日本企業10社 住友林業グループ組成の森林ファンドへ共同出資

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住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区 以下、住友林業)の傘下で米国の森林アセットマネジメント事業会社Eastwood Forests, LLC(CEO:Alex Finkral以下、EF社)は森林ファンドEastwood Climate Smart Forestry Fund I(以下、本ファンド)を組成し、このたび運用を開始しました。

本ファンドに参画するのはENEOS株式会社、大阪ガス株式会社、東京センチュリー株式会社、日本郵政株式会社、日本郵船株式会社、芙蓉総合リース株式会社、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、ユニ・チャーム株式会社と住友林業グループの日本企業10社です。資産規模は約600億円で運用期間は15年の計画。ファンドの仕組みを活用することで個々では実現できない面積・資金規模で森林を適切に管理し、グローバルな気候変動対策を実践します。
住友林業グループと参画企業は本ファンドを通じて森林のCO2吸収能力を高め、年平均約100万トンのCO2吸収を新たに生み出し、質の高いカーボンクレジットの創出・還元で脱炭素社会の実現に貢献します。また生物多様性の維持や水資源の保全といった自然資本としての森林の価値を高めていきます。

米国の森林イメージ(※本ファンドの投資対象ではありません)米国の森林イメージ(※本ファンドの投資対象ではありません)

■背景
温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では世界共通の長期目標として世界平均気温の上昇幅を産業革命前から2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することが示されました。パリ協定の目標達成には、2050年までにCO2を中心とした世界の温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現が必要です。
日本政府も「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言。各企業でCO2などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取組が加速しています。
その中で排出量をゼロにすることが難しい企業もあり、温室効果ガスの削減に努めた上で、技術革新や自助努力だけではどうしても削減しきれない排出量に対して、カーボンクレジットを購入し実質ゼロにするオフセットの仕組みがあります。
特にCO2吸収源としての森林への重要度は高まっており2021年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」ではCO2吸収源や炭素の貯蔵庫として森林の重要性について明記されました。本ファンドでは適切な森林管理から生み出されるCO2吸収量を森林由来のカーボンクレジットとして発行、還元していくことで脱炭素社会の実現に向けたオフセット需要への貢献を果たします。
また森林はCO2吸収源としてのグローバルな気候変動対策だけでなく社会課題に対する自然を基盤とした解決策Nature-based Solutions(NbS)※1として期待されています。本ファンドを通じてNbSへの資金供給を促し、生物多様性、水資源の保全の拡大につなげていきます。
カーボンクレジットには課題もあります。国や民間など様々な認証団体によるクレジットがあり、基準や算定方法が国際的に統一されていません。今後はクレジット基準の統一化やプロセスの透明性など、質の高いクレジット創出へ向けた機運が高まっていくことが予想されます。本ファンドにおいてもカーボンクレジットに関する世界動向を注視し、質の高いカーボンクレジットを創出することが求められます。

■本ファンドの特徴

  • 本ファンドは日本企業10社が各社の米国子会社などを通じて出資参画。カーボンクレジットのマーケットや制度が先行している米国で木材販売及びカーボンクレジットの創出・販売を行います。ファンドの仕組みを活用し、適切に管理する森林を大幅に拡大しグローバルな気候変動対策、生物多様性に貢献します。

  • EF社のAlex Finkral氏、Glenn Wallace氏は長年に渡る森林ファンドの運営を通じて、北米や中・南米で持続的な森林経営を実施。木材生産をしながら森林の価値向上や森林由来のカーボンクレジットを創出してきました。本ファンドでも森林が持つCO2吸収・炭素固定機能や生物多様性、水資源の保全等の多面的機能が十分発揮できる持続可能な森林経営を実践し、質の高いカーボンクレジットの創出を目指します。

  • 本ファンドは参画企業の出資金をもとに今後2027年までに北米を中心に約13万haの森林を購入・管理する計画です。森林資産の取得・売却、森林経営といったファンド運営の全体管理は米国の森林ファンドの組成・運営に知見・経験を有するEF社が担当。住友林業の100%子会社SFCアセットマネジメント株式会社(代表:吉澤 雄次郎 本社;東京都千代田区)がファンド組成及び組成後の出資者とのコミュニケーション等に関し日本側からファンドをサポートします。

  • 参画企業はファンド運営の重要事項の決定などを通じて森林経営に関与していきます。住友林業グループと参画企業は目指すべき森林の姿を議論しながら本ファンドを運営します。

■本ファンドが目指す森林経営
本ファンドは従来の木材生産が目的の森林経営に加えて気候変動対策にも資する持続的な森林経営を行います。森林の状況に応じたクレジット創出の方法論(再植林、保全など)を選択してCO2吸収・炭素固定機能を高め、カーボンクレジットを創出します。有望な後継樹を残して森林の植生回復を促し、様々な樹種や樹齢の木々で構成する階層構造を持った森林を形成するIFM※2(Improved Forest Management、森林改善による方法論)によるクレジット創出も検討しています。
森林はNbSとして生物多様性や水資源の保全などの公益的機能の発揮も期待できます。本ファンドは森林管理を通じて多様な生物が生息できる環境を提供し生物多様性を高めていきます。持続可能な森林経営の国際スタンダードであるFSC※3等の森林認証制度の基準に従いHigh Conservation Value Forest※4(生物多様性が高い地域や種の絶滅危機にある生息地などの保護すべき価値の高い森林)を保全していきます。

