【若者の伝統工芸品離れ】これからの時代、「伝統ものづくり産業」には何が必要?求められる「変化」とは?

この記事は約14分で読めます。
株式会社百年匠人(本社所在地:東京都港区、代表取締役:許山 寅)は、全国20代~30代男女(身近に伝統工芸品を使用している方)を対象に、「若者の伝統工芸品離れと今後」について調査しました。
  • 皆さんは、普段「伝統工芸品(伝統的工芸品)」に触れる機会はどのくらいあるでしょう?

京都の西陣織、石川県の加賀友禅、佐賀県の伊万里焼や有田焼、沖縄の芭蕉布、…箱根の寄木細工「からくり箱」などは、子どもの頃に実際に手に取ってみたことがある方もいるのではないでしょうか。

伝統工芸品とは、経済産業省によると「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号)」に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことで、その数は237品目あることが記されています(2022年3月18日時点)。
(参照:経済産業省HP、https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/index.html

しかし、その伝統工芸品の生産額も、1980年代のバブル期をピークに市場規模は大きく縮小していることが危ぶまれています。
産業全体が不振となった原因はさまざま考えられますが、その1つとして現在のライフスタイルに合っていないといった、「若者の伝統工芸品離れ」なども挙げられるかもしれません。

では、“日常的に伝統工芸品と触れ合っている” 若者世代の方々は、このような「伝統ものづくり産業」の現状についてどのように感じているのでしょうか。
若者世代が持っているアイデアから、これからの時代に合った伝統工芸品の在り方が見えてくるかもしれません。

そこで今回、日本の伝統的工芸品を世界に広めたい『株式会社 百年匠人http://www.cmaster.jp/)』は、全国20代~30代男女を対象に、「若者の伝統工芸品離れと今後」に関する調査を実施しました。
 

  • 伝統工芸品を日常的に使用している若者は、伝統工芸品にどんなイメージを持っている?

はじめに、普段から使っている伝統工芸品について伺いました。

「普段どのような伝統工芸品を使っていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『陶磁器(伊万里・有田焼など)(37.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『織物(西陣織など)(23.9%)』『漆器(輪島塗など)(22.2%)』『染色品(加賀友禅など)(18.1%)』『木工品・竹工品(箱根寄木細工など)(16.9%)』『文具(熊野筆など)(15.0%)』と続きました。

瀬戸物や茶碗、着物といった、暮らしに身近な伝統工芸品を使っている方が多いようです。
伝統工芸品の種類は数多くあり、他にも木工品や文具、貴石細工といった伝統工芸品を使っている方もいるということがわかりました。
「若者世代だからといって伝統工芸品のニーズはない」ということは、ないようです。

■以降の回答結果はこちら
その他の工芸品(江戸切子など)(11.9%)』『和紙(越前和紙など)(11.5%)』『仏壇・仏具(三条仏壇など)(11.1%)』『人形・こけし(宮城伝統こけしなど)(9.7%)』『金工品(南部鉄器など)(9.2%)』『その他の繊維製品(行田足袋など)(7.9%)』『工芸材料・工芸用具(金沢箔など)(5.0%)』『貴石細工(甲州水晶貴石細工など)(3.9%)』『石工品(岡崎石工品など)(3.8%)

そんな伝統工芸品に対して、若者世代の方々はどのようなイメージをお持ちなのでしょうか。

「伝統工芸品のイメージとして近いものを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『芸術品(46.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『匠の技、特殊な技法(43.4%)』『作り手のこだわり(41.7%)』『美しい(40.5%)』『質が良い(39.8%)』『お土産(35.2%)』と続きました。

僅差ではありますが、「芸術品」といったイメージが強いようです。
伝統工芸品の一番は、何といっても職人による「手しごと」の価値というものがあります。
そのため、「匠の技、特殊な技法」「作り手のこだわり」といったイメージも強いのではないでしょうか。

■以降の回答結果はこちら
丁寧、真心(34.5%)』『伝統的、伝統を守る(32.2%)』『高価(31.9%)』『日本らしさ、日本が世界に誇るもの(28.9%)』『古めかしい(9.3%)
 

  • 若者の伝統工芸品離れについてどう感じている?伝統工芸品に対する不便さや不満とは?

