シーベース 「データでわかる! 360度フィードバック導入状況」全調査結果を発表 360度評価の対象者・回答者が施策に効果を感じるためには、頻度の高さとフォロー施策が不可欠    

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「フィードバックと対話で、すべての人と組織、社会をアップデートする」をミッションに掲げるHRサーベイクラウドサービスの株式会社シーベース(本社所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:深井幹雄)は、360度評価や多面評価、マネジメントレビューなどと呼ばれる”360度フィードバック”の企業での活用状況の実態を把握するための調査を実施し、「データでわかる! 360度フィードバック導入状況」として全結果をまとめましたのでお知らせいたします。
レポートには、本リリースに記載しているデータ以外の詳細な結果や、「人事制度と360度評価の連動」についての調査結果と分析も掲載しています。調査結果詳細の資料ダウンロード、代表の深井による解説オンデマンド動画はこちらからご確認ください。https://www.hrm-service.net/download/2947/
  • 調査結果サマリー

・企業、組織が抱える課題は「管理職のマネジメント力の低さ」「人材の育ちにくさ」
人事が捉える企業課題としては「人材の育ちにくさ」がトップになりました。一方で、現場の組織課題としては「仕事に対するモチベーション」「組織の一体感減少」などが挙げられています。リモートワークなどコロナ禍を経て起きた働き方の変化により、現場の組織をリードする中間管理職層に求められる要素が増え、その課題解決を期待されていることがわかります。

・実施頻度が高いほど、結果フィードバックも行われて効果が実感される傾向がある
年1-2回実施の企業が約7割で、頻度を高めて取り組んでいきたい人事の意向が窺えます。より実施頻度の高い企業ほど結果のフィードバックがなされる割合も高くなるという傾向、個々人に適切なフィードバックがなされることによって上下の信頼関係も良好となり、実施意義実感も高まるという傾向がわかりました。

・主な対象は中間管理職、意味・効果は役員やメンバーの方が感じている
会社課題の上位には管理職に関するテーマが多く並び、360度評価対象も課長・係長といった中間管理職層が中心ですが、一般社員を対象とした実施も一定数見られます。360度評価に対する意味や効果の実感は、役員、部長層、課長層と上位役職者ほど高い傾向にあります。特に、コミュニケーション、関係構築、マネジメント力向上などで意味を感じており、一方では、正当な評価への不安、負荷、フォローの不足などが課題として挙がっています。

・360度評価ポジティブ活用層は、新型コロナウイルス感染症流行後の組織課題に対するメリットを感じている
多くの社員(回答者)は、コロナ禍以降モチベーションや組織の一体感低下を感じており、環境変化対応に苦慮するマネジメントの負担が増していると考えられます。その中で360度評価を活用できている層は、コミュニケーション・信頼関係・マネジメントなど、課題感にフィットするメリットを感じられていることがわかります。一方で、360度評価に課題を感じる層は、負荷感とともに「正直な評価がしにくい」という心理的安全性が低い状態でいることが見受けられ、その課題への対策を講じることが重要です。

・360度評価実施後のフォロー施策の有無が、対象者・回答者ともに効果実感を左右する
360度評価の運用で一番多いのは個人別結果レポートを一人ひとりに返却することですが、結果活用に向けた、レポートの読み解き方のガイドなどのフォローは全体的にまだ発展途上にあります。一方で、対象者が効果実感を得ている割合はフォロー施策が何もないときは9%に止まりますが、何かしらのフォロー施策があると69%まで増加している結果から、自身の「強み・改善点」が認識できて結果活用に繋がるフォローがあるほど対象者の満足度・効果も比例して高まることがわかりました。今後は結果を返すだけではない、強み・改善点の認識が持てて今後の行動改善に繋がるフォロー施策のアップデートが望まれます。

・360度評価がマイナスに働くのは、実施目的の伝達や回答者の不安解消が不十分なケース
360度評価の意味や目的の伝達が不十分で回答者と対象者の不安軽減や取り組み姿勢のケアがないと、正当な評価が妨げられやすくなる傾向が明らかになりました。実施後の結果フィードバックや活用フォローで結果を受け止め、自身の強み・改善点を認識する機会を持てないと、その後の行動改善まで繋がりにくくなってしまうこともわかりました。
 

  • 調査結果詳細

【企業、組織が抱える課題】

■360度導入企業の人事が感じる会社の課題の上位には、「人材が育ちにくい」「管理職・マネジメントの負担が重い」「管理職のマネジメント力が低い」など管理職に強く関連するものが多い
 

■一方で、社員(回答者)が職場に感じる課題の上位は「仕事に対するモチベーション低下」「組織の一体感減少」「日々の業務効率悪化」「信頼関係の低下」「組織の風通しの悪さ」「マネジメントの負担増」となっている。コロナ禍でリモート化など働き方が変わる中での不安や戸惑いを受けて、記載の項目が上位になったとみられる。職場ではお互いの意思疎通や関係性の齟齬が発生し、環境変化対応でマネジメント層が苦戦し負担が増していることが推察される。

【実施頻度と効果実感】

■人事調査では年1-2回で7割を超え、導入企業は今後さらに頻度を上げたい意向が見られる。
 

■年1回以上、実施頻度が高い企業群の方が、上司・部下との信頼関係が良好である割合が高い

 

