ウクライナ:新学年度迎えるも教育危機続く~完全対面授業は3人に1人【プレスリリース】

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ユニセフが支援する幼稚園のひとつを訪れ、子どもと会話をするユニセフ欧州・中央アジア地域事務所代表のデ・ドミニーチス。(ウクライナ、2023年8月21日撮影) © UNICEF_UNI426504_Ukhovユニセフが支援する幼稚園のひとつを訪れ、子どもと会話をするユニセフ欧州・中央アジア地域事務所代表のデ・ドミニーチス。(ウクライナ、2023年8月21日撮影) © UNICEF_UNI426504_Ukhov

【2023年8月29日 ジェネーブ発】

ユニセフ(国連児童基金)の欧州・中央アジア地域事務所代表のレジーナ・デ・ドミニーチスは、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、戦争がウクライナの子どもの教育に及ぼす影響ついて、以下のように発言しました。

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ウクライナでの戦争において、学校への攻撃が後を絶たちません。つい先週も、ロムヌイ市の民間人居住地域が攻撃され、複数の教員が犠牲となりました。攻撃は、教員が新学年度の授業の準備をしていた学校を吹き飛ばしたのです。同じ日、ヘルソン市の幼稚園も攻撃を受けました。

 

このような無分別で無謀な攻撃により、ウクライナの多くの子どもたちはひどく苦しみ、安全に学べる場所を奪われています。

 

新学期が始まる中、ユニセフから受け取ったパソコンで、もう1年オンライン学習を受ける準備をする12歳のビクトリアさん。「戦争が始まってから1年半、同級生に会っていないです」と話す。(ウクライナ、2023年8月6日撮影) © UNICEF_UNI429346_新学期が始まる中、ユニセフから受け取ったパソコンで、もう1年オンライン学習を受ける準備をする12歳のビクトリアさん。「戦争が始まってから1年半、同級生に会っていないです」と話す。(ウクライナ、2023年8月6日撮影) © UNICEF_UNI429346_

ウクライナの子どものうち、完全な対面授業を受けることができているのは、3人に1人だけです。その結果、ウクライナ全土の子どもたちに、ウクライナ語、読解、数学における学習成果の低下を含め、広範囲にわたる学習喪失の兆候が現れています。

 

この戦争は、危機の上に危機を重ねています。この戦争は、子どもたちのメンタルヘルスに深刻な影響を与えています。この戦争は、何百万人もの子どもから、教育を受ける機会を奪っています。

 

ウクライナでの戦争は、子どもに対する戦争となりました。しかし、戦争が終結すれば、子どもや若者は、ウクライナの復興と将来にとって不可欠な存在となるのです。そのためには、高度な教育を受けた、かつ健康な人材が必要です。悲惨なことに、学校や子どもへの無差別攻撃が繰り返されるたびに、この極めて重要な人材の確保が遠のいていくのです。

 

今週ウクライナでは新学年が始まるため、本来、学齢期の子どもは学校に戻れるはずなのです。しかし、学校教育が中断されるのは今年で4年目となります。

 

ヘルソン州のスピルノ・チャイルド・スポットで、地雷についての授業を受ける子どもたち。(ウクライナ、2023年7月21日撮影) © UNICEF_UNI429298_Filippovヘルソン州のスピルノ・チャイルド・スポットで、地雷についての授業を受ける子どもたち。(ウクライナ、2023年7月21日撮影) © UNICEF_UNI429298_Filippov

私は先週ウクライナを訪れ、教員や子どもに会いました。子どもたちは戦争による心の傷を負い、読み書きや基礎的な計算に苦労し、いまだ戦争状態にある国で必死に生きようとしています。実に、国土の3分の1近くが地雷のために危険と見られており、地雷や不発弾をいかに避けるかは、子どもたちにとって最も重要で、そして今や必須の授業となっています。これに応じてユニセフは、カウンセリングや心理社会的支援を通じて子どもたちのメンタルヘルスを支援し、地雷の危険性に関連するものを含む学習教材を提供し、教員を訓練し、攻撃を避けるための校内のシェルターの復旧を続けています。

 

また一方で、ウクライナから国外へ逃れた何百万人もの子どもの半数以上が、受け入れ国の教育制度に登録されていません。

 

彼らがどこで暮らしていようとも、ウクライナの子どもの教育への投資は、ウクライナの将来のための最善の投資なのです。

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■ 関連プレスリリース(8月29日配信)「ウクライナ、子どもの学習損失広範囲に――教育中断4年目に突入」はこちらからご覧いただけます。

https://www.unicef.or.jp/news/2023/0138.html 

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。( www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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