伝統工芸品を日常的に使っている若者世代は、他の若者はどのくらい伝統工芸品に馴染みがあると感じているのでしょうか。
「若者の伝統工芸品離れ」というのも耳にすることがありますが、どのように感じているのでしょうか。

「若者の伝統工芸品離れについて、どのように感じますか?」と質問したところ、『年々(急速に)離れていっていると思う(37.7%)』『緩やかに離れていっていると思う(46.4%)』『昔も今もあまり変わらないと思う(12.7%)』『離れていない(身近になっている)と思う(3.2%)』という回答結果になりました。

「離れていっていると思う」と回答した割合を合計すると、実に8割以上がそのように感じていることがわかりました。
ご自身では日常的に使っていても、他の若者は離れていると感じているということは、「若者の伝統工芸品離れ」は深刻なのかもしれません。

しかし、なぜ若者世代は伝統工芸品から離れていっているのでしょうか。

そこで、「ご自身は伝統工芸品を使っていて、不便さや不満を感じることはありますか?」と質問したところ、『とてもある(13.5%)』『ややある(30.5%)』『あまりない(41.4%)』『全くない(14.6%)』という回答結果になりました。

全体的には、「不便さや不満を感じることはない」と回答した方の割合が多かったものの、普段から慣れ親しみのある方でも4割以上が不便さや不満を感じているようです。

では、どのような部分に不便さや不満を感じるのでしょうか。
前の質問で『とてもある』『ややある』と回答した方に、具体的な理由についてお聞きしました。

伝統攻撃品のどんな部分に不便さや不満を感じる?
・【漆器(輪島塗など)】輪島塗りを使っていますが、もう少し手に取りやすい価格だといいなと思います(20代/女性/会社員/東京都)
・【その他の工芸品(江戸切子など)】薩摩切子の厚みがもっとコンパクトで、温かい飲み物にも使用できたらなと思う(30代/男性/自営業/鹿児島県)
・【陶磁器(伊万里・有田焼など)、貴石細工(甲州水晶貴石細工など)、その他の工芸品(江戸切子など)】陶器などが好きなのですが、やはり実用的ではないため使うことが少なく、埃を被ってしまうことが多い点です。無理な話ですが、割れにくいものがあると嬉しいです(30代/男性/会社員/兵庫県)
・【文具(熊野筆など)】化粧筆に使っていますが質が良い反面、金額が高くて、つい安価で買い換えのできるもののほうが良いと思ってしまいます(30代/女性/会社員/東京都)

などの回答が寄せられました。

不満を感じる理由の1つに、伝統工芸品は「高価」であるという声がありました。
また、使い方を誤ると「割れてしまう」といったことでも不便さを感じているようです。
 

  • ライフスタイルと合っていない!?伝統工芸品は現代の生活でも身近に使える?

本来、道具というものは日常生活で使われる、いわば実用的であるべきなのかもしれません。
伝統工芸品には「芸術品」「手づくり」といったイメージが強いことが明らかになりましたが、「高価」で「壊れやすい」ものだと、結果として飾っておくだけの道具となってしまう点に、不便さや不満を感じているのではないでしょうか。

実のところ、現代のライフスタイル(生活の様式や価値観、習慣など)に合っているのでしょうか。

そこで、「ご自身のライフスタイルと伝統工芸品は合っていますか?」と質問したところ、『とても合っている(19.3%)』『ある程度合っている(61.3%)』『あまり合っているとはいえない(18.4%)』『全く合っていない(1.0%)』という回答結果になりました。

ご自身のライフスタイルと合っていると回答した方の割合が多かったのは、実際に日常的に伝統工芸品と触れ合っている方々だからこそ、なのかもしれません。

では、“合っていない”と感じている約2割の若者世代の方々は、どのように合っていないと感じているのでしょうか。

続いて、前の質問で『あまり合っているとはいえない』『全く合っていない』と回答した方に、「どのように合っていないのか近いものを教えてください(上位3つまで)」と質問したところ、『高額なため入手しにくい(44.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『現代の生活で使うには実用性に欠ける(32.8%)』『販売経路が乏しい(25.1%)』『現代の生活で使うには耐久性が物足りない(23.1%)』『修理や修復が難しい(22.6%)』『モダンではない(18.0%)』と続きました。

先程の調査結果でも明らかになった「高額」「実用性に欠ける」といった点でライフスタイルと合っていないと感じているようですが、新たに明らかになったのは、「高額なため入手しにくい」「販売経路が乏しい」といった“手に入りにくい”といった問題点があることがわかりました。
 

  • 今後、更に伝統工芸品が良くなるためには何が必要?

