ブラザー工業は、2008年に岐阜県および郡上市とともに、郡上市白鳥町、美並町、八幡町のスキー場跡地など計3カ所のエリアを対象に、森林の復元や保全を目指す協定を締結。協定を締結したエリアは、「ブラザーの森 郡上」として、毎年春と秋の年2回*1、従業員とその家族を中心に植樹活動を行ってきており、今年で16年目になる。さらに、2014年からは名古屋大学大学院環境学研究科の支援を受け、産・官・学の三位一体の活動として、学術的な側面も含めた環境保全活動へと発展させてきた。白鳥町では生物の活動場所のゾーニング*2の他、土壌に合った苗木の植樹や森林全体の環境整備などを行ったことで、固有種であるギフチョウをはじめとした希少種の生息が確認されるようになり、森林全体の生態系の回復という成果へとつながっている。今回、「ブラザーの森 郡上」が自然共生サイトに認定されたのは、こうした「ブラザーの森 郡上」における生物多様性を目指した区域の管理・保全効果など、継続的な取り組みの効果が評価されたことによるものとみられる。
ブラザー工業は、今後も生物多様性保全に向けた取り組みを積極的に展開していくため、環境省が発足した有志連合による「生物多様性のための30by30アライアンス」にも参加し、30by30の目標達成に貢献していくという。
「30by30」とは、2021年のG7サミットにおいて合意された、生物多様性の損失を食い止め、回復させる「ネイチャーポジティブ」というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標だ。自然共生サイトは、30by30達成に向けた日本における行動のひとつとして、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定するもので、2023年度より始められた。
また、SDGsの達成に貢献するための地域社会支援の取り組みを紹介するブラザーのウェブサイト「SDGs STORY」では、この度の認定を機に「ブラザーの森 郡上」スペシャルサイトが新設され、動画が公開された。この動画の公開は環境保全啓発を目的としており、動画にはこれまでブラザーが取り組んできた「ブラザーの森 郡上」での植樹活動などを通した生物多様性保全に取り組む様子などが収められている。今秋も10月14日に植樹活動などを行うツアーの開催が予定されており、27回目となる今回は過去最多となる約180人の参加が見込まれている。
◆「ブラザーの森 郡上」スペシャルサイト(SDGs STORY)
https://sdgsstory.global.brother/j/special/gujo/
ブラザーでは、「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」の中で、生物多様性保全をグループが取り組む重要課題の一つとし、「グループ全体で事業活動が生態系へ与える環境負荷を最小化し、環境負荷を上回る修復・保全活動をしている」をありたい姿として定めている。その中で、「ブラザーの森 郡上」は、ブラザーグループの生物多様性保全に対する取り組みの象徴的な拠点となっている。今後もブラザーは、「ブラザーの森 郡上」における生物多様性保全活動および環境保全啓発の新たなコミュニケーション活動に取り組み、企業活動のあらゆる面においても地球環境の配慮に前向きで継続的な取り組みを行っていくという。
*1:新型コロナウイルス感染症予防の観点から2020年度および2021年度、2022年度春は未実施
*2:森林のさまざまな機能を十分に発揮するために区分して整備計画を立てること