当社のiPS細胞技術の商用ライセンスを受けた製品CELLvo™ Atrial Cardiomyocyte(StemBioSys社)の販売開始のお知らせ
StemBioSys社(米国テキサス州、以下ステムバイオシス社)は、ヒト心房心筋細胞と同じ機能を持つ部位特異的ヒト人工多能性幹細胞由来心筋細胞を商業化し、CELLvo™ Atrial Cardiomyocyte(以下CELLvo™心房心筋細胞および本製品)の製造、販売を開始することを発表いたしました。本製品は、当社が製造したiPS細胞を使用し、当社から商用ライセンスを受けて、製造されています。
本製品は、新薬候補物質の心毒性のスクリーニングにおいて、動物モデル等やその他In-vitroモデルと比較して、より正確かつ費用効果の高い選択肢として、製薬企業や学術研究の分野で活用されることが期待されます。
当社の「RNAリプログラミング技術」は、遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクが極めて低い点が大きな特徴となります。さらに心筋細胞へ分化誘導時に、磁気ビーズを用いて不要な細胞を除去する手法を活用することにより、生物学的に適切な細胞を提供することが可能となります。そのため、ほかのin-vitroの手法と比較すると、より精密で効率的かつ、費用効果の高い心毒性スクリーニングのプラットフォームを製薬企業や学術研究者へ提供することが可能となります。
当社代表取締役社長の横山周史は、「当社はiPS細胞由来のヒト心筋細胞を、世界に先駆けて発売した企業です。当社のRNAリプログラミング技術が、心毒性スクリーニングの課題解決の一環として使用されることをうれしく思います。ステムバイオシス社との協力関係の継続を期待しています。」と述べています。
ステムバイオシス社CEOのボブ・ハッチェン氏は、「iPS細胞由来の成熟したヒト心房細胞を入手できることは、様々な意味で画期的なことです。心臓の各部位の電気生理が異なること、また心房または心室のみに不整脈を引き起こすことが知られている薬剤が存在することから、CELLvo™心房心筋細胞を活用し、その部位特異性を観察できることは大きな進歩であると言えます。」と述べています。「このように、自然の心臓の拍動と同じように拍動するヒト心房細胞は、薬物の効果や毒性を予測するのに役立ち、一般的に使用されているイオンチャネルを用いたIn-vitroの試験方法よりも正確に心毒性を予測できることがNature Scientific Reports誌に掲載されています。ステムバイオシス社は、創薬や毒性試験の分野における動物の使用を減らし、それに代わるiPS細胞を活用した新しい創薬の原動力になりたく思います。」と加えています。
ステムバイオシス社CTOのトラビス・ブロック氏は、「iPS細胞由来のヒト心房心筋細胞は前臨床創薬において大きな可能性を秘めていますが、心筋細胞の未熟さや機能性における一貫性の欠如といった技術的な課題がありました。CELLvo™心房心筋細胞は、CELLvo™ Matrix Plusと組み合わせることにより課題を解決し、より精度の高い心臓安全性の評価を可能にします。」と述べています。
本件による当社業績への影響は軽微ですが、今後、業績に影響を与えることが判明した場合には速やかに公表 いたします。
ステムバイオシス社について
同社は、米国テキサス州サンアントニオに本社を置く非上場のバイオメディカル企業で、急成長する世界市場における再生医療の期待に応えるため、革新的で高度な幹細胞技術の開発と製造を行っており、CELLvo™というブランドで世界の研究者に製品を販売しています。テキサス大学からライセンスされた特許取得済みの独自技術プラットフォームは、臨床的に有用な幹細胞治療法を生み出すための重要な障害を克服しています。詳細については、同社のウェブサイト(https://www.stembiosys.com/)をご覧ください。
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