ここまでの調査で、伝統工芸品は高価で壊れやすいこともあるため、現代のライフスタイルでは実用性にやや欠けるなど、合っていないと感じている方も少なくないことがわかりました。
しかし、職人による「匠の技、特殊な技法」「作り手のこだわり」といった“良い物”であることには変わりありません。

そんな伝統工芸品にも、現代のライフスタイルに合わせて変化が必要なのでしょうか。

「現代のライフスタイルに合わせて、伝統工芸品にも変化が必要だと思いますか?」と質問したところ、『とても必要だと思う(31.6%)』『ある程度必要だと思う(63.4%)』『不要だと思う(5.0%)』という回答結果になりました。

日常的に伝統工芸品と触れ合っている若者世代は、現代にライフスタイルに合わせて、伝統工芸品にも何らかの“変化”が必要だと感じているようです。
全体的な割合では、「とても必要だと思う」「ある程度必要だと思う」と回答した方は9割強(95.0%)となりました。

では、伝統工芸品にどのような変化が求められているのでしょうか。
若者世代は、今後、日本の伝統工芸品をどのようにすれば良いと考えているのでしょうか。

そこで、「伝統工芸品が更に良くなるためのアイデアはありますか?」と質問したところ、5割以上の方が『ある(56.0%)』と回答しました。

続いて、前の質問で『(伝統工芸品が更に良くなるためのアイデアが)ある』と回答した方に、それはどのようなアイデアなのか具体的にお聞きしました。

伝統工芸品が更に良くなるために必要なこととは?
・値段が高くて手を出せないということもあると思うので、若者に身近なアクセサリーに加工して伝統工芸品に触れるきっかけを作る(20代/女性/パート・アルバイト/埼玉県)
・昔からの技術で丁寧に作られていることが魅力だから値段はそのままでいいと思う。あとは、SNSとかでもっと知ってもらう必要があると思う(20代/女性/パート・アルバイト/宮城県)
・鉄道やバスなどの内装に伝統工芸を織り交ぜ、身近に感じさせる機会を多く設ける(20代/男性/会社員/東京都)
・漆器にスチームパンク風やサイバーパンク風があったらいいと思う(30代/男性/会社員/長野県)
・敷居が高いイメージがあるので店構えを今っぽくする。カップルや友達と体験できるブースを作る(30代/女性/パート・アルバイト/富山県)
・インターネットで世界中に制作の様子や特徴などを配信し、視聴してもらって興味を示してくれた人がその場でオーダーできるような仕組みを作る。送料などかかったとしても使って欲しいと思わせるようなプロモーションが必要。品物についても今の生活様式に見合ったものを伝統の技術を用いて作るなどの変化が必要(30代/女性/その他(エンターテイナー)/東京都)
・質が良いのとジャパンブランドとして、ネットで海外へアピールを行う。今の若者へもエモさを売りにして販売する。お土産屋などでは、デザインが古くさいと感じるので、パッケージを今風にするだけで若者が手に取りやすさが大きく違うと思う(30代/女性/会社員/東京都)
・現状、伝統工芸品は外国人には人気のあるものですが、国内の若者の間では知名度はあっても利用するところまではいきません。国内の若者向けに有名なインフルエンサーとコラボしたり、若者が集まるe-スポーツのイベントなどで出展したり、PRしたりしてみてはどうでしょうか(30代/男性/会社員/兵庫県)

一部しか紹介できないことが残念ですが、非常に多くのアイデアが寄せられました。
伝統を守りつつも未来に日本の伝統工芸品の良さを伝えていくためには、このような若者世代のアイデアが必要なのではないでしょうか。
 

  • 【まとめ】伝統工芸品離れは着実に起きている。伝統を守りつつ、未来を創るために必要なことは?