■回答者、対象者ともに、実施頻度が高いほど360度の実施意義を感じている。また回答者に至っては、不定期実施と年2回以上では意義の実感に2倍近くの差がある。

【評価対象者にとっての360度評価の意味・効果】

 

■役職別に見ると、課長・係長層より、導入決定層と思しき役員層や部下の一般層の方が“意味や効果”を感じていることがわかる。360度評価中心対象の課長・係長層よりも、導入決定者や職場メンバーの方が、対象者と接する中で客観的な変化やメリットを感じやすいと言える。

 

■360度評価の対象者が良いと感じる点の上位5つは、「上司部下など縦のコミュニケーション向上」「周囲からの評価・フィードバックを受けられる」「信頼関係の向上」「マネジメント力の向上」「変革意識の向上」となった。
 

■一方で、対象者が感じる課題で最も多かったのは、「正当な評価がされていない」次いで「評価結果の活用の仕方がわからない」「簡単に実施できない・労力が多い」「活用へのフォローがない」「変革意識の低下」が続く。「正当な評価がされていない」と感じる背景には、結果を受容・理解・活用するためのフォローなどが十分でなく、自己受容できる状態ができていないという可能性が考えられる。

【評価回答者にとっての360度評価の意味・効果】

■回答者が良いと感じる点の上位5つは、「上司部下など縦のコミュニケーション向上」「信頼関係の向上」
「管理職のマネジメント向上」「全体最適思考への変化」「人材育成へのプラス効果」
 

■回答者の課題で最も多かったのは、「正直な評価が書きにくい」次いで「マネジメント層の負担増」「簡単に実施できない・労力が多い」「評価結果の活用状況が不透明」「内向き思考への変化」が続く。「正直な評価がしづらい」と感じる背景には、実施目的などが十分伝わらず、心理的安全性が低い状態で実施されているという可能性が考えられる。

【フォロー施策と効果実感】

■360度評価実施頻度の高い企業は、評価実施後にフォロー施策を行なっていることが多く、定期的に、あるいは頻度高く実施する企業は、あらかじめフォロー施策もセットとして運用に組み込んでいるケースが多く見受けられる。
 

■360度実施後の結果を活かすためのフィードバックやフォローがあるほど満足度は高まることがわかる。何もフォローがないと9%に止まるが、施策を実施することでその効果は69%まで引き上がっていることが読み取れる。個人別結果フィードバックだけにとどまるのではなく、結果活用に繋がるフォローも複合的に組み入れることで、対象者の満足度や具体的な効果実感を高めることが可能となる。

 

■360度評価で自分の強み・改善点を認識できた人の方が、実業務還元や自組織への貢献再認識(行動改善)に繋がる。活用支援施策の中でも、特に自身の強み・改善点を認識できるフィードバックやフォローをセットすることが、改善に向けた意識や行動の変容へと繋がると言える。

【360度評価がマイナスに働いてしまうケース】

■360度評価をマイナスに感じる大きな要因は「正当な評価がされていない・されなそう(対象者)」 「正直な評価が書きにくい(回答者)」となっている。実施の目的が伝わらず、回答者の心理的安全性や、対象者の不安が十分にケアされないと、上記のようにマイナスに捉えるバイアスが強まってしまう恐れが考えられる。

 

※その他の回答結果を含む詳細、オンデマンド動画はこちらからご確認ください https://www.hrm-service.net/download/2947/
※調査結果を引用いただく際には出所として「株式会社シーベース」と明記をお願いいたします
 

  • 分析コメント 「多面評価を意味あるものにするためのカギは、”気づき・行動・習慣化”への運用サポート」(シーベース代表取締役社長 深井幹雄)

人的資本開示への注目度が高まる中、日本企業でも人の成長・組織の成長に投資し、注力する傾向が強まっています。今回の調査結果でわかったことは、そういった外圧で制度のみ導入をしても、対象である社員にとっては意味や効果が得づらいということ。特に360度評価は、実施目的の明確化や納得感の醸成、評価を実施する上での回答者および被評価者の心構え、そして結果の読み解きやフィードバック、行動計画策定とその習慣化のサポートと、一朝一夕で効果が得らえる仕組みではありません。その分、うまく運用している企業や組織では、頻度高く効果的なフォローアップを実施することで組織状態が良好になり、生産性向上のみならずハラスメント抑止などのリスク対応にも繋がっていることがわかります。ポイントを抑え、自組織に合った最適な360度フィードバックの実施により、多くの企業において「マネジメント力の向上」などの課題解決を実現することを期待します。

■調査概要
・調査手法:インターネットリサーチ
・都道府県:全国
・対象者、サンプル数:
(1)社員調査:360度評価(多面評価)を会社が導入、評価者or被評価者 241サンプル
(2)人事調査:経営者、人事( 組織開発、人材開発、人事評価等業務関与者) 1,000サンプル
・実施期間:2022年3月4日~7日

■株式会社シーベースについて https://www.cbase.co.jp/
株式会社シーベースは「すべての人と組織に、気づき、学び、成長を」をスローガンに掲げ、360度フィードバックや組織診断などのサーベイフィードバックを軸に、コンサルティング、各種研修、AI(データ)を組み合わせてお客様の組織課題を解決します。人と組織が成長するためのDX(ODDX)を推進し、未来をリードする企業として価値発揮していくことを目指します。

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