■EF社について
EF社は2022年10月にAlex Finkral氏、Glenn Wallace氏と住友林業の100%子会社Sumitomo Forestry America, Inc. (社長:岩崎 淳 本社:米国 テキサス州ダラス)が共同で設立しました※5。

Alex Finkral氏
Eastwood Forests社CEO。米国の森林アセットマネジメント事業会社で12年以上の業務経験を持ち、長年米国において森林管理・環境保全等に携わった経験を有する。イェール大学で森林環境学の博士号を取得。

Glenn Wallace氏
Eastwood Forests社CFO。米国の森林アセットマネジメント事業会社において12年以上の業務経験を持ち、米国の税務・財務分野において深い知見を有する。米国公認会計士(CPA)。

      ※本リリースは本ファンドについて参画企業を勧誘するものではありません。

■参画企業各社メッセージ

・住友林業株式会社

住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を  

                  長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを

                  目指しています。

                  長期ビジョンで掲げた「循環型森林ビジネスの加速」に向け、グローバ             

                  ル規模の森林ファンド組成や森林面積拡大を進めます。住友林業グルー

                  プは2030年までに管理・保有する森林面積を計50万haまで拡大し、運

                  用資産1,000億円規模の森林ファンド運営を目指します。

・ENEOS株式会社

ENEOSグループは、Scope1、2のCO2排出量を2030年度までに2013年度対比46%削減、そして2040年度までにカーボンニュートラルを実現するという目標を設定しております。目標達成に向け、当社の温室効果ガス排出抑制、CCS(CO2の回収・貯留)、CO2除去(森林吸収等)に広く取り組んでおり、本ファンドがこの取組の足掛かりになると判断しました。

本ファンドにおける、適切な森林管理から創出される質の高いカーボンクレジットが、グローバルな気候変動対策はもちろんのこと、生物多様性、水資源の確保など社会課題の解決に貢献することを最大出資者として期待しております。

 今後も当社はカーボンニュートラル社会の実現に向け、CO2の自然吸収増     

                 加に向けた取り組みを推進することで、「エネルギー・素材の安定供給」と

                 「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向けて挑戦します。

・大阪ガス株式会社

Daigasグループは、2021年1月に発表した「カーボンニュートラルビジョン」や2023年3月に発表した「エネルギートランジション2030」のもと、2050年のカーボンニュートラル実現を目指しております。

当社は、工場等から大気中に排出されるCO2と水素を合成することで都市ガスの主原料であるメタンを生成するメタネーション技術の研究開発や、e-methane(合成メタン)の本格導入に向けたサプライチェーン構築に取り組むほか、カーボンクレジットの創出事業者への出資やCCSを含む「CO2バリュ

                 ーチェーンの構築」の検討など、CO2の削減に向けた取り組みを行っており

                 ます。本ファンドが創出する質の高いカーボンクレジットに期待しており、      

                 上記の取り組みに加え、本ファンドへの出資を通じて脱炭素社会の実現に貢 

                 献してまいります。

・東京センチュリー株式会社

東京センチュリーは、国内外のパートナー企業との共創による付加価値の高い金融・サービスを提供しております。SDGsを踏まえたマテリアリティの一つとして「脱炭素社会への貢献」を掲げ、太陽光発電を中心とした再エネ事業やオートリース事業を通じたEVの普及に注力してまいりました。

住友林業グループの長期ビジョンと、生物多様性の確保など自然資本としての付加価値を有する、質の高いカーボンクレジットの創出を目指す本ファンドの設立趣旨に賛同し、出資を決定いたしました。本ファンドへの参画を通じ、森林経営に係る知見を得るとともに、還元されるカーボンクレジットを活用した新事業の創出を目指します。

 住友林業グループをはじめ、志を共有する参画企業との協業により、社会・

                環境課題の解決と持続的成長を推進することで、環境に配慮した循環型経済社

                会の実現に貢献してまいります。

・日本郵政株式会社

日本郵政グループはESG目標として2050年カーボンニュートラルの実現等を掲げており、国内外のカーボンニュートラルの促進に貢献することを目指しております。本ファンドの取組みは、こうした当社グループの方向性とも整合しており、本ファンドへの参画はカーボンニュートラルに向けた取組みの一環に

