量子アルゴリズムのスタートアップQuanmatic社、量子計算効率化アルゴリズム知財を搭載した汎用ソフトウェアの実用開始

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「Spin-Variable Reduction:通称ダークスピン法」(*1)を用いて、線形制約つき組合せ最適化問題を少ないスピン数でより正確に解くことを可能に

 

 高度な数学的手法を駆使したアルゴリズム開発を通じて量子技術の早期活用に取り組む株式会社Quanmatic(クオンマティク、本社:東京都新宿区、代表取締役:古賀 純隆、以下Quanmatic社)は、早稲田大学戸川研究室の知財「ダークスピン法」を搭載した量子計算効率化アルゴリズムの汎用ソフトウェアQANML(Quantum Algorithms aNd Machine Library)のMVPをリリースしました。

 ダークスピン法とは、線形制約付き組合せ最適化問題の変数の依存関係に着目し、元の問題の最適性を維持したまま使用する変数の個数を削減する手法です。ダークスピン法を取り入れたQANMLを現実問題に適用した結果、使用スピン数に対して線形に増加するスピン数の削減及び解の品質(目的関数値)の向上をいずれのケースにおいても確認することができました。一般化したアルゴリズムを実装しているため、現実世界に存在する線形制約つき組合せ最適化問題に対して、ハードウェアに依存せずに幅広く適用可能であり、数学的手法を用いた量子計算の効率化という世界でも類を見ないプロダクトとなります。

 Quanmatic社では継続して、QANML開発を進め、アルゴリズムの力による量子技術の早期活用を推進します。当面、QANMLはQuanmatic社内利用によりその性能を高め、SaaSによるリリースを目指します。

(*1)T. Shirai and N. Togawa,
“Spin-Variable Reduction Method for Handling Linear Equality Constraints in Ising Machines,”
IEEE Transactions on Computers, 2023 (DOI: 10.1109/TC.2023.3239539).

◾️株式会社Quanmaticについて
 Quanmatic社は、量子関連技術の活用を目的としたコンピュータサイエンスアルゴリズムの開発を目的とし、早稲田大学戸川望教授(Chief Scientific Officer)の研究シーズを元に、CEO古賀純隆、慶應義塾大学田中宗准教授(Chief Technology Officer)とChief Product Officer武笠陽介の4名で2022年10月に設立したスタートアップです。CSO戸川教授は情報工学分野、量子計算分野の第一人者であり、グラフ理論等の数学的手法を活用したアルゴリズム構築により、ゲート式・アニーリング式・量子インスパイアード式を含む量子関連技術を駆使してビジネス課題を解決していきます。
 メンバーのアルゴリズム構築スキルや経験のみでなく、現状の量子関連ハードウェアの弱点を緩和するアルゴリズム知財(問題サイズ、解の収束)も保有しています。アルゴリズム知財をビジネス課題に適用するための最適化エンジンの開発を継続して進め、ハードウェアに依存しない汎用的な量子計算技術の効率化ソリューションを展開します。
 情報工学アルゴリズムをベースとした汎用ソフトウェアの構築と、世界的なサプライチェーンの逼迫の軽減といった圧倒的な社会・ビジネスインパクトを創出するユースケースの開発を目指し、量子関連技術の社会実装で先行する日本を皮切りに海外展開を目指します。

株式会社Quanmatic
設立:2022年10月
所在地:東京都新宿区西早稲田一丁目22番3号
共同創業者:代表取締役CEO 古賀純隆,  取締役CSO 戸川望

■本リリースに関するお問合せ
Mail: info@quanmatic.com

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