魚類養殖の生産管理サービス「uwotech」が「TOKYO STARTUP GATEWAY 2022」のセミファイナリストに選出

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養殖業のDXに取り組むAquacraft株式会社(東京都東大和市、代表取締役:加地誠)は、2022年5月から行われたスタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2022」で、1114件の応募の中からセミファイナリストとして選出されました。

◆取り組みの背景
魚類養殖の業界において、エサ代の最適化は経営を左右する重要なテーマです。年間コストの実に6割、金額にして1.7億円がエサだけにかかる構造となっているためです。さらに、近年はウクライナ事情に伴う原油価格の高騰や円安の進行、魚粉価格高騰に伴うエサ代の値上げなど、生産コストの上昇につながるニュースが相次いでおります。

魚を飼育するエリアは限られているため、無駄な給餌や投薬はコストの増大だけでなく、水質悪化を招く要因ともなり環境への負荷も高めることになります。SDGsでも富栄養化を含むあらゆる海の汚染防止は重要なテーマのひとつです。

他方でエサや栄養剤などの飼育記録の記録・保管方法はまだまだ紙が主流となっており、データの分析・活用まではできていない生産者様が多いというのが現状です。過去の経験則で判断するしかないため、生産者の方々の中には「過去の経験や勘が本当にベストなのかわからない」とモヤモヤしながら、日々魚と向き合っている方もいらっしゃいました。

 

魚の飼育データの分析・活用が進まない背景には、養殖独特の生産管理があります。この魚の生産管理の難しさは、牛や豚のような個体管理ができないことに起因します。畜産業ではどの個体にどれだけの飼料を与えたか、どの個体が体調を崩しているのか、ある程度一頭ずつ認識・記録することができます。

しかし、魚は水の中にいるためはっきりと個体を識別することができません。数千~数万尾を1つの生簀でまとめて飼うため、どうしても群での生産管理が必要になります。魚群に対して給餌をするため、成長には個体差が出てきますが、その差を調整するためには生簀間で魚を移動させる「分養」や「統合」といった作業を行わなければなりません。しかし、これらの作業によって管理対象となる種苗群の構成が変わってしまうため、種苗ごとに成長曲線や増肉係数(※)、原価といった指標を計算するのは非常に複雑で大変な作業でした。
※増肉係数とは体重を1kg増加させるのに必要なエサの量を表す数字のこと。

◆取り組み内容
こうした中、生産管理状況を客観的に可視化し、根拠をもった意思決定を行えるようにすることの重要性は今後もますます重要になってくると私たちは考えました。そこで当社が開発を進めているのが次世代型タブレット養殖管理システム「uwotech」(ウオテック)です。「uwotech」では分養や統合といった生簀群の変更を伴う高度で複雑なデータ処理に向き合うことで、種苗ごとの生産性まで自動で可視化します。
また、中長期的には養殖の生産管理に関わるデータが一元的に集まるプラットフォームサービスとなることを目指しており、各種ICT機器からのデータ取得・連携も視野にサービスの開発を進めます。
専門家や生産者の方々とも連携させていただきながら、生産者様のコスト削減と海洋環境への負荷軽減を実現できるよう、引き続きサービス開発に邁進してまいります。

◆代表取締役 加地 誠 コメント

この度数ある企画の中からセミファイナリストとして選んでいただきましたことを大変うれしく思っております。日本は海洋資源にとても恵まれた国であるにも関わらず、漁獲量も消費量も労働者も減り、漁村では高齢化も進んでいます。私にはもうすぐ2歳になる娘がいます。このままでは今と同じようにおいしい魚を日常的に食べることは将来できなくなるかもしれません。彼女が大きくなったとき、今と同じように日常の食卓の中に魚が並び、そのおいしさに感動を感じられるような環境を残したいという想いで事業を磨き上げ続けてきました。まだまだ始動したばかりで手探りの日々ではありますが、今後もサービスローンチに向けて引き続き全力を尽くしてまいります。

◆TOKYO STARTUP GATEWAYについて
テクノロジーから、モノづくり、ソーシャルイノベーション、リアルビジネス、グローバルを見据えた起業など、分野を越えて、「東京」から世界を変える若き起業家を輩出するスタートアップコンテストです。
TOKYO STARTUP GATEWAY2022 WEBサイト https://tokyo-startup.jp/
コンテスト部門通過者紹介 https://tokyo-startup.jp/qualifiers2022
主催:東京都
事務局:特定⾮営利活動法⼈ETIC.  https://www.etic.or.jp/

◆Aquacraft株式会社 会社概要
当社は日本の豊かな水産資源と魚食文化を未来に残し続けるために、「おいしい魚が食卓に並ぶ『当たり前』の日々を次の世代につなぐ」というビジョンを掲げ、魚類養殖のDXに挑んでいるソフトウェア開発会社です。単なる機械化や省力化に留まらない新しい価値やソリューションの提供を通じて、未来の養殖業の新しい形を生産者の皆様とともに創造します。データや最新のテクノロジーの力を最大限に活用しつつ、得られた知見をひとりひとりの生産者に還元し、生産者を縁の下から支えます。

社名:Aquacraft株式会社
代表者:代表取締役 加地 誠
本社:東京都東大和市立野1‐18‐16にしきビル203
設立:2022年7月15日
資本金:250万円
事業内容:

  • 水産養殖事業者向けのデータ分析・管理サービスの開発・提供
  • 生鮮食品、保存食品及び加工食品を扱うECの企画・開発・運営
  • 前各号に付帯関連する一切の事業
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