国際体操連盟、富士通のJudging Support Systemを全10種目で利用開始

この記事は約6分で読めます。
体操競技や新体操などの競技を統括する国際団体である国際体操連盟(注1)(以下、FIG)と富士通株式会社(注2)(以下、富士通)は、共同開発しているJudging Support System(以下、JSS)において、全10種目(注3)に対応したシステムの開発を完了し、2023年9月30日から10月8日までベルギーのアントワープで開催中の「第52回世界体操競技選手権大会」で、全種目への適用を開始しました。

JSSは体操競技において、競技者の動作をセンシングし、数値データとして分析することでAIが技を自動判定し、その結果を画面に表示したり、関節の角度などの審判が正確な体の動きを見たい場面の数値情報を表示したりすることで、同一基準による正確な判定を支援するものです。このほど、従来のセンサー方式をカメラ映像による画像分析に置き換え、かつ富士通が開発したAI技術をさらに強化することで、体操の高速で複雑な動きを精緻に捉えた分析を実現しました。

動画:Human Motion Analytics (youtube)

https://youtu.be/IZst7CIQ_yU

近年、体操競技では選手の競技力、体操器具の向上により、技の複雑化や高度化が進み、競技を判定する審判に、より高度なスキルが求められ、負荷が高まっています。そこで、FIGと富士通は、採点の公平性、透明性の確保といったスポーツインテグリティ(注4)を高める取り組みとして、2017年からJSSの開発に着手し、2019年より世界体操選手権大会をはじめとする世界大会における体操の一部の種目で活用を進めてきました。

今後、FIG加盟国は、JSSをトレーニング中に選手の能力や技の習熟度を評価するトレーニングプログラムの一環として利用できるようになります。また、本システムで生成されたデータに基づいた専門的な解説や映像を 、世界中の視聴者に提供していきます。
FIGは、JSSを活用して関節の角度や手足の位置など数値を用いてより具体的に技を判断するガイドラインを2023年11月より順次公開していきます。
富士通は、社会課題解決や新たな価値創出を行う「Fujitsu Uvance」のもと、JSSで培った高精細な画像分析技術、ノウハウおよびAI技術を融合したデータ解析プラットフォーム、Human Motion Analytics(以下、HMA)を、2024年4月から順次、流通や医療などの幅広い産業に提供していく予定です。
FIGと富士通は、テクノロジーでスポーツに関わるアスリート、観客、審判などすべての人々により良い経験や能力向上を促し、スポーツ界の発展に貢献していきます。

画像:JSSの画面画像:JSSの画面

【 富士通が開発、提供するHuman Motion Analyticsについて 
1. システム概要

HMAは、FIGが採用しているJSSで培った、世界最先端の高精度な姿勢認識AI技術をベースとしたデータ解析プラットフォームです。HMAは、これまでのディープラーニングによる画像解析で課題だった姿勢認識のブレを大幅に低減できる富士通の独自補正アルゴリズムおよび、AIと3Dのノウハウを駆使しフォトリアルな画像を自動生成する技術を搭載しています。これにより、会場の明るさ、観客席や器具の色など様々な環境を想定した有用な学習データの大量生成を実現しました。また、人の動きを4次元(3次元+時系列)で捉え、ある瞬間のポーズではなく一連の動きとして動作を認識する4-Dimimention Capture技術を開発しました。これらの技術革新により、複雑かつ高速な体操競技の動きであっても精緻に捉えた分析が可能となり、高精度な解析を実現しました。

図1:補正アルゴリズムによる処理図1:補正アルゴリズムによる処理

図2:生成された学習データ図2:生成された学習データ

また、様々な分野への応用を容易に可能とするために、屈伸する、手を伸ばす、物をつかむなど100種類以上の人の基本動作を独自に定義し(図3)、これらを組み合わせることで、より細かく人の行動を分析するシステムを柔軟に構築できる仕組みを実現しました。これにより、ヘルスケア領域における予防医療や運動療法を支えるシステム開発ならびに、リテール分野における顧客行動分析や製造現場の作業効率化などへの適用が可能となります。富士通は、HMAにより従来の効率化中心のテクノロジーにとどまらず、人をエンパワーメントし、様々な社会課題解決につなげていきます。

図3:基本動作例(この例では、青枠の三つの動作を組み合わせて行動を分析)図3:基本動作例(この例では、青枠の三つの動作を組み合わせて行動を分析)

2. HMAの適用例

ヘルスケア
医師や理学療法士などの専門家の知見をもとに正しい動作を定義するとともに、患者や生活者の動作をデータ化したうえで、回復期の患者の運動療法や予防医療を支援します。

エンターテインメント
スポーツ選手の3Dデータを活用した新たな映像体験の実現やフォーム評価などでの動きの改善、ゲームやアニメーション製作に活用します。

リテール&製造
人間工学に基づく分析により、従事している作業員の負担軽減やスキル向上、および人の動きのデータを活用した新製品を開発します。

【 商標について 】

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

【 注釈 】

注1

FIG (Fédération Internationale de Gymnastique):
国際体操連盟
本部 スイス ローザンヌ、会長 渡辺 守成

注2

富士通株式会社:
本社 東京都港区、代表取締役社長 時田 隆仁

注3

全10種目:
(男子)あん馬、つり輪、跳馬、鉄棒、平行棒、ゆか(女子)跳馬、平均台、段違い平行棒、ゆか

注4

スポーツインテグリティ:
スポーツが様々な脅威により欠けるところなく、価値ある高潔な状態であること。

【 関連リンク 】

Judging Support System(https://www.fujitsu.com/jp/innovation/data-driven/capabilities/judging-support-system/

「Fujitsu Uvance」(https://activate.fujitsu/ja/uvance/

【 本件に関するお問い合わせ 】

富士通株式会社

富士通コンタクトライン(総合窓口)

電話:0120-933-200(通話無料)

受付時間: 9時~12時および13時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・富士通指定の休業日を除く)

お問い合わせフォーム: (https://contactline.jp.fujitsu.com/customform/csque04802/873532/

 

プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。

タイトルとURLをコピーしました