今回の調査で、若者世代が伝統工芸品に対して、どのようなことを感じているのかが明らかになりました。

伝統工芸品とは、職人が真心をこめて丁寧に1つずつ手づくりで生み出す「芸術品」です。
そのため高価なものが多いという点で、若者世代には手に入りにくいといったことが「伝統工芸品の若者離れ」を起こしている可能性は高いといえるでしょう。
熱いお湯を注ぐと割れてしまう、落とすと割れてしまうといった「実用性」に対して不満を感じていることもわかりました。

こうしたさまざまな原因により、「伝統ものづくり産業」は芳しいものとはいえないのが現状です。
少子高齢化をはじめ、産業全体が不振となった原因はさまざまな問題がありますが、伝統を守りつつ未来の伝統工芸品を創ることを考えた際、まず無くてはならないのが消費についてです。
近年は、情報通信技術の発展やインターネット主流となった市場の変化など、消費・販売環境において大きな変化がありました。

伝統工芸品は優れた工芸品であることには違いはありませんが、若者は自身のライフスタイルには合っていると回答した方の割合が多かった一方、95.0%の方が「現代のライフスタイルに合わせるには変化が必要」と回答しました。

日本が誇る「伝統的工芸品」が成長を遂げていくために、若者世代のアイデアを参考になさってください。
 

  • 日本の伝統的工芸品を世界に広めたい〜百年匠人のご紹介〜

百年匠人へようこそ
私は数年間にわたり、建築家(故)杉本貴志氏のインテリアデザイン会社で、中国のデザインプロジェクトに積極的に携わってきました。
この間に得た実務経験を通じてインテリアデザイン、国内外のプロジェクトの開発、マネジメントなどクリエイティブな仕事に魅了され、
これからも取り組みたいと強く思うようになりました。
2018年4月、杉本氏の逝去をきっかけに、私自身のデザインワークをより追求し、日本の優れた製品をもっと様々な空間デザインに応用し、
日中デザイン業界の様々なビジネス活動を、より直接的かつシンプルに、スムーズにできるようになるため「株式会社 百年匠人」を設立いたしました。
既に、何人かの職人の皆様と契約を交わしチームが拡大しつつあります。
是非、このチームにご参加いただき、エキサイティングなプロジェクトをご一緒できることを楽しみにしております。

■企業概要
社名:株式会社 百年匠人
所在地:東京都港区南麻布5-1-2 クラウディア3F
代表者:代表取締役 許山 寅
設立:2022年1月26日
事業内容:日本の伝統的工芸品を中国のホテル事業の内装・インテリア業界に紹介・販売する。

■業務の流れ
・会員登録
事業提案書に賛同の方に、事業参加承諾書を提出頂き会員登録いたします。事業提案書希望の方は、下記会員募集要項にてお申込みください。

・産地取材
会員様を順次取材:インタビュー・製作風景などの動画をはじめ様々な販促ツールを製作いたします。

・販促活動
中国最大の建築デザインの広告代理店DESIGN WIREを経由して、ホテルオーナー、内装デザイナーに一斉配信いたします。

・マッチング
中国企業との商談成立までの業務を当社が全て請け負います。

・商流
商品は全て当社に卸して頂き、当社が中国に輸出いたします。(産地の皆様は商品国内渡し・円決済)

■募集
百年匠人事業の新規会員を募集しております。

対象:伝統的工芸品の作り手の方で、新たな取組をお持ちで、新たな販路を求めている方。
申込方法:担当:平井宛に、電話またはメールでご連絡ください。当社の事業提案書・事業参加承諾書をメールで送信いたします。

■株式会社 百年匠人:http://www.cmaster.jp/
■TEL:080-4429-5797
■お問い合わせ先:m.hirai@josobox.com(担当:平井 誠)

調査概要:「若者の伝統工芸品離れと今後」に関する調査
【調査期間】2022年11月17日(木)~2022年11月18日(金)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,006人
【調査対象】全国20代~30代男女(身近に伝統工芸品を使用している方)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
 

タイトルとURLをコピーしました