財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ

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当社は、金融商品取引法第 24 条の4の4第1項に基づき、本日、関東財務局に提出いたしました 2023 年3月期の内部統制報告書に、開示すべき重要な不備があり、当社の財務報告に係る内部統制は有効でない旨を記載いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.開示すべき重要な不備の内容

 当社は、2023 年3月3日の内部通報を契機に、当社の米国連結子会社である America Fujikura Ltd.(以下、「AFL」という。)の CEO を兼任していた当社の元取締役(以下、「元取締役」という。)による、AFL の子会社である AFL Telecommunications LLC(以下、「AFLT」という。)を介した不動産の私的流用の疑いがあることが判明したため、日本及び米国にて、当社グル-プと利害関係を有しない外部の法律事務所を起用し、2023年3月14 日から内部調査を行い、同年6月 30 日に調査結果を受領しました。

 内部調査により確認された事項の概要は、以下のとおりです。

(1) AFLTが 2020年に購入した土地は、元取締役が作為的に承認手続きを歪め、私的な目的で取得されたものであったことが確認されました。

(2) 2021年3月期から当事業年度にかけて、当該土地上に建設された住宅の建設費用の一部が、元取締役の作為により目的の異なる費用として、AFLT から支出されていました。また、当該住宅は元取締役により私的に使用されていたことが確認されました。

(3) 元取締役は、AFLのCEO退任時に当該土地を譲り受けることについて親会社である当社との間に合意があると仮装していたことが確認されました。

(4) 元取締役は、私的目的のためのコーポレート・クレジットカード及び AFLT の小切手による支払いを複数実施していました。また、元取締役は、正規の手続を経ずに、AFLT の資金を用いて AFLT に航空機を購入させ、当該航空機を私的目的により一部使用していたことが認められました(なお、当該航空機は取得後に AFLT によって売却され、買主から AFLT に対してリースバックが行われていました。)。

 当社は、AFL グループにおいて、以下のような内部統制上の問題が存在していたことが本事案の発生原因であると評価しております。

(1)AFLグループの統制環境における不備

・AFL グループにおける事業上の判断や運用の権限が元取締役に集中しており、加えて、職務分掌に関するルールについて AFL グループ内で改善を要する部分があったことから、元取締役が業務プロセスを主導することで、資産の私的流用を行うことができる統制環境であったこと

・元取締役はAFL のCEOとして長期に亘り在任しており、また、人事権限を持つ同氏に対して AFLグループ内で異議を唱えることが難しい環境があったと考えられること

(2)AFLグループ内のガバナンス機能における不備

・AFLT における財産の取得や投資等について、元取締役に 10 億円を上限とする決裁権限が与えられており、当該決裁権限を超えない投資については当社取締役会に上程する必要がない定めとなっており、上述の資産の私的流用は、当該決裁権限内で行われ、当社取締役会の上程対象とはなっていなかったこと

・他方、上記決裁権限内の投資案件であっても、AFLにおける Executive Committee(以下、「EC」という。)のモニタリング対象として識別される必要があったところ、EC の運用が形骸化しており、AFL のガバナンスが実質的に機能していなかったこと

(3)AFLグループの CFOの資質に関する不備

・ 上述の資産の私的流用については、AFL の CFO による承認がなされており、当該 CFO による承認プロセスの有効性に疑義があると考えられること

・ CFOによる元取締役への牽制が十分ではないと考えられること

 これらのAFL グループにおける統制環境、ガバナンス機能、及びCFO の資質に関する不備は、AFLグループにおける全社的な内部統制の不備であり、当社の財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。

 

2.事業年度末日までに是正できなかった理由

 上記の開示すべき重要な不備は、当該事実の判明が当事業年度の末日以降であったため、当事業年度末日までに是正することができませんでした。

 

3.開示すべき重要な不備の是正方針

 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、内部調査の結果明らかとなった本事案に関する問題点並びに反省を踏まえて、以下の再発防止策を実行し、内部統制の整備・運用を図ってまいります。

1 当該海外子会社における特定の役員への権限集中の見直し(権限の分散化)

2 当該海外子会社におけるガバナンス体制、内部規程等の整備

3 当該海外子会社における新たな財務責任者の任命とその責任者による経理処理の点検の強化

4 当該海外子会社の役職員への教育

4.連結財務諸表及び財務諸表に与える影響

 上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて連結財務諸表に反映しております。

5.連結財務諸表及び財務諸表の監査報告における監査意見

 無限定適正意見となっております。

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