約19億 人の子どもたちが取り残されるとしています。

ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は、次のように述べています。「7年前、世界は貧困、飢餓、不平等を撲滅し、すべての人、特に子どもたちが質の高い基本的なサービスを受けられるようにすることを約束しました。しかし、中間点を迎え、SDGsの約束を現実のものとするための時間は残り少なくなっています。目標を達成できなかった場合、その影響は、子どもたちの命と地球の持続可能性に及びます。私たちは、進捗のペースを取り戻さなければなりません。そのためには、SDGs達成に向けた行動を加速させる最前線に、子どもたちを据えることから始めなければなりません」。

この報告書は、18日からニューヨークで開催される第78回国連総会ハイレベルウィークとSDGsサミットに先駆けて発表されたもので、2030年までに貧困をなくし、不平等を削減し、より平和で豊かな社会を築くことを目的に、2015年に国連加盟国によって採択されたSDGs*における、子どもに関係する指標についてのこれまでの進捗状況を示しています。

* SDGsの17の目標に関する子ども関連の48の指標のうち、各国がモニタリングしている指標は、平均して24にすぎない。多くの国は、子どものウェルビーイングに関する国際的に比較可能な指標の半分について、状況を把握していないことになる。

干ばつの影響により、ソマリ州の国内避難民キャンプに家族と逃れた9歳のリナさん。(エチオピア、2023年3月撮影) © UNICEF_UN0827377_Ayene干ばつの影響により、ソマリ州の国内避難民キャンプに家族と逃れた9歳のリナさん。(エチオピア、2023年3月撮影) © UNICEF_UN0827377_Ayene

報告書は、190カ国以上の20年以上のデータを分析し、各国の現在の状況と今後7年間で目指す姿を比較し、その課題や、進捗を加速させる機会も明らかにしています。また、SDGs達成に向けた進展と後退の両方が混在していることも示しました。

報告書は、また、各国政府の強いコミットメントと効果的な政策、適切な資金調達があれば、進捗を加速させることは可能で、一部の低・下位中所得国が最も速い進捗率を示していると伝えています。例えば、2021年までの入手可能なデータに基づくと、カンボジア、インド、モロッコ、ルワンダ、ウガンダなどは、主にいくつかの指標に影響する分野に注力したことで、子どもに関連する複数のSDGsで一貫した成果を上げています。しかし、これらの国々でさえ、目標達成にはまだ多くの課題を抱えており、そのペースを維持するか、さらに加速させる必要があります。

国際社会は、新型コロナウイルス感染症や気候変動、紛争、経済危機といった複数の危機の最中に置かれ、長年の進展が止まったり逆転したりしています。特に、パンデミックは、この数年間で、長年にわたって積み上げられてきた子どもの予防接種の取り組みに、歴史的な断絶を直接もたらしました。また、低・中所得国では、「学習の貧困」がパンデミック前より少なくとも33%増加したと推計されています。暴力からの保護や学び、子どもの貧困などに関する目標への進捗が、最も遅れています。

2030年の目標を達成するためには、現在進捗が遅れている国々が、歴史的に前例のないレベルまで進捗を加速させる必要があります。子どもの権利(を守り推進する分野)への投資が、すべての社会、人々、そして地球のための成果をもたらし、その成果を持続させるということは、既にさまざまなエビデンスで明らかになっています。特に、幼児期の子どもたちへの支援は、飢餓、貧困、不健康、そして不平等の根絶を、最も大きく推し進めます。

世界の指導者たちがSDGsの中間点を議論するために、今週、ニューヨークに集まります。ユニセフは各国政府に対し、子どもの権利を課題の中心に据え、次に挙げる措置を講じ、前例のないレベルで進捗を加速させるよう呼びかけます。

  • 国レベルの政治的コミットメントを高める:各国政府は、保健、教育、社会的保護などの分野における社会的支出を大幅に増やし、その支出レベルを維持する。

  • 野心的でありつつ現実的な目標を設定し、行動を起こす:技術や政策、ガバナンス、財政能力を考慮してグローバルな目標を地域の実情に当てはめ、実行可能な行動を設定し、目標達成に向けた進捗を加速させる。

  • 子どもたちのための知見とエビデンスを優先する:SDGsの達成に必要な具体的行動を決定するため、データの収集や共有、活用を促進する関係者間の強力なパートナーシップと協力を促進する。

  • すべての子どもにとって住みやすい地球にするためのコミットメントを強化する:各国政府と国際社会は、気候変動の緩和と適応の戦略を策定し、その戦略を実行するための投資を増やす。

  • 進捗を加速するための資金調達システムを構築する:成果に優先順位を付け、公平性と有効性を重視し、分野横断的な投資を対象にする革新的な資金調達システムを、国内ならびに各国間の協力で模索する。

 「(2030年までに残された)7年の間に、多くのことが起こりえます。」「私たちは、努力を新たにし、焦点を絞ることで、この世界をすべての人にとってより公平で健全な場所にすることができます。しかし、そのためには、世界の指導者たちが、子どもたちのチャンピオン(子どもの権利やウェルビーイングの擁護者)になり、子どもの権利を国内政策と予算編成の中心に据える必要があります」(ラッセル事務局長)

■ 注記
ユニセフは、本報告書の発表に合わせ、国連総会会議場への入り口に続くセクション・アベニュー(Section Avenue)に、SDGsの輪のデザインに「a lot can happen in 7 years (7年の間に、多くのことが起こりえます)」のメッセージを添えた壁画(mural)を飾ります。この壁画に含めたQRコードからは、「目標達成年まで残り7年となったこと。目標達成のために出来ること」を紹介するユニセフのウェブサイトにアクセスしていただけます。

報告書「子どものウェルビーイングの推進状況:子どもの権利の視点から捉えるSDGs(原題:Progress on Children’s Well-Being: Centring child rights in the 2020 Agenda)」の全文(英語)はこちらからご覧いただけます。
https://data.unicef.org/resources/sdg-report-2023

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 http://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 http://www.unicef.or.jp/

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