                なると考え、出資を決定しました。

                また、日本郵政グループは、中期経営計画「JPビジョン2025」において、お

                客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」として社会的な課題の解決に

                向けた新規ビジネス等の創出を目標に掲げており、今後住友林業グループとと

                もに国内外の森林を取り巻く様々な課題解決において役割を果たすことを目指

                してまいります。

・日本郵船株式会社

森林管理は、気候変動への対策と同時に生物多様性保全、水源涵養等の生態系へのポジティブインパクトが期待できます。森林を保全することで大気中のGHGを吸収し、海を豊かにすることは、 当社のESG経営のテーマのひとつであ

                る 「海、地球、そして人々への恩返し」に相当する事業活動です。当社は本

                事業投資から創出される自然由来のカーボンクレジットを、当社グループの外

                航海運事業におけるGHG排出量削減の長期目標を「2050年までのネット・ゼ

                ロエミッション達成」に向けた打ち手として、当社グループの事業活動により

                直接、間接的に排出されるGHGのオフセットなどに活用します。そのための枠

                組みづくりなども進め、本ファンドへの出資を通じて持続可能な社会の実現に

                貢献してまいります。

・芙蓉総合リース株式会社

芙蓉リースグループは2022年度からスタートした中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」において、CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)の実践を通じた社会課題の解決と経済価値の同時実現により、企業グループとして持続的な成長を目指しております。

               本ファンドへの参画により脱炭素社会の実現、森林が持つ生物多様性・水資源の   

               保護等の多面的な機能の発揮に貢献することで、豊かな社会の実現と持続的な成

               長に貢献してまいります。

・株式会社三井住友銀行

SMBCグループは、今年度、新たな中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」を策定し、社会的価値の創造を新たに経営戦略の柱の一つに据えました。SMBCグループは、社会課題の解決を主導し、経済の成長とともに社会課題が解決に向かい、そこに生きる人々が幸福を感じられる「幸せな成長」、すなわちFulfilled Growthに貢献することを目指しています。

               そうした「幸せな成長」に貢献していくために、幾多の社会課題の中で、特に解

               決を目指すべき喫緊の課題として、DE&I・人権、貧困・格差、少子高齢化、日

               本の再成長と並び、「環境」を重点課題と定めています。SMBCグループは、本

               ファンドへの出資を通じ、カーボンクレジットの市場拡大に寄与すると共に、ト 

               ランジションの支援を通じた脱炭素社会の実現と、自然資本の保全・回復に貢献

               してまいります。

・三井住友信託銀行株式会社

三井住友信託銀行はこれまで、複数の森林ファンドへ出資しているほか、森林信託を開発するなど、信託ならではのSDGsへの取り組みを行ってきました。本ファンドへの出資を通じ、お客さまのカーボンニュートラル実現へ向けた取組を後押しするとともに、気候変動対策や生物多様性など森林が持つ価値に着目した新たな市場・機会を捉えたソリューション提供力の強化に取り組んでいきます。

 三井住友トラスト・グループは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さま

               や社会の豊かな未来を花開かせる」をパーパスとして定義し、「社会的価値創出

               と経済的価値創出の両立」を経営の根幹に据え、社会課題の解決に貢献するイン

               パクトエクイティ投資や、投資家への魅力的な投資機会の提供を推進していま

               す。

・ユニ・チャーム株式会社

当社は、「SDGsの達成に貢献する」ことをパーパスと定め、事業活動を通じて環境問題や社会課題の解決、地域社会に貢献することを目指しています。また、これらを具体的に推進するべく、2020年10月に中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」を公表し、その中で「気候変動対応」を重要な課題の一つとして掲

               げています。本ファンドは当社が取り組む「気候変動対応」に関する活動との親

               和性が高いと判断し、今回出資を判断するに至りました。本ファンドにより、社

               会全体のカーボンオフセットに貢献してまいります。

■ファンド概要

名称

Eastwood Climate Smart Forestry Fund I

運用資産規模 

約600億円(約415百万USD) 

※1USD=144.46円(2023年7月3日の為替レートで計算)

アセット

主に北米の森林資産を想定 

運用期間

15年間

運営

Eastwood Forests社(住友林業グループ)

SFCアセットマネジメント株式会社(住友林業グループ)

組成時期

2023年6月

※本ファンドについてのお問い合わせは、SFCアセットマネジメント株式会社(住友林業グループ)マーケティング部(https://sfcam.jp/)まで。

※1 社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福および生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然の、そして、人為的に改変された生態系の保護、持続可能な管理、回復のための行動(The International Union for Conservation of Natureの定義)
※2 森林管理方法を改善しより多くの森林蓄積を得ることで、追加的なCO2吸収・炭素固定を生み出してカーボンクレジットを創出する方法論。
※3 Forest Stewardship Councilの略。森林認証基準の一つ。環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組み。
※4  FSC(森林認証基準)の原則と基準にて定義づけされている保護すべき価値の高い森林を指す。
※5 <関連プレスリリース>
米国で森林アセットマネジメント事業会社を設立 https://sfc.jp/information/news/2023/2023-01-27.html
米国の森林ファンド組成へ https://sfc.jp/information/news/2023/2023-05-